古代の薩摩940年 #3

第一部 不老不死の妙薬3 住まいづくり始まる!
広場の真ん中に集まった7人は、家づくりの段取りを話し合っている。中心にいるのは両方の言葉がわかる王(王進)さん、秦からやってきた儀仁(ぎじん)、唐松(とうしょう)、桑立(そうりつ)の建築専門家3人。それに伝次(でんじ)、平助(へいすけ)の家づくり名人と、まだ20歳だが家づくりに興味津々の源太。伝次が身振り手振りで一生懸命に自分達の方法を説明している。
まず少し穴を掘り、四方に柱を立て、竹で壁の枠組みを作る。そして萱(かや=植物)で屋根まで覆う。中央に煮炊きや暖を取るための炉を作り、煙を逃がすために空気穴をあける。これを聞いていた専門家3人はうなずいている。夕べ泊めてもらった家の構造が理解できたからであろう。そこでまずこの方法で3つ作ってみようということになった。

今日は、午後から手分けして作業が始まった。
俺は桑立さんの横で手伝いをした。一本の木を柱用にするために、今までだったら、石斧で苦労して一日中掛かってやっと切り倒していた。でも桑さんは見たこともない道具であっという間に1本出来上がり。びっくりしてそれを見せてもらった。よく見ると石の代わりに何か光るもので切っていた。鉄というのだそうである。
他の組で手伝った村人たちも、穴が簡単に掘れる道具や、萱を切る道具を見てみんなびっくり。この分なら、明日の夕方には1つ目が完成しそうである。桑さんによると、秦国では全く違った建物に住んでいたという。最初に話し合った3つが完成したら、今度はそれを作ってはどうかという話しになった。楽しみだなあ。

謹言(ジンイェン):「お兄ちゃん、楽しいね。もう6日たったね。」
史進(シシン):「ホントだな。今日の魚釣りうまくいったな。ケンは モリで逃げる鯛を素早く突くもんな。お兄ちゃんにはちょっとまねできそうにないな。先の方が骨で作ってあるけど、鉄のやつを船から持ってこよう。もっと簡単に取れると思う。それに竿や糸を使う方法も教えてあげよう。」
謹:「お父さんお母さんに会いたいなあ。」
史:「大丈夫きっと会えるから。」
謹:「きくちゃん、かわいいねえ。」
史:「しっかり遊んであげな。それにしても鯛はうまかったなあ。生(なま)で魚食べるのは初めてだよな。サバはおばばの話しでは痛みが早いから、生では食べない方がいいと言って野草と一緒に煮てくれたね。もう、寝よう。」
謹:「うん、おやすみなさい。」

この物語は、薩摩の古代の歴史をドキュメンタリー風にしてみました。
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いつか映像にしてくださる方がいると嬉しいです。 吉峯盾

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