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質が落ちたサブスクサービス事例から学ぶ これからの不景気型市場で気を付けるポイント

おはようごございます!眼から鱗という会社で経営者のメンタリングサービス『あとおし』を提供している長島です。今日は”質が落ちたサブスクサービス事例から学ぶ これからの不景気型市場で気を付けるポイント”について書いてみます。

買収されてから質が落ちるサービス

先日ある経営者の方とお話をしていて驚きました。見込み案件を発掘するためにホワイトペーパー系の申し込みを募り、コンタクトリストを獲得するというサービスです。それまでは経営幹部など、対象を一定絞った形でサービス提供されていました。件数はそこまで多くなくても、その中から筋の良い商談が年間数件受注でき、決して安価なサービスでは無いのですが、十分に投資回収できる内容でした。

ところが、ある新興企業に買収されてから、そのサービスの質が一気に悪化しました。経営幹部という縛りが無くなり、現場担当のリストが一気に増えました。さらに同業種からの情報収集コンタクトも増えました。リストに対して費用が発生するため、リストの質が悪くなると投資回収が難しくなります。

サービス提供会社に対して、件数だけ増えて質が悪化していること。これだと投資回収が難しいので、リストの質の改善のために問い合わせ条件を厳しくして欲しいと依頼をしました。その回答が驚きです。「毎月の件数を維持することを前提とした条件変更以外は上司から否認されます」とのこと。つまり毎月のコストが変わってしまう様な条件変更は受け付けないということです。

さらには、契約解除を申し出ても、年間契約のため途中解約ができない、とのこと。契約満了まで残り数ヶ月あるので、投資回収ができないゴミの様なリストに毎月ある程度のコストを支払い続けることになります。これは投資ではなく無駄な経費です。社長は、サービスは解約するし、その大元になっている企業のことが本当に嫌いになったと話されていました。

こうした話をたまに耳にします。立ち上がり当初は真摯な対応で効果があった様なサービスが、買収されることで一気に品質が低下してしまう。顧客よりも会社の成長性が重視されているのに、そうした会社のトップインタビューでは「業界を変えたい」「カスタマーサクセスが大切」などと話をしている。とてもおかしな状況が発生していると感じます。

買収されたら別のサービスになると考える

クラウドサービスやサブスクが浸透したこと。そしてデジタル化やDXという言葉がキーワードになっている昨今、低額サービスでの詐欺に近い様な展開で騙される中小企業が増えていくと感じます。特に案件獲得系のサービスは、買収されたタイミングからは注意が必要になります。経営者が変わるということは、大切にしている考え方も変わります。

一般的には大きな会社の仲間入りをすることは、顧客にとってもプラスだと考えてしまいます。しかし、経営者が変わるということは、全く違う会社になると同じことです。サービス内容が同じだとしても、そのサービスに対する思い入れは薄くなります。買収した企業にとっては、自社が大きくなっていく上で、不足しているパーツを揃えていくイメージがあります。そのサービスを良くしていこうではなく、自社のコアサービスを強化していくためのパーツを買い取るイメージです。

体制的には整っていくように見えますが、今回の事例のサービスの様に、数値的なノルマだけが厳しくなり、お客様の方に現場が寄り添えな状態になる可能性があります。大きくなることは、そのサービスの質を上げていくこととイコールにならないことがあると理解しておく必要があります。

不景気型マーケットでは淘汰される

「こんな状態って続くんですかね」とその社長からこぼれた一言。それは正直分からないというのが本音です。一定規模まで成長したサービスというのは、それだけ顧客のニーズを喚起するポイントを押さえています。集客がシステム化され、仮に今のお客様を失っても新たに顧客を開拓できるという強さがあるのは事実です。既存の顧客の信頼を失う一方で、新たな顧客のニーズを創造するという自転車操業的なマーケティングで走り続けられないかと聞かれると、それでも何とかなる可能性もあるとも感じます。

ただし本質的には、顧客に寄り添わずに自社の理論だけを押し付ける会社は厳しくなります。特にこれから予測される2026年まで続く不景気型マーケットで、その厳しさが明らかになるのでは感じます。今はベンチャー企業に投資家から不思議なほどに資金が投入される時代です。今だから何とかなっている業態は注意が必要です。

顧客開拓よりも顧客維持が大切になるのが不景気型の特徴です。新たな投資を控え、既存の契約もその効果を判断し不要なものは見直す様になります。本当の意味でのカスタマーサクセスや顧客を維持できる仕組みが徹底できていない会社は、やはり業績を落としていくのでは無いかと感じます。

まとめ

コロナより市場への大量の資金投入の時代は、まもなく終焉します。オリンピック後の不景気マーケットへに本格的に突入しようとしている今、大切なことは自社のサービスの見直しです。本当に価値を提供できているのか。お客様は満足しているのか。その再点検が必要になります。

大きくなるには足元がしっかりとしている必要があります。こうした企業の事例を反面教師として、既存顧客を大切にするサービスになっているかの点検を始めましょう。それが大切な時代に入っていきます。


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