仕事と掃除

先日、岩泉の本社に行った時のエピソードを。
当社は本社(工房)が岩泉にあり、月に2度ほど本社へ行き、お客様のご注文品や展示用の商品を盛岡のショールームへ運んでいる。

工房の写真は本社HP(昨日から仕事始め | 国産材オーダー家具で始めるビッグ テーブル ライフ 岩泉純木家具 (junbokukagu.co.jp)


盛岡に運ばれる商品は、木工作業場の隣にある部屋で梱包される。
この部屋は、商品完成後の撮影やオイル塗装にも使用されている。
この日は珍しく、急遽パーツの追加、取り付けを行う必要に迫られ、職人に頼むことになった。
急な変更にも関わらず、丁寧に行われる作業。
作業が終わり道具を作業場へ片づける職人にお礼を伝え、私は盛岡へ持って行く商品の積み込みにかかった。

積み込みが終わり、先ほどまで取り付けが行われていた部屋へ入ると、職人が箒と木製の塵取りを持ち、作業で出た木くずを掃除していた。
掃除をする姿が、取り付け作業と同じくらい丁寧で真剣で、淡々と、でもどこか張り詰めたような―
その姿に、しばらく立ち尽くしていた。

掃除が終わると、『はい、終わり』と穏やかに笑う職人。
我にかえり、「なぜこんなに入念に掃除するんですか」と質問。
職人は『ここは塗装とかする部屋だからうまくないでしょ?(木くずが残ると塗装の時良くないでしょ)』とぽつり。
ポカンとした私に職人が続ける。
『仕事と掃除はセットだからね』
「いつからその心構えを?」
『仕事はじめたときからだからな、もう忘れた』

盛岡に帰る道中ずっと、「自分は掃除をながれ作業でしてないかな…」と考えていた。
私が20代の頃、職場の大先輩から『ただ掃除するのと、お客さんを迎えるためにする掃除は体の動き方から全く違う』と言われたことを思い出した。
若かった私は「あぁ、そうですよね」位で、しっかりと受け止めなかった気がする。
だけど、心にはずっと残っていた。

職人の姿を見て『全く違う』の答えがいまさらながら分かった。
掃除をする目的「次の工程、作業をするひとに支障が出る」、「お客様をお迎えするため」…
行動する目的がはっきりしている掃除と、とりあえずやっておくかの掃除は、同じ『掃除』でも意味が変わるし、結果(仕上がり)も変わってくるはずなのだ。

小難しく考えなくても、自然と体が動くようになるまで仕事の度に繰り返す。
淡々と。
「仕事と掃除はセット」の奥に、職人が重ねた日々を感じた。


家具づくりだけではなく、商品として表にでないけど大切な仕事にふれて、noteに投稿しました。
商品紹介ではありませんが、記事を読みお店に足を運んでいただけるお客様がいましたら、嬉しいです。
(ご感想などTwitter岩泉純木家具(盛岡店)(@junbokukagu455) / Twitter、LINEhttps://lin.ee/t7gxfkbまで※大変嬉しいです)

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営業時間  AM10:00~PM6:30(定休日/木曜日)
本社HP https://www.junbokukagu.co.jp







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