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HALLCA @LIVE STUDIO LODGE〈Make Happy!! ~New Year Party 2024~〉(20240107)

 晴れやかな彩りで新年を祝した、フレッシュな饗宴。

 代々木LIVE STUDIO LODGEの恒例イヴェント〈Make Happy!!〉の新年スペシャル版〈Make Happy!! ~New Year Party 2024~〉に30'sイヤーズの航海へ漕ぎ出したシンガー・ソングライターのHALLCAが出演。2024年を明るく照らし出すべく、持ち前の“フレグランス・ヴォーカル”で新年のスタートを彩った。

 当初はジョナゴールドらのイヴェントとして公表されていたところへ、途中からHALLCAがラインナップに加わったようで、フロアにはジョナゴールドのファンが多数集っていた。いわゆるアウェイなステージともいえるが、4組の演者HALLCA、ジョナゴールド、Hau.、unSeaは、かつてアイドル・グループで活動を続け、共演もしている間柄という共通点もあって、楽屋ではその仲の良さが表われていたようだ。ジョナゴールド、Hau.との対バン形式は、昨年11月にHALLCA同様Especia出身の脇田もなりが出演した3マン・イヴェント〈Make Happy!!〉(記事→「脇田もなり @LIVE STUDIO LODGE〈Make Happy!!〉(20231122)」)の組み合わせに近いか。ジョナゴールド、Hau.を軸に、脇田と入れ替わってHALLCAが、さらにunSeaが加わっての4マンとなった。

〈Make Happy!! ~New Year Party 2024~〉
HALLCA

 トップバッターのHALLCAは、襟元に明るいブラウンを配した黒のトップスとロングスカートという黒茶系のシックな装いで登場。マロンなヘアカラーもあって、高級なマロンブラウニーのようなイメージも。

 新年初ライヴというホリデーな気分と緊張感がないまぜになった独特な雰囲気のなか、観客の温かい拍手に包まれながら送り出した1曲目は、HALLCA自らを“原石”になぞらえた原点となる楽曲「Diamond」。新年の始まりと30'sイヤーズという新たな景色に際して、あらためて原点を意識したか。続く「Paradise Gate」も輝かしい未来への“扉”となるような想いを込めた選曲となった。

 中盤は、元日の能登半島を震源とする地震や翌日の羽田空港航空機火災など早々に悲しいニュースが飛び込む2024年となったが、早く回復していくようにという思いで“gonna be all right!”というフレーズが盛り込まれている「Twisted Rainbow」とスウィートなラヴソング「Sugar」のミディアム・チューンを。「Twisted Rainbow」はタイトル通り虹が映える空を想起させるような淡くやわらかな開放感が広がる作風だが、そのリズムとムードに合わせてフロアからは優しいクラップも。発表当時の「Wonderful Days」というタイトルを思い返すような、フロア全体で“Wonderful Days”を願うようなテンダーな空気に包まれていた。

 「Sugar」は、Blackstone Villageがアレンジで参画したR&B/ソウル・ラヴァーズということもあって、ダンスポップ作風が主軸の本イヴェント出演者の楽曲のなかでは異質なタイプだが、このようなしっとりとしたスウィートなミディアムを違和感なく汲み入れていけるのもHALLCAの魅力で、他組のファンたちにはなかなか新鮮なアクトに映ったのではないだろうか。本来はスウィート・ラヴァーズではあるが、“悲しみの種を 包み込んで 涙で溶かそう”というフレーズもあって、「Twisted Rainbow」とともに悲しいニュースが消えていくようにという願いが伝わってきた。

 しっとり、しみじみというグルーヴを抜けて、終盤は「コンプレックス・シティー(東新レゾナントRemix)」と「Dream Dancer」とアッパー系の楽曲でまとめていく。キーボード演奏を盛り込んだ歌唱スタイルも他組のファンたちへ目新しく映ったと思われるが、そのあたりがどのように感じられたか。フロアのクラップやノリを窺うに、どちらかというと前傾の拍でノッている気がしたが、HALLCAの楽曲は後ノリのグルーヴも多いゆえ、そのあたりのフィーリングを身勝手に懸念していた。だが、HALLCAの華やかな声色もあって、好意的に受け止められてたように思う。

 ラストは「WANNA DANCE!」に比肩するフロアダンサーとなった「Dream Dancer」で、HALLCAらしくホットなヴァイブスでエンディング。冒頭で薄っすら感じた緊張感も解けたか、朗らかでリラクシンな歌唱を見せて、新年のフレッシュな息吹をステージにもたらしていた。

unSea(みのり&まなみ)

 unSea(アンシー)は、アクターズスクール広島出身で“ご当地アイドル殿堂入り”も果たしたアイドル・ユニット“まみり”こと“まなみのりさ”のまなみ(谷野愛美)とみのり(岡山みのり)が立ち上げたプロジェクト。まなみのりさが2023年4月に解散した後に、まなみ、みのりの2人に、透明写真、BLUE BLUE BLUEのそれぞれ2組のメンバーを合わせた8名編成でデビュー。同年の12月より透明写真のメンバーが離れた5名編成へ移行した。ガール・ダンス・クルーのBLUE BLUE BLUEの3名が沖縄出身で、成人式のメンバーもいるとのことから、この日はその5名編成としてではなく、まなみ、みのりの2名編成でのステージとなった。ちなみに、アーティスト名のunSeaは、“under the sea”に由来しているとのこと。

 unSeaは初見だが、まなみのりさは、以前、星野みちるの自主企画イヴェントで脇田もなりのソロ初のステージ登場となった〈VIVID SOUND Presents「星野みちるの黄昏流星群Vol.5」〉(記事→「星野みちるの黄昏流星群Vol.5@代官山UNIT」)にて観ていたようだ。といっても、2016年9月と7年以上前のことなので、顔は覚えていてもステージパフォーマンスの記憶は薄れていたのが正直なところだ。

 冒頭は“under the sea”をイメージしたようなピュアなバラード「詩空」からピアノがメロディを紡ぐエレクトロニックなビートがクラップを呼ぶインストゥルメンタルを短尺で披露していたが、これはunSeaの挨拶代わりのオーヴァーチュアといったところか。ギャザーを纏ったウェディングドレス感もあるエンジェル・テイストの白いドレス姿だが、おっとりと厳かにという訳ではなく、キレのあるパフォーマンスも見せる。楽曲はイーヴンキックのダンスポップが主軸で、メジャーコードのポジティヴなメロディラインで明るく溌溂に歌い踊るというスタイルが眩しく、アイドル・ダンス・ポップの王道を継承。ガール・ダンス・クルーのBLUE BLUE BLUEが加わった5名編成だと、よりダンス&ヴォーカル・ユニット要素が増すのかもしれない。

 新年初ということと5名でなく2名でのパフォーマンスということもあって、緊張を口にしていた2人だったが、さすが長年ステージに立ってきた経験もあり、MCでも笑いを誘うなど、ファンの心を掴む愛らしさを感じるステージング。歌割やダンスのフォーメーションも通常時と異なるのだろうが、それを感じさせず、まなみとみのりの2名ならではのアクトとしても成立していたように思う。

 楽曲としてはミディアム・バラード調の「グレーに溺れて」を除いて、原則アッパー/ダンサブル・テイストが主流。かき混ぜるという意味の手の捻りが特徴的な“カチャーシー”の踊りほか沖縄テイストを盛り込んだという「ハイsign」は、冒頭こそ琉球テイストのメロディ・アレンジだったが、イントロ後はどちらかというと沖縄というよりも「千本桜」などのボカロPやら和楽器バンドあたりで聴かれそうな和の要素が散りばめられたエレクトロニック・ダンサー風。畳み掛けるように連なる“ハイサイサイ、ハイサイサイ、ハイサイVサイン”のフックが印象的で、unSeaのフロアキラーとして今後は活躍しそうだ。

 ラストはオーディエンスから“オイ、オイ”などのコールやクラップが乱れ飛ぶキラー・チューン「The Oneder World」でさらにヴォルテージが上昇。久しぶりにアイドル・グループ現場の感覚を味わった瞬間となった。

Hau.

 後半2組は、前述した昨年11月の〈Make Happy!!〉(記事→「脇田もなり @LIVE STUDIO LODGE〈Make Happy!!〉(20231122)」)にもラインナップ。その時はトップバッターだったHau.(はう)は、ここでは3組目に登場。出身や経歴については、上述記事に譲るが、WHY@DOLL時代はほとんど知らないのだけれども、アイドル・シンガーとしての姿勢をしっかりと貫いている感じ。HALLCA、仮谷せいら、AmamiyaMaakoによるユニット“はるかりまあこ”勢との共演も少なくないので、ソロとしてのステージも(浦谷はるか名義含め)幾度か観ているが、そのたびに正統派アイドルのアティテュードは彼女らしさの一つのアイデンティティなのだと思う。

 オフホワイト系の肩出しワンピースという清楚なルックスもそうなのだが、何回かステージを観ていくと、パフォーマンス中に頻繁にウインクを入れてくるのが目を惹く。ファンはこのウィンクの嵐に包まれたら、鼓動も高まるのが容易に想像ができる。それと、左右を行き来するパフォーマンスが多いなかで、モデルも務めるスラリとしたシルエットを駆使したステージの奥行き(遠近感)を活かしたステップも印象的だ。

 昨年11月の〈Make Happy!!〉同様、ソロとして始動以降はそれほど楽曲数も多くないゆえ、現時点で唯一のEP『STEP BY STEP』の楽曲を軸に、WHY@DOLL時代の2曲をプラスした構成。その時には披露しなかった「Your Pace」は初観賞となった。『STEP BY STEP』収録曲の主流をなす、ポップなエレクトロニック・サウンドに比較的詞を詰め込んだ作風は、現時点で多くのHau.の楽曲を手掛けるAmamiyamaakoらしいキュートでカラフルなポップネスが同居するスタイルだ。

 個人的には、前回記事でも言及しているが、やはりWHY@DOLL時代の「Dreamin' Night」に耳が惹かれた。現・Roomies(ex-CICADA)の及川創介のソウルネスをポップに昇華した上質な音楽性は、アイドル時代の楽曲をソロでも歌うというタイミングの妙もあって、成熟していく大人の女性の色香を意識させることにも奏功しているようだ。
 その一方で、unSeaの楽曲「シースルー」と(残念ながら卒業してしまった)推しメン語りをし始めて“オタク”な部分を全開させたMCを繰り広げるなど、オーディエンスの心境に近しい(?)ところでもファンの心を掴んでいたようだ。

 終盤は、現時点でクライマックスを彩る最有力曲群「NEW WAVE」とWHY@DOLL時代の「Tokyo Dancing」というどちらも“WOW WOW”というコール&レスポンスが響くポップ・ダンサーで、オーディエンスのヴォルテージを上昇させていく。アウトロにて、Hau.とオーディエンスがともに人差し指を天にかざすポーズで終える光景が印象的だった。

ジョナゴールド

 トリのジョナゴールドは、Hau.も出演した昨年11月の〈Make Happy!!〉での初観賞に続いて2度目のステージ観賞。その時は顎関節症の影響で歌いづらかったとも言っていたので、完治を願っていたところ、本公演ではそれに関する発言はなかったゆえ、快復したとみていいか。前回観賞時も元気に歌唱やMCをしていて、負担があってステージに立っているとはほとんど感じなかった。この日の序盤は、若干歌唱にも微かではあるが、不安定な“揺れ”が見受けられたりもした。実は完治していなかった……ではなくて、2024年の東京での初ライヴという緊張からくる“揺れ”だったのなら良いのだが。

 前回観賞時の記事にて、ジョナゴールドのファンは良くミュージック・ヴィデオを見てくれるという話を受けて「(ファンがよく見ている30万、20万再生超の楽曲よりも)個人的にはまだ5000回にも満たない〈風待ちリップ〉や1万まであと僅かの〈Yeah-Yeah〉、1.2万の〈Rain Dance〉が好みかも……笑」などと記したが、前回は披露しなかった「Rain Dance」が聴けたのは良かった。

 ジョナゴールドのファンが多く占めるフロアでトップに配されたのは、前回はラストを飾った「WEEKEND」。クラップが波打ち、“WEEKEND!”のレスポンスが舞うなど、幕開けからヴォルテージは融点に。新年は始まったということで、続いては「ハジマリズム」へ。前回観賞記事でも触れたように、ヒットメイカーの多田慎也の手腕が活きた楽曲群とジョナゴールドの歌唱との相性は抜群で、ポジティヴなモードのなかにほんのりセンチメンタルな成分が垣間見えるポップネスが最大の魅力だ。

 フックでのファルセットで哀しみや物憂げな心持ちを発しながら、それに引きずられず軽快なポップ・ダンサーへと昇華した「Rain Dance」の後は、昨年5月にステージで披露し、1月14日にデジタル・リリースとなる「つづいていくよ」へ。こちらは「Rain Dance」とは異なり、チアフルかつホープフルなメロディラインが印象的で、ギター・サウンドが合うアグレッシヴな力強さもある、キャラクターに近いテンションの楽曲か。そのミュージック・ヴィデオは12月に青森の大自然のロケーションで撮ったようで、凄い寒さに震えながら頑張った成果を見てもらいたいとのこと。津軽弁丸出しの愛嬌溢れたMCも、親近感と愛着が深まる大きな一因だろう。

 東京でも是非生で初披露したいと、フレンズのメンバーで、ジョナゴールドの「WAVY BABY」を手掛けたおかもとえみによる新曲「Oh Sunshine」は、タイトルの“Sunshine”をはじめとしたフレーズをコール&レスポンスする明朗なミディアム・ポップス。天真爛漫なジョナゴールドのキャラクターにピッタリのジョイフルなパフォーマンスとなった。

 クライマックスの用意されたのは、「Yeah-Yeah」と「風待ちリップ」の2曲。「Yeah-Yeah」は文字通りの“Yeah”の連呼と“オイ、オイ”のコールで沸くグルーヴィなポップスなのだが、何といってもフックラストの“1、2、3、4 イントロが鳴る~”のノスタルジーとセンチメンタルを帯びたメロディラインが秀抜。軽快なビートのなかでフロアからのレスポンスもありながら、ブリッジから琴線に触れるフックへと繋がる展開は、ジョナゴールドのポテンシャルを証明するのに十分なフロアキラーといえよう。

 ラストは、前回観賞時には最初に披露された「風待ちリップ」で、奇しくも前回観賞時のラスト曲とトップ曲を入れ替えた構成に。“風待ちリップ”のフレーズでジャンプするのがファン恒例のようで(個人的にはそのタイミングでジャンプするって、その後のリズムに合わなくなりそうとも思ったりもしたが)、ステージの“掴み”でも“締め”でもどちらでも有用な楽曲ということなのだろう。こちらも安定のポップネスが光る多田慎也ナンバーで、フック終わりの“君とlifetime”のフレーズの甘酸っぱさが、楽曲の余韻を生んでいる佳曲だ。溌溂とするなかでセンチメンタルな雰囲気を漂わせる楽曲と声色に、チアフルだけじゃないジョナゴールドのまた異なる美味が濃縮されていたように感じた。

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<SET LIST>
《HALLCA》
00 INTRODUCTION
01 Diamond
02 Paradise Gate
03 Twisted Rainbow
04 Sugar
05 コンプレックス・シティー(東新レゾナントRemix)
06 Dream Dancer

《unSea》
01 詩空(しずく)
02 overture interlude
03 シースルー
04 Rainy Girl (New Song)
05 Magic hour (New Song)
06 グレーに溺れて
07 ハイsign (New Song)
08 The Oneder World

《Hau.》
01 Slowly time
02 Steppin' & Stompin'
03 Your Pace
04 オアイコダネ
05 Dreamin' Night (Original by WHY@DOLL)
06 NEW WAVE
07 Tokyo Dancing (Original by WHY@DOLL)

《ジョナゴールド》
01 WEEKEND
02 ハジマリズム
03 Rain Dance
04 つづいていくよ
05 Oh Sunshine (New Song)
06 Yeah-Yeah
07 風待ちリップ

<MEMBERS>
HALLCA(vo,key)

unSea:
まなみ(vo)
みのり(vo)

Hau.(vo)

ジョナゴールド(vo)

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【HALLCAに関する記事】
2018/08/04 HALLCA『Aperitif e.p』
2018/11/26 HALLCA@中目黒 楽屋
2019/08/30 HALLCA @Jicoo THE FLOATING BAR
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2023/06/04 kiarayui × HALLCA @LIVE HAUS(20230604)
2023/07/17 HALLCA @LIVE STUDIO LODGE(20230717)
2023/11/04 HACCLA @CHELSEA HOTEL(20231104)
2024/01/07 HALLCA @LIVE STUDIO LODGE〈Make Happy!! ~New Year Party 2024~〉(20240107)(本記事)

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