古代の薩摩940年 #22

第一部 不老不死の妙薬 9組の若者
徐福船団5隻280人が、無事にここ隼人の海岸に着いて1か月が過ぎた。
今日は市松の提案で9組の若者たちが池田湖で舟遊びである。顔ぶれを見てみよう。市松は李斯の姪っ子の李蘭、薬師の毛定六は八重、船造りの小太郎は徐福さんの親戚の徐三丈、大男の鉱山発掘を担当する魏応はこちらで一目ぼれしたお紺、米作りを勉強してきた翔は幼馴染のウメ、陶磁器作りを修行してきた源太はおりょう、橋をかけたり、道を整備する方法を学んだ幸吉は麻、そして林史進と茜、健と林謹言(ジンイェン)。きっと次代の倭国を担うであろう若者たちである。
舟9艘は、小太郎が1週間前に伐採し、あらかたは完成間近まで仕上げて乾燥させて置いてある。18人はまだ薄暗いうちに出発。みんな晴れやかな顔である。

日が明けるころに現地に到着した。
役割分担を市松が決め、全員が行動を開始する。船づくりは小太郎の指導で幸吉、魏応。池田湖の鯉(こい)を狙うのは林史進と健。源太と翔は近くの万ノ瀬(まのせ)川でススキとヤマメなどの川魚取り。市松と李蘭は食事場所の整備で残る。あとの女の子たちは野山に入ってゼンマイやタラノメなどの山菜や、栗、クルミ、トチノミなどの木の実とり。毛定六だけは一人で薬草を探している。お日様が真上に来るまでにまだ時間があるのにもうみんな帰ってきた。獲物をたくさん持ってきた。
市松の提案で舟の出来具合を試すことになった。それぞれが初めて二人きりになれるうれしいうれしい瞬間(とき)である。お日様が真上に来たら食事開始という約束で9組の若者は舟に乗り込む。小太郎が舟のこぎ方を大声で教えている。毛定六はあやうく、水に落ちそうになり、みんなを喜ばせている。

さあ楽しい食事作り。ススキやヤマメは串刺しにして炙る。鯉は秦から持ち帰った大鍋に香料を加え山菜といっしょに煮込む。男たちはお酒が欲しいところだが、定六に怒られてしまった。楽しいおしゃべりの時間が一段落すると、幸吉が競走をしようと言い出した。すると魏応がすぐ賛成。よし!と全員が立ち上がり、びりになったら、荷物運びと決まった。
全員が乗り込み、横一列に並んで、小太郎の号令で向こう岸まで。ちょっときつそう。当たり前だが小太郎組が優勝。びりはみな、定六と思っていたが、予想に反して八重ががんばり、魏応は悔し涙。お紺(こん)が一生懸命慰めているのを見てみんな大笑い。一生忘れられないだろう一日になった。

この物語は、薩摩の古代の歴史をドキュメンタリー風にしてみました。
商用・非商用の区別なく、事前の承諾を得ることなく無償で複製し、二次利用(外国語版、パロディ、アニメ化、音声化、小説化、映画化、 商品化など)を行うことが可能です。 二次的著作物に関して原著作物の著作権を行使しません。また、著作者人格権(同一性保持権)を行使しません。
いつか映像にしてくださる方がいると嬉しいです。 吉峯盾

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?