特別展「和食(Washoku)」
国立科学博物館で開催されている特別展「和食(Washoku)」へ行く。
海外生活が長かったこともあり「和食」については思い入れもあり、以下、「和食」について整理しておきたい。
海外から見た「和食」とは?
ユネスコ無形文化遺産
「和食」は2013年にユネスコ無形文化遺産に選ばれている。
その趣旨を読んでみると、「和食」というものが、単に「食べモノ」だけでなく、自然との調和、文化、生活とも密接に関係していることがわかる。
Anthony Bourdainと和食
今は亡き、アメリカの著名シェフのAnthony Bourdainがインタビューで、「人生最後に何を食べたいか?」と尋ねられ(誰もが聴きたい問だろう)、すきやばし次郎の鮨を上げている。
(彼が各地の食を巡るドキュメンタリーが大好きだったが、残念ながら2018年に自殺している。ハノイでのオバマ大統領との会食も記憶に残る)
最後の晩餐は?と聞かれ、「すきやばし次郎」と答える。
もし、人生最後に過ごす都市を上げるとすれば「東京」。
ハノイでのオバマ大統領(当時)との会食
世界水準から日本の食はどの位置にあるのか?
最も意義ある物差しとしてはミシュランの星の数なのだろう。今月公表されたミシュランガイドで東京は引き続きレストラン数で第二位のパリを大きく引き離し世界でトップとなっている。
「和食」展で感じたこと
この特別展で様々な学びや気づきがあった。
ひと言で表現すれば、「食」は、まさに民族が長い年月を積み重ねて進化させている文化に違いない、ということ。
展示会では、各時代ごとの「和食」変遷が紹介されており、大変興味深い。つまり、その歴史を理解しないと、なぜ、世界に類をみない「和食」が誕生したかが理解できないからだ。
学んだことの例を挙げると、
・なぜ、和食は水から入るのか。
・日本人と海藻の関係性(特殊性)
・和食を変えた「麹」
・「うま味」とは?旨味、おいしさ、とは違う
・肉食を避けたのは仏教の影響だけではない
・稲作と国家運営の密接な関係 等々
そして「和食」の偉大さは(日本人の偉大さ、と言い換えてもいいのかもしれない)、外からの文化を、うまく自分の文化に昇華するイノベーション力、だと気がつくのだった。
具体的には!
すき焼き、カレーライス、オムライス、コロッケ、照り焼きバーガー、ナポリタンスパゲッティ、ラーメン、焼き餃子、焼きそば、カレーパン、カステラ、お好み焼き
これらも今や立派な「和食」です!
特別展で、唯一残念だったのは、英語表記がなかったこと。(オーディオはあるのだが)
インバウンドの観点も含めて、海外に向けて、もっとアピールすべき!
「和食」こそ、日本が誇るソフトパワーに他ならないと思う。
特別展では、「和食」を維持することの危機感も訴えかける。
これは教育(食育)も大きく関係すること。
そして、「和食」が、インスタントな文化の対極にあることを考えると、心の持ち様、心のゆとり、そして、それを良しとする社会・コミュニティ、が重要になるのではないだろうか。
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