物流業から飲食業のエンタープライズセールスへの転換:1ヶ月間で取り組んだ課題と気づき
はじめに
こんにちは。タイミーでエンタープライズのCSMをしている竹内(takejun)です。
この記事では、エンタープライズセールスで物流業界の最大手企業の担当から、飲食業界の最大手企業の担当に転換した私が、1ヶ月にわたって取り組んだ課題や気づきについてご紹介します。
読者としては、以下の方々を想定しました。
エンタープライズセールスの事業を伸ばしたいが何から始めれば良いか分からない事業責任者
THE MODEL型のカスタマーサクセスのアプローチでは成果が出ないと感じ始めたエンタープライズセールスの担当者
「SMBとエンタープライズは何が違うのか」を知りたいSMBセールスの担当者
2024年はエンタープライズセールスを得意にする
以前、「エンタープライズセールス成功に向けた最適なアプローチ」と題して、株式会社OpenPage代表取締役の藤島誓也氏の記事をご紹介しました。
記事の冒頭にも触れられていましたが、エンタープライズセールスはSMB向けセールスと同じ戦略や構造では売上を上げることが難しく、エンタープライズセールスを成功させるためには、「大企業の経営戦略や課題に結びついた提案が必要」であり、実際に私たちと協力してプロジェクトに取り組んでいただく「ミドル層とボトム層の視点が重要」であることが強調されています。
このように、ITやSaaSの業界では、製品やサービスの導入が決まれば大きな売上が期待できるエンタープライズセールスに注力する動きが始まっています。
タイミーでも、2023年にエンタープライズの個社専属部署を設立し、昨年は大企業のトップ層、つまり経営・役員陣へのアプローチに重点を置きました。その際に初めて、THE MODEL型のカスタマーサクセスのアプローチでは成果が出せないと感じ始めました。
そこで、エンタープライズセールスではセールスから運用プロセスを決定し、分業せずに一気通貫で一人の担当者、あるいはチームやグループを組成してフォローアップすることが重要であることに気づいたのです。
物流業から飲食業のエンタープライズセールスへの転換
そんな2023年を経て、ちょうど1年が経過したタイミングで、物流業界の最大手企業の担当から飲食業界の最大手企業の担当に転換しました。
物流業界と飲食業界では業界構造が全く異なることは容易に想像できるかと思いますが、私たちのアプローチの違いとしては、担当する事業所(加盟店含む)の数が全く異なります。
例えば、物流業界の物流倉庫というのは、規模(延床面積)が大きいのが特徴です。EC大手のアマゾンジャパンの物流センターは2024年3月時点で27事業所。大手家電量販店ヨドバシカメラの物流センターは2024年3月時点で3事業所。大手ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営するのは株式会社スタートトゥデイの物流センターは2024年3月時点で5事業所と、対象のアカウント数は限られています。
一方で、飲食業界の店舗というのは、規模(延床面積)が小さいのが特徴です。ファミリーレストランチェーンの店舗数を挙げても、減少傾向が続いているものの、ガストが1,317店舗、サイゼリヤが1,073店舗、ジョイフルが615店舗と、対象のアカウント数が広範だとわかるかと思います。
1ヶ月で取り組んだ課題と気づき
「小さくても良いから、1ヶ月で成果を出す」という志のもと、組織文化は大きく変えずに、主に3つのことに取り組みました。
⑴デイリー1on1を実施
目的は、
意見・要望を傾聴する
仕事について丁寧に指導する
困っていること・不安なことを傾聴する
です。
マネージャーが果たす役割には「目標達成」と「メンバー育成」があります。それも、初月から成果を出すためには、メンバーとのコミュニケーション量が必要だと思い、デイリー1on1を実施しました。
なぜなら、エンタープライズセールスで個人が果たせる役割は大してないからです。私自身もメンバーのサポートを得ながら、何とか事業を維持・向上できていると実感しています。そのため、日頃からメンバーの意見や要望に耳を傾け、特に困っていることや不安なことを把握しておくことは、チームワークの上で重要になります。
また、それらに関わる複数のPoCも、パートナー企業のミドルマネジメント層やメンバー層との連携が多いことから、チーム連携の重要性を再認識させます。したがって、計画の管理にも力を注ぎつつ、私自身は顧客課題の特定や同様な事例の類推、顧客インタビューからの情報収集、データ分析を通じて、メンバーが顧客との適切な対話時間を捻出できるように貢献しようと考えました。
⑵ガントチャートで行動計画を可視化
組織課題に各々が目標達成のために実施すべき行動とそのプロセスを管理するための計画が立てられていない点がありました。
そのため、「今日やること」「明日やること」「今週やること」「今月やること」「3ヶ月間でやること」「半期でやること」「全期でやること」がわからず、時間やコストが無駄になっているように感じました。
ガントチャートを作成し、期限を設定、行動の担当者を決め、各行動計画に連動させました。
これにより、目標達成に沿わない行動計画は修正し、現在誰がどのように行動しているかを把握します。「そもそも、人員を増やす前に、本当に成果に必要な人員数なのか」を、シビアに検討しつつ判断しようと思います。
⑶商談同席で顧客解像度を上げる
「顧客を知る」ために、メンバーに協力してもらいながら、商談にも同席させていただきました。
初月で、その他のタスクも同時に進行させる必要があったため、行動計画の管理には気をつけました。結果として、約20の商談に同席しました。
ファシリテーターはメンバーだったため、主に対話を聞く役割でしたが、顧客を理解すると同時に、メンバーを理解する機会にもなりました。私たちそれぞれの役割に必要な情報を特定し、次の戦略を更新し続けることができたため、「顧客インタビューを通して現場の成功事例が求められている」ことや、「新たな提案のためのデータ収集が必要であること」を把握できました。これらは、実践を通して得られた私のインサイトになります。
エンタープライズセールスを成功させるためのデータ活用
今度は顧客のインサイトを把握する上で、多数の事実を含むデータ活用について触れていきたいと思います。統計的な有意差があるデータは、活用しない理由がありません。
大企業を動かす「やる気スイッチ」を見つけるのも重要ですが、その後のアプローチは「本当にすぐやれば成果が出るのか?」という問いに対するアンチテーゼを出すことです。
そのためには、必要なデータを提案内容に即した形で抽出し、具体的な戦略・戦術を立て、行動計画を策定することで、検証結果を社内外に報告できるようになります。
幸い、そのスキルに長けた方が上長にいるため、事業を拡大する上で必要な相談はすぐに行い、効果検証の数にもこだわる1年にしたいと考えています。
さいごに
この記事では、エンタープライズセールスで物流業界の最大手企業の担当から、飲食業界の最大手企業の担当に転換した私が、1ヶ月間にわたって取り組んだ課題や気づきについてご紹介しました。
2023年末から、自らに「noteの週一投稿」というカルマを課しましたが、投稿内容を見直し、「1ヶ月程度の期間を通し、効果検証した内容の方が役立てられるのではないか?」という仮説が立ち、今回の記事の投稿に至りました。
これから先、約1年間でどう事業に貢献できるかを真剣に考え、行動しながら、セールス、カスタマーサクセス、マーケティングの職能を磨き上げ、エンタープライズセールスを得意分野の一つにしていきたいと考えます。もし、ご興味ご関心のある方がいらっしゃいましたら、noteのフォローと、タイミーでは採用活動も積極的に行なっておりますのでお気軽にお声がけください。それでは、また。
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