古代の薩摩940年 #12

第一部 不老不死の妙薬 小太郎のあこがれ
昨日、徐福団長が村人全員を前に3日後に出航すると宣言した。本国に親類のいない8人は本人たちの希望で残ることになった。一方、秦の国を見てみたいという若者がいたら、5人だけ連れて行っても良いとのこと。
俺はすぐ手を挙げた。というのも小さいころから俺は舟を造ることが好きで、石斧作りから木の切り方、丸木舟の作り方まで権左叔父に教えられてきた。自信もあった。しかし趙徳さんにかの国の道具を使った舟づくりを教えられ、鉄の切れ味のすごさや5人も乗れる小型舟も簡単に造ってしまう技術に参ってしまった。
市松も行きたいという。奴は旅から帰ってまだ1ヶ月もたっていないのに。年もあまり差がない俺たちは小さい頃から色々なことで競い合ってきた。ほかにもあと3人があっという間に決まった。
そんなこともあり、昨夜はあまり眠れず、今朝は日の出前に目が覚めた。ボーとしていた時、隣村の源太が息せき切って走ってきた。

源太が言うには、かなり大きいクジラが近くの海でフラフラしているという。俺はすぐ五郎兄のところに走った。こういう時は村々の申し合わせで「のろし」をあげるのが習わしだ。松の木に火をつけて茜に火の番を頼み、自分の舟まで急いだ。趙徳さんの指導でどの村も2~3艘は持っている。これは総動員である。ちょうど送別の宴ができそうである。
しばらくして、解体作業が始まった。ここでも厚い鉄の刃の道具でどんどん身が切り分けられていく。見たこともない鉄の大釜が持ち出され、甘い汁や塩という白いかたまりと、香料というにおい消しも混ぜられて、陽が沈む前にはおいしいごちそうが完成した。これまでなら、何日もかかっていた作業が素晴らしい道具の利用で腐らせることもなく、多くの村人に平等に供された。
林兄妹はそんなことではなく、みんなが仲良く楽しそうにごちそうを食べるのに驚いている。おいおいそんなの当たり前だろう!

この物語は、薩摩の古代の歴史をドキュメンタリー風にしてみました。
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いつか映像にしてくださる方がいると嬉しいです。 吉峯盾

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