見出し画像

第7次福島県総合教育計画策定に関する懇談会委員になりました

【不完全燃焼をフィードバックしてください!】

第7次福島県総合教育計画策定に関する懇談会委員になりました。2021年以降の福島県で、どのような教育を行うのかを定める、基本計画です。
 
どのような観点が必要か、どのような目標を定めるのか、どのような未来を見据えるのか。様々な立場から多様な意見を計画に反映するための懇談会で、今日はその第1回の懇談会でした。
 
今日の議事の中心はお互いのプロフィール交換と、こんな論点は話しておきたい!との意思表示。
 
じゃあまず「あ」行の青砥さんから...ということで、早速出番が回ってきてしまい。持ち時間5分の勝手もわからず。自身の準備不足のせいで、個人的には不完全燃焼な第1回になってしまいました。

「あ」行に生まれて28年、QBK(注:急に・ボールが・来たので)という言い訳はできない。次回への励みとするべく、今日本当に伝えたかったことを書き、自己理解を深めたいと考えています。聞いてください&フィードください。

【対話的な場をいかに作るか?】


私が伝えたかったのは、「対話的な場」を高校生にいかに届けるか?という議論でした。

白河市では、コミュニティ・カフェ EMANONを設置して、放課後に高校生と大学生・大人とが、交流できる事業を行っています。そこのスタッフや交流する大学生・大人が担う最も重要な役割は、私は対話ではないか、と考えています。

先週、私が講師をつとめた光南高校での「総合的な探究の時間」の授業でのことです。21人のクラスに対して、私を含む7人の大人が、3人の高校生と対話を行いました。ささやかなグループワークでしたが、確かに自己一致が進み、自分の意見を表明し、研究につなげる思考の整理ができたように感じています。

先月、休校期間中に提供した「オンライン自習室」でのことです。自習のためのほどよい緊張感と、高校生が相談できる環境づくりを!ということで実施。事後アンケートに答えてくれた高校生のうち、16人中11人が「スタッフ・大人とのコミュニケーション・日常会話」が楽しかったと答えてくれました。会話を通じて「大学が身近に感じられた」「新たな選択肢が増えた」「将来を少し楽に考えられるようになった」とのコメントをもらいました。

複雑で変動が大きな社会(VUCA)においては、ひとりひとりが自律的にキャリアを歩まねばなりません。既存の職種も業種も経済も、これからどんな変化が訪れるのか、現在からは到底想像できないからです。2010年にはまだiPhoneが流行り始めたくらいで、2000年にはまだYoutubeがなかったんです。

「自分はこのような人間だ」「自分はこの分野なら自信を持って取り組める」「将来はこのような活躍がしたい」と、言語化できる高校生はごく一部。そこから研究や行動に移せる高校生もごく一部。他の人に自分の考えを伝え、他の人からフィードバックを得て、他者とのやり取りの中で自分自身を理解していくプロセスが、高校生にとって非常に重要だと思っています。

コロナ休校期間中に特に感じたことですが、5感に訴える端末やAIが活用された教材が登場している現在、情報を伝達する授業が行われないことそのものはあまり問題ではなく。主体的・自律的に学びに向かう意欲の有無が問題なのだと強く思いました。学ぶ意思があれば、いかなるときも学びは続けられる。重要なのは、自身の学ぶ意思と意欲を引き出す対話的なコミュニケーションなのではないか。

(オンライン自習室の様子)

では、学校の先生が、クラスの40人に向けて、一斉に対話ができるでしょうか?

私はそれは難しいと思っています。
理由のひとつは、教員の多忙化対策・働き方改革が待ったなしだから。教員になってもキャリアが描けない、どうやらブラックな労働環境らしい…教員免許を持っている大学生の間ではそんな認識もあるのではないでしょうか。教員のなり手不足と、教員採用試験倍率の低下が問題になり、先日の報道でも、いま現在すでに必要な先生が配置できない学校・教室があるとのことでした。このような状況で、対話的な学び、個別最適解の学びをひとりひとりに届けるのは、現場がしんどい。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200605/k10012459621000.html
理由のふたつめは、自分とは属性の違う他者との関わりが、高校生にとって重要だから。「教員」「保護者」も高校生にとっての他者には違いありませんが、同じ学校の一員、同じ家庭の一員なので、どうしても自分の持っている価値観や強みを相対的に理解し、自己理解を深めるには限界がある。異なる属性、背景、年代、性別、指向、業種など、多様性ある学校外の人材が、いかに生徒と関わることが必要です。

では、そのような対話の場はいかにして実現・実行・実装できるか?

まずは、先生の役割を分解して、先生が担う役割と、先生以外が担う役割を分担するのが良いのではと考えています。

だから、「対話」という役割は、地域の人材に担ってもらう。地域の人材が、高校生の語りを受け止め、投げ返す役割を担う。

これが私の意見です。

一方で、それでは地域のNPOに自主財源で対話をお任せしましょう、PTAにやってもらいましょう、では、計画は実行されなそうです。例えば東京都であったら、公募を出したら専門性のある組織が複数手を上げる、というのも可能かもしれませんが、都市部と異なる課題が福島県全体にはあります。

どんな仕組みなら、高校と連携した対話の場が広がっていくのか。高校生ひとりひとりのキャリアに向き合った学びが可能なのか。

私が取り組んできた白河市のコミュニティ・スペース運営事業が最も先進的だと私が考えている部分は、市の予算(当初こそ地方創生交付金ですが)で、「高校生に向き合う人材を配置したこと」です。高校生の声に耳を傾け、真剣に向き合うカネをつけてくれたこと。これまでは、学校に所属する教員が担っていた役割の一部を(本当に一部に過ぎませんが)分担できる体制を作ったこと。ちなみに、最も遅れていると感じているのは、高校のカリキュラムとの連携。

新学習指導要領の訴える「対話的・主体的で深い学び」を実現するために、福島県の教育の10年を考える。ここから1年半の長丁場になる予定ですが、どうぞお付き合いください。

【次回以降私が務めたいなと思うペルソナ】

上記までが、今日伝えたかったことなのですが、お察しの通りすでに長文でまとまっておらず、ぜひ皆様の忌憚ないご意見をいただきたいです。下記はさらに、委員のみなさまの言葉を聞いて感じている役割意識です。

様々な委員の方(高校長、小学校長、特別支援学校長、私学経営者、新聞社編集委員、SSW、NPO理事、文化財保護、企業人、大学人、自治体教育長)がいらっしゃる中で、私が次回以降の立場として担おうと思っているペルソナは3つ。

①高校生と地域をつなげる実践者として
これはいま書いた通りです。いくつかのキーワードは「対話的・主体的な深い学び」を中心として、「地域に開き、地域と連携したカリキュラムマネジメント」「科学・文化・アートを含む専門性との架橋・大学教育との連携」「教員のキャリアにも寄り添った人材育成」を考えているところ。別稿で書きたい。

②ゆとり世代の代表として
前の前の学習指導要領(2002)をたっぷり受け取った世代が、これからの社会にどう貢献するのか、今後の社会はどうなっていくといいのか、しっかり意見したい。他の委員にゆとり世代はいないようなので(笑)。昨年度getした国家資格キャリアコンサルタントも活用しながら、若者に真に寄り添うキャリア教育・カウンセリングの体制を考えたい。ソーシャルワーカーのように、キャリアカウンセラーが学校に1人いても良いと感じるくらいです。

③小規模校・過疎地の代表として
只見町から、教育長の先生が委員としてご参加されていましたが、わたしも過疎のの立場からの意見表明を。「地域に開かれた学び」や「対話的な学び」と学校統廃合は、相性が悪い。自治体の合併の例を引くまでもなく、教育サービスが都市でのみ供給されると、地域連携や対話的な学びの実装はより難しくなるのでは、と感じています。私の出身の東白川郡では、修明高校鮫川分校が無くなり、塙工業高校も無くなろうとしています。様々な事情で、そこにしか通えない生徒もいます。
前述の教員不足という課題、教育予算が少なすぎる課題に向き合わないとならないとしても、いま小規模校が実践できていることの中に、学びが溢れていると思います。西郷村立川谷小中学校のように。実はEdtechやGIGAスクール構想の議論は、ここにつながってくるのかも。

そんな3つの立場から懇談していきたいな。そういうキャラクターの委員が少ないと感じたので。他の委員のみなさまの意見も楽しみですし参考になります。そうそう、会議は2月に1回くらいのようなので、slackとか活用して委員同士のコミュニケーション図れたらいいんじゃないかなと思っているんですがどうでしょうねえ。

(西郷村川谷中での総合学習の成果発表の一部。昨年指導して、文化祭で一部発表されたもの)

【ここ3ヶ月くらいのできごと、これから】

最後に、2015年度以来続けている実践から、この議論の場に立たせていただくまで、長く支えてくださっているみなさまに御礼を。県民の中の委員15人として議論を行うのは重責も感じますが、頑張ります。

今回の議論は、これまでに白河・県南・福島で関わって来たみなさまと、この春から週2~3回働かせていただいている、県立ふたば未来学園内で放課後みらいラボを運営するNPOカタリバの皆様に大きな示唆をいただいています。コロナのばたばたでここら辺の話をする余裕がなかったので、これまた別稿で。ふたば拠点のみんなとの日々の議論、5月のカタリバ全社会議での議論や、2月に東北芸術工科大学であったSCH(Super Community Highschool)シンポジウムの議論も参考にしています&していきます。

ということで、今後ともよろしくお願いします!

(ふたば未来学園 放課後みらいラボ)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?