古代の薩摩940年 #23

第一部 不老不死の妙薬 孟達の感慨
李斯の奴、私に焚書坑儒がいいか、県令がいいか選べと言う。もちろん生き埋めなど御免蒙りたいから、県令を選んだ。鬼が島の県令だというから一応覚悟はしてきた。しかし2か月たった今、改めて荀子殿の性悪説と我が祖、孟子様の性善説の議論がどんなに不毛なものであるかを痛感している。
私は若いころ「人間の本姓は悪である。」という考えは当然だと思ってきた。わが国では戦争ばかりしている。みな自分のことしか考えていない。だから教育や法の力で良い方に向かわせねば人類は滅んでしまう。荀子の考えが正しい。だから、韓非や李斯のやり方にも一理はあると理解していた。しかしこの倭国はどうだろう。そもそも.そんな議論が成立しない。わたしの出る幕はまったくないのである。県令は名ばかりである。必要ないのである。私は孟子様の性善説はやはり正しい考えだったのだと感歎している。まさか孟子様もこんな国があるとは草葉の陰でどんな顔をしていらっしゃるのだろうか。

この物語は、薩摩の古代の歴史をドキュメンタリー風にしてみました。
商用・非商用の区別なく、事前の承諾を得ることなく無償で複製し、二次利用(外国語版、パロディ、アニメ化、音声化、小説化、映画化、 商品化など)を行うことが可能です。 二次的著作物に関して原著作物の著作権を行使しません。また、著作者人格権(同一性保持権)を行使しません。
いつか映像にしてくださる方がいると嬉しいです。 吉峯盾

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?