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【財務】貸借対照表から掴むべきこと

前回、貸借対照表のしくみについて記載した。
”そんなこと知ってるよ”という方が大半だと思うが、中小企業・小規模事業者の経営者の方はプロ気質の方が多く、意外と財務諸表については任せっきりということも少なからずあるように思う。
そのため、もう少しわかりきったことを改めて記載していきたい。

貸借対照表が意味すること

貸借対照表から掴むべきことは、どこから資金を調達して、どのように運用しているかである。

調達資金原資と運用の一覧表

どこから資金を調達して=負債・純資産

  • 負債=他人資本・返済義務のあるお金の事で、買掛金、未払金、銀行からの借入金など

  • 純資産=自己資本・返済義務のないお金の事で、株式を発行して得た資金、利益の蓄積など

どのように運用しているか=資産

  • 資産=何に投資しているか、何に使っているか?現金預金、売掛金、建物、車両運搬具、ソフトウエアなど

貸借対照表のチェックポイント

現金預金

一番のチェックポイントとも言える。もちろん多ければ多いほど安全性は高くなるが、多すぎても集めた資金を有効活用できていないという判断となる。一般的には総資産(貸借対照表の資産の部の合計金額)の3割程度が目安。

売掛債権(売掛金、受取手形)

掛売りをした場合に金額が計上される。売掛なので、売上として計上されているが、資金回収ができていない金額がこの項目に計上される。売掛債権回転期間という指標により、目標値や業種平均値と比較し、可能な限り短期間で現金化するような施策を検討するべき項目。

棚卸資産(商品、製品、仕掛品など)

企業が販売または加工を目的として一時的に保有する資産、一般的に”在庫”と呼ばれるもの。全ての商品在庫が優良資産(=すぐに現金化する)であれば問題とならないが、滞留在庫や不良在庫がある場合は注意が必要となる。

固定資産(土地、建物、機械設備など)

固定資産とは、流通や販売を目的とせず企業が長期間保有する資産や、1年を超えて現金化・費用化される資産のこと。1年以上に渡って資産を活用する資産のため、少しずつ費用化していく(減価償却)。未活用な資産(遊休資産)がないかがチェックポイントとなる。

借入金(短期借入金、長期借入金)

他人(金融機関など)から借りたお金のこと。短期借入金と長期借入金があり、短期は1年以内に返済期日が到来する借入金のことで、1年以上のものは長期という。借入金は資金繰り表などを活用し、計画的な返済や借り換え計画を把握しておく必要がある。

利益剰余金

利益剰余金とは、これまで企業活動で貯めてきた貯金のこと。この貯金を使って次の展開への投資原資にしたり、株主への配当原資、従業員への還元などを行う。

この貸借対照表を使って、企業の安全性や効率性指標などを算出し、同業種指標と比較することで、自社の財務的な課題を認識する。財務分析の詳細はまたの機会に。

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