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出会いと別れの季節~雀荘編

春になるとやってくる…

出会いと別れの季節

学生さんを
アルバイトスタッフとして雇うこと16年
それはそれはたくさんの
出会いと別れがございました。

雀荘でもそれは当然やってきて…

結構な数の送別会と…

面接とを行って参りました。


後に居酒屋、カフェ…と面接することで思ったことは、

雀荘の面接には
時々とんでもないツワモノがやってくるということです。

ポケットからクッシャクシャの履歴書を出してきて、
ガムを噛みながら面接に挑む者や、

突然タメ口をキいてくる者

「点数計算出来ます!符計算はちょっと苦手ですが…マンガン以上はアガリません!
というトンチをかましてくる者と色々です

ちなみに、こういった方々の採用結果はあまり悩みません

雀荘には特別な採用基準…
麻雀がめっちゃ出来る
がありまして、
逆に言うと、
これにより慢性的に人手不足ではあるのですが…

にしても『一緒に働いてみたいか』がやはり重要な採用基準でありますので、
こいつが決め手になることが多いからです。

というのも、
『麻雀がめっちゃ出来る』人を採用しても
その人が『堂々と遅刻めっちゃ出来る』人だった時に痛い目見るからですね。

かつて、めちゃくちゃ遅刻してくるスタッフさんに「何で?」と聞いたら、

「いやぁー、すいません…。
山で寝てるからですかね…。」

と答えられてパニックになったことがあります。

「山って…
そこにあるから…の山のことやんな?」

「はい、伏見稲荷神社の山っす。
あそこに夜景の綺麗なゆっくり寝られるポイントがありまして…」

このエピソードがあって
それこそ『キツネにつままれる
という言葉が出来たんじゃないかと思うくらいにキツネにつままれました

いやいやいやいや。
あんな霊験あらたかな場所で一晩過ごすなんて罰ゲームでもやってないよ。

…と思った矢先にまた遅刻をしよりまして、

電話鳴らしたら

「すいません!すぐ下ります!!

って…。

いや、ホンマに山いますやん!

『下ります』なんて出発の言葉、聞いたことないですやん!

となりまして、困った思いをした経験があるからです。


というわけで、
面接をして悩むのは…
次の彼のようなタイプ。


彼は非常にアツい男でした。
そしてとてもいいヤツそう。
雀荘で働いてみたいと…強く主張してきてくれましたが…

麻雀に関してはほぼほぼ素人。

ただアツい。

「麻雀には自信があります。
麻雀アプリではあまり4着は取りませんし、
取ったとしても14000点くらい持ってる4着です!」

と、
麻雀というゲームの本質を覆してまでの大アピール

むしろこっちが麻雀を教えていただきたい!

ただ…
少しでも雀荘で働くにあたっての時給だとかの知識がありますと…
この先のお互いにとって良くない未来がチラついて…

こういった子こそ本当に悩みます。

果たしてこの子は大丈夫なのか…

―採用結果は少しお待ちください。

合格の時のみ3日以内でご連絡差し上げます。

―連絡が無かった場合はご縁がなかったということでよろしくお願いします。

と言って持ち帰り、

悩みました。

悩みに悩んで…

採用を見送ろうと思った…

ちょうど3日後に

彼の方から連絡がありました。

「すいません、採用結果がまだなんですが…
僕、電話番号伝え間違えたか心配になったんですが…。」

???!

どんな精神力!!

そこまで言うなら…
わかったわかったもう何も言わないよ。
やってみな雀ボーイ。
当たって砕けてみな…!!

ということで採用しました。

ら、砕けました。

彼はこの精神力で負けても全く動ず
なまじ打牌は早いので、
他の人の倍のスピードで負けていきました。

やっぱり採用はお互いにとって良くなかったのか…

と落ち込んでると…

なにやらその彼と中川社員さんがモメているではないですか。

どうやら彼がアガラスをしたとのこと。

「でも、素点は大事って言ったじゃないっすか!」

「そやけど、アガラスになってまう状況が多いし負けるねんて…

その状況になってしまったこと反省して、
次はそうならんように歯を食いしばってアガらんことを選択するんも大事やねん。

素点はそれからやねん。」

「じゃ、ウソ教えたってことっすか?」

「ちゃうねん。素点大事ってもアガラスがそんな発生するわけちゃうねん。
こんな出るってことは局のアガリに夢中過ぎて、半荘の…

意味わかんないんすけど!
松下さん!この人殴ってもいいですか?!

おお!
アツ過ぎる男からの究極の質問
麻雀よりもはるかに難しい…
どうする松下…!?

社員松下さんの答えはこうでした。

「あかんわ~」

正解!

手ぇ出したらアカン

この犬養毅の「まあ待て。話せばわかる。」ばりの「あかんわ~」がきっかけだったかはわかりませんが、

彼はこっからメキメキと雀力を上げていきました。

ただ、ウチの雀荘で育ったとは思えないくらい
『流れ』と口にしていましたが…。


大学卒業と同時にスタッフも卒業していく彼。

卒業してからもお客様として
笑顔でやってきてくれる姿を見ては、
『採用して良かったなぁ…』と思わせてもらっています。


面接の時には、
雀荘という業界のことを知らないに決まってるんですよね。

知らない世界のことを、
知ってるこっちで勝手に決めて
採用不採用を決めちゃいけないと
彼に教わりました。

またその採用が…
その人の人生を大きく変える可能性があることも理解して、
その責任を持って面接をしなきゃダメだなぁ…

なーんて思いながら、
その彼に、
「自分、面接ん時14000点持ちの4着とか言うててんでー。」
などとイジってみたりすると

隣から

ニシャニシャしながら

中川社員さんが、

僕の履歴書を渡してきました…

………。

ね!

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