【育成】の”定義”とそれに必要な”競争力”
みなさんのサッカーというスポーツにおける”育成”の定義はどのようなものですか?
もしくはどのような方法で選手たちの育成を促していますか。
私が、バルセロナの現場を6シーズン見て、もしくは4シーズンチームを率いながらスペイン人選手・指導者を見ていると、”勝利”という明確な目標にたどり着くためのプロセスに”育成”が存在するなとつくづく感じます。
私の中では、育成とは”勝利”をするための手段・解決策を学ぶ方法を選手に植えつけることです。
日本のテレビなどでは、冬の高校選手権・小学生の全日本大会などで負けた後にロッカールームで選手たちが泣いている様子が映し出されますが、ぶっちゃけそのような光景はバルセロナの現場では毎週末のように起こることです。
年間を通したリーグ戦という名の文化が生み出す、目の前の試合の勝利への執着心。
このサイクルを7歳8歳から毎週末、年間を通してこなすスペイン人との、目の前の試合での勝利への貪欲な執着心には大きな差があります。
毎週末全体に負けられない試合があって、そこに対して1週間の準備をプランニングしていく。
ここで生まれる、❶戦術的要素(試合に勝つための解決策)の提示と❷試合での勝利への貪欲さ・執着心の融合がバルセロナの現場において究極の育成を生み出しています。
❶の部分で言うと、毎週末対戦相手は違うわけで違うと言うことはチームスタイル・システムそれに対してプランニングする内容も異なってきます。
ここでまたポジティブな要素として、選手たちにとっては異なった戦術(解決策)が指導者から提示され戦術メモリーへの蓄積・引き出しの多さへと繋がるのです。
このサイクルを小学生年代から毎週末繰り返しているスペイン人の選手たちは、もう11人制の高学年になったときには指導者から戦術の提示をしなくてもある一定の戦術感や、引き出しを備えているので試合の中で彼らの中で解決してしまう局面が多いです。
実際、11人制のチームを率いるスペイン人指導者と話をしていても、彼らの大まかなタスクは試合中に選手たち自身で下した判断・解決策を見て分析しながら評価しチェンジしていくといった作業が多くなるそうです。
※以上の内容は同カテゴリーの中でもレベルの高いよりコンペティション色が強いチームを対象としています。
上記に、「毎週末全体に負けられない試合があって、そこに対して1週間の準備をプランニングしていく。」と述べましたが、これは指導者も同じ。
結果を出したものが評価されるシビアな指導者の世界で、週末のリーグ戦というものは指導者にとっては戦であり命でありチャンスでもあります。
彼らを見ているとやっぱり、毎試合毎試合よく選手たちと戦ってるなって思います。
ただ、、
この定義で育成を行うことでのデメリットも近年感じます。
それは、勝利を求められるもしくは求めるあまりに発生する指導者が抱いてします”エゴ”です。
指導者としての”勝利”を求めてしまうあまり、ツイ結果が出ない試合になるとピリピリして選手たちにぶつかってしまうもしくは審判に対して暴言を吐いてしまう指導者も少なからずいるのが現実問題としてあります。
”育成”と”競争力”はセット
もう一つ、育成においてとっても大事なキーになるものが”競争力”です。
競争力といっても試合で戦い抜くための競争力といったニュアンスです。
このテーマに関しては、人種や文化もしくは選手を囲む環境(リーグ戦制度など)から来るものも少なからずあることから日本人選手に植え付けることはかなり時間がかかることだと言われています。
ただ、スペイン 人指導者から盗んで日本の育成現場でも活かせれるようなことはあります。
彼らを観察していると彼らの優れている点の一つにうまく競争心を練習から引き出しているなという感想です。
どうでしょうか。みなさんスペイン人指導者が行っている練習メニューは固い戦術練習が多いイメージでしょうか。今流行の、ポジションを当てはめての自動化トレーニングや戦術要素の多いメニューのパーセンテージが高いイメージを持っているかもしれません。
しかし、実際のところは具体的なシチュエーションを取り除いての単調なシュート練習や日本でもお馴染みのロンド(トリカゴ)のようなものも全然行います。
要はそれらの練習形式も使いようです。
競争力のテーマと絡めて話すと、このような単調なシュート練習やミニゲームをこの競争力を養うためという目的で行う指導者が多いです。
例えば、複数のグループ分けを行って小スペースでのミニゲームで負けたらトレーニング用具一式回収のような簡単なノルマを加えるだけで選手間での競争心に火をつかせることは可能です。
ここの、ノルマの設定や選手たちの競争心をうまく仰ぐようなコーチングはスペイン人指導者が長けている部分であります。
上記に週末の試合を考慮しながら1週間のプランニングを組む・トレーニング形式も要は使い用という話をしましたが、複数存在するトレーニングメソッドや形式を適した1週間のモーメントに当てはめているのも彼らの長けている部分であります。(リーグ戦の環境が自動的にそうしている部分もありますが)
先ほど述べたインテンシティや高い競争心を仰ぐようなミニゲームは試合後の月曜日には行わず、1週間の最後の練習日の最後のメニューに取り入れて試合に向けて闘う準備を整えると言った目的や、選手たちが気持ちよく試合を迎えられるようにという意図で取り入れられることがほとんどです。
この敵したモーメントの選択作業も、日本の現場で取り入れられるものだと思います。
ということで、今回は【育成の本意】について少し私の見解を書きました。
まだまだ書き足したいことはたくさんありますが今回はこのへんで終わりたいなと思います。
それでは。
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日本人とスペイン人のスタッフで構成されるMLTは、バルセロナを拠点に置くスポーツ団体です。日本のサッカー発展に貢献するため、バルセロナと日本を繋ぐツールになるべく活動しています。日本サッカーが発展するためには、①育成年代の改革 ②サッカーを見る・学べる環境作り ③指導者のレベルの底上げ が優先して必要だと思っており私たちのコンセプトでもあります。
現在は、バルセロナで小学生年代に向けたMLT テクニフィケーションスクールを開催したり、夏に日本で指導者向けカンファレンスやサッカーキャンプを開催しております。詳しくは、我々のホームページにて活動内容を掲載しておりますのでどうぞご覧ください。
MLT 創設者 紹介
【高田 純】
2014 年高校を卒業後、バルセロナに渡り2015年には、スペイン指導者ライセンスレベル2(日本のA級相当)取得。近年では、クラブUEコルネジャで小学生年代チームの第一監督を務める。
-指導経歴-
2014-2015 CLUB フピテルU-12 セカンドコーチ
2015-2016 CLUB フピテルU-12 セカンドコーチ
2016-2017 UE コルネジャ U-12 第一監督
2017-2018 UE コルネジャU-11 第一監督,U-12 第二監督兼アナリスト
2018-2019 UE コルネジャU-11 第一監督,U-14第二監督兼スカウティング
2019-2020 UE コルネジャU11 第二監督
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