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大阪MRハッカソンに地方運営勢として協力した話

こんにちは、じゅんです。
Hokkaido MotionControl Network (#DoMCN)というHoloLens・VR技術好きの技術者コミュニティの勉強会を運営していて、開発者の知見の交流を促進しています。また、元・物性研究者として、研究機関に所属する若手研究者でxRに興味を持つ人を見つけてはHoloLensを被せに行き、開発者コミュニティへの橋渡しを行う事を続けています。これらを適切に表現する職名が無いので、勝手にScientist/Developer Relations と名乗っています。

 3/10-17の間、オンライン+複数拠点で行われた #大阪駆動開発 主催のOsaka MR Hackathon 2024  (#MRHack) に運営協力し、北海道の現地会場では発表会のパブリックビューイング会場を設置したり、#XRm鹿児島 コミュニティのチーム参加のサポートなどをしました。各地の関係者の皆様&会場協力のDeep Tech COREの皆様ありがとうございました。
 ハッカソンをきっかけとしたイベント開拓の取り組みについて備忘録を残しておこうと思います。会場確保に悩む運営者の方は参考になるかもしれません。

大会について(大阪と他の地方)


togetterまとめ

#大阪駆動開発 が毎年この時期に開催しているHoloLens(とその他MRデバイス)を使ったハッカソンです。今年で8年目を迎えました。今年も主な開催プラットフォームはオンライン(Slack, Discord)となり、参加者は基本的に在宅で企画・開発をすることになりました。10日にキックオフイベントとしてチームビルド&中間発表会を行い、一週間の開発のあと17日に成果発表会をして各種表彰を行うという流れになっています。

 メイン拠点である大阪では現地会場が設置され、そこで仲間を作ることも可能でした。一方で大会のアナウンスの少し前くらいには、各地方の運営者への声掛けがあり、各地方の余力に応じて何かしらの連携イベントが立つ、という仕組みになっています。今年は #福岡XR部 、#DoMCN が手をあげ、福岡ではチーム開発参加&国内未発売の謎デバイスでの開発、札幌ではパブリックビューイング&交流会の設置を決めました。新たな拠点参加の呼びかけをしたところ #XRm鹿児島 の運営の @abricheese さんと @aym_same さんが参加することになったので、開催期間中の余力などを聞いたのちに開発チーム参加のみをおススメすることにしました。去年パブリックビューイング設置参加してくれた #XR信州 は今年お休みでしたがまた次回以降参加してくれると嬉しいです(今回は年度末前なので忙しいよね)。

 今年の発表会には5チームが参加し、XRデバイスそれぞれの特性を活かしたアプリのデモが公開され、無事終わりました。88888888

北海道としての道外拠点増設サポートの内容

告知の初期段階で北海道でもなんかやる(←参加者の状況に応じて調整)ことと、北海道以外の地域での拠点増設に関してサポートする事を明言してその後のアクションに繋いでいきました。これもパターン化されてきましたね。

札幌に関しては、
①札幌近郊に開発参加者がいる場合は機材の調達を行う(HoloLens2, Quest3は手持ちのもの、Magic Leap 2, Xreal系はレンタル活用)。
②開発者が集まらなさそうな場合は、集会場を設置して交流の場にする(パブリックビューイング会場、ガジェット体験会場、もくもく会などから適宜)。

道外拠点設置に関しては、
①パブリックビューイング会場の場合はconnpassイベントページを立てる際のひな型の提供
②チーム参加の場合は参考事例などの共有
③共通 告知拡散のサポート
を軸に行います。とにかくハードルを下げるための情報共有を進めるのが私になります。




パブリックビューイング&交流会場の設置と当日の運営

 北海道会場は去年のMicrosoft Base Sapporo会場からDeep Tech CORE Sapporo会場(https://deeptech-core.com/)に変更して開催しました。Deep Tech CORE Sapporoは今年の4/1オープンの施設で、XR、IoT、AI、LEDビジョンなどのテーマで開発するエンジニアを応援するための空間になるそうです。会員は機器の現地貸し出しなども受けられるようになります。
 ここを半日の間オープン状態にさせていただいて、3/17日の成果発表会開始の16時までの間自由に交流できる場としました。ガジェット持ち込みも可して、登録してくれた参加者さんそれぞれが見せたいものを持ち寄ってガジェット体験会が自然発生するようにしました。この会場が初めての人もいたので、人数が揃った段階でスタッフさんに施設案内してもらう時間も作り、LEDビジョンの空間などの活用イメージも得られるようになりました。
 会場では、新しく参加者が到着するたびに、受付兼会場係の私がその人の活動紹介などをみんなの前でするようにして、会話のきっかけ情報を提供しました。こうすることで、お互いが何の人なのか分からない気まずさみたいなものをある程度軽減できたと思います。会場は終始なんらかの会話でワイワイしていました。発表会の配信が流れている最中も会場の隅で盛り上がっていたので、試みはうまくいったようです(リアルタイムツイートは私がやっていて、アーカイブは動画で残るので問題ない)。

新会場を利用できるようになるまでのアプローチ

2月からの取り組みでした。毎年開催されているHMCCさんのxR Exhibition in Sapporoの開催告知記事を何となく読んでいた2/7に会場を知り、2/8に見学申し込み→2/13現地訪問という流れで会場にアクセスしました。どうやら問い合わせからの見学訪問者第1号だったようで運営会社の社長さんとも挨拶できました(実はこれが大事)。SNS拡散することに許可をもらい、会場の様子を報告していった結果、それを見ていた数組の見学者が後に続きました。私の方にも見学希望が集まったので今度はDoMCNとして2/19にも見学に行き、それぞれのメンバーの紹介などもして交流を深めました。
 施設のコンセプトなどをお伺いして、ビジネスビジネスした人達よりはエンジニアエンジニアした人達に利用を進めてほしい施設だという事が分かった段階でMRハッカソンでの会場利用を相談しました。使わせてもらえることがだいたい決まった2/21には毎月のXRミーティングが丁度あるので、そこでパブリックビューイング会場設置の告知ライトニングトークをして参加者集めを始めました。
 xR Exhibition in Sapporo(3/1)、北大IT研究会合同勉強会(3/15)などに足を運んで、お話してくれた人の中でハッカソンイベントに興味ありそうな人を直接スカウトしたりして当初予定の10人の参加者を集めました。主催者が外に歩き回って知り合いを増やすメソッドは今回も有効でした。

自分の勉強 兼 参加者集めのイベント参加

↑を聴いてA-kunさん(@A919515)(北大メタバース研究会)をスカウト

やりたいことは開発者コミュニティ文化の理解促進

 ここまでの内容から、第三者が見ると結構めんどくさい事をしているように思われそうに思いますが、技術者コミュニティと技術者コミュニティ未体験者の文化の橋渡しをする上では必要な事だと思っています。まず、民間の営利企業は非営利の有志団体の行動パターンなどはほぼ知らない(特に地方)という前提で、どうやったら技術者フレンドリーな場ができるかという視点で色々やることが大事です。反応を見ながら現状の改善を図っています。

・発信ベースの層の存在を知らせる

 Deep Tech COREさんには見学当初のSNS投稿の反響や、3/1のxR Exhibitionの関連ツイートのまとめなどを共有しました。地元企業のサラリーマン・行政関係者などはまずイベントのつぶやきなどはしませんが(リスク高いため)、一方で盛り上げ気質のある方は事前や最中に積極的につぶやいてくれて、彼らがイベントなどの認知度向上に寄与してくれることを知ってもらえると考えています。

・運営者のニーズを伝える

 また、道外のITコミュニティ運営者の見学希望もいくつかあり、そのうちスクラムフェス[2024 福岡大阪・etc…]などの開発者フェス運営の川口さんが3月に来たタイミングで見学の随伴をしてイベント運営者視点での会場活用の議論などをしました。

・イベント誘引しやすい優れた仕組みを共有する

 機材&会場貸し出し型のコワーキングスペースとして私が唯一継続成功している例だと思っている(他にもあったらごめんなさい)、福岡のエンジニアカフェの運営の様子や、そこで運用されているハッカーサポーター制度などの紹介を随時行ってきました。


 これらの情報共有の成果なのか、今回のパブリックビューイング会場設置に関してはとても開催しやすい使用料金に納めていただけました。
 人の行き来が復活してきて、道外から札幌に来るXR企業の人もチラホラ増えてきました。せっかくXRに強く関連づいた施設が新しくできましたので、そういった人がフラッと展示しに来るみたいなイベントを増やせると道外勢・札幌の地元エンジニアの双方がwin-winになって良いのではないかと思っています。会場提供側が得るものが少ないとそれは問題につながるので、私の出張先で得られた共通関心の情報を共有するなどもして、機会が広がるようにも努めています。

まとめ

 MRハッカソンをきっかけに、道外拠点を増やすとともに、道内の拠点の開拓も同時並行で進めていたお話をまとめました。メイン会場の大阪はハッカソン本編の準備・運営が忙しいと思いますので、拠点増設などのサブ作業には手が回らないと思います。このあたりをオンラインかつ非同期で補完することで一味違った盛り上げ方に寄与できるのではないかと考えています。やっているアクション自体はもくもく会の準備くらいのものでそんなに難しくないので、他の地方で興味を持ってくれる人がいればうれしいです。
 会場を確保する方法についてはレンタルオフィスを使う手ももちろんありますが、ただやったという結果が残るだけだと波及が難しいので、そうではなく人ー人の繋がりを新たに生む方向でのアプローチを継続して機会が続いていくようにアレンジしていきたいと思っています。

以上です。

(2024/4/2 仮公開 4386字 300min)