安倍元首相の死から分かったこと(1)

①   東京オリンピックの運営が疑惑まみれであったこと。
 五輪利権の中心人物である高橋治之大会組織委員会元理事が話していた。
「最初は五輪招致に関わるつもりはなかった。安倍さんから直接電話を貰って、『中心になってやって欲しい』とお願いされたが、『過去に五輪の招致に関わってきた人は、みんな逮捕されている。私は捕まりたくない』と言って断った。だけど、安倍さんは『大丈夫です。絶対に高橋さんは捕まらないようにします。高橋さんを必ず守ります』と約束してくれた。その確約があったから招致に関わるようになったんだ」と。
 確かに安倍氏は、彼が首相だった時に、彼の友人である元TBS記者の山口敬之氏(性被害を受けたとして、ジャーナリストの伊藤詩織氏が訴えていた)がアメリカから帰国した際に、羽田に着いた時点で逮捕状が執行されようとしたとき、上からの命令でそれが阻止されたことがあった。彼は当時、司法の手が伸びるのを自由に操れたのだ。だから、自信を持って、そのように発言しまた実行したのだろう。
 そして、彼の死によって、司法が五輪疑惑に迫ることができたのだ。
 もともと、東京五輪は、疑惑が渦巻いていた。
アフリカ人IOC委員の家族の会社に2億3千万の金が渡されたと云うことで、当時のJOC会長の竹田恒和氏はフランス検察から告発されていた。
 国立競技場建設を巡っても、当初イラン人建築家の案で建設が進められようとしていたが、建設費用が過大になるということで、急遽、その案はキャンセルされた。そして、新たにコンペを開催して、業者選定、設計者は隅健吾になった。その急な決まり方に透明性はなかった。エンブレムが盗用されていたという問題で再度募集した。その間の費用は一体どうなったのか。など不透明な部分は多々ある。
 高橋元理事に関わって、多くの企業が犯罪に手を染めたとして告発されてきたが、さらに新たな広がりを見せている。
東京五輪・パラリンピックのテスト大会関連事業の入札で受注調整をしていた疑いが強まったとして、東京地検特捜部と公正取引委員会は11月25日、広告大手の電通などを独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で家宅捜索した。また、電通の筋で不正が行われていたことが明らかになりそうだ。
この際、東京五輪に関わる汚職問題と並行して、2020東京五輪を徹底的に総括する必要があるのではないか。

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