古代の薩摩940年 #16

第一部 不老不死の妙薬 李斯の考察(1) 匈奴のこと
ようやく法治国家の形が見えてきた今、一番の頭痛の種は匈奴(きょうど)である。貴奴(きやつ)らは戦いに強い。冒頓単于(ぼくとつぜんう)なる英雄が現れたらしい。わが軍の名将蒙恬(もうてん)が奮闘しているが、頼みの万里の長城もまだまだ建設途上で完成には年月を要するだろう。
北方で羊を飼い、ゲルとか、パオと呼ばれるテントを持ち歩き、移動しながら、遊牧生活をするため、穀類、特に小麦などを欲しがる。春になると、わが国で小麦の収穫が始まるのを見越して国境を越えてやってくる。優駿が多く、こちらでは対抗できないことも多いという報告がある。
徐福の報告が真実なら、軍事力で倭国を征服する必要はない。鉄は喉から手が出るほど欲しい。他の鉱産資源も手に入れば国家財政にも役立つ。倭を県の1つに加えて徐福を県令にしてやれば、懸命に働くのではないか。
密命の薬は持って帰らなかったから、どこかで処刑も覚悟しているだろう。それでも帰ってきたということは鉄の量産が認められる勝算があったからだろう。詐欺師であるという噂もあるが、これだけ詳細な報告書は創作で書けるものではない。皇帝はどうお考えだろうか?

この物語は、薩摩の古代の歴史をドキュメンタリー風にしてみました。
商用・非商用の区別なく、事前の承諾を得ることなく無償で複製し、二次利用(外国語版、パロディ、アニメ化、音声化、小説化、映画化、 商品化など)を行うことが可能です。 二次的著作物に関して原著作物の著作権を行使しません。また、著作者人格権(同一性保持権)を行使しません。
いつか映像にしてくださる方がいると嬉しいです。 吉峯盾

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?