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決断しないベテラン女性の生き残り作戦

彼女は男女雇用機会均等法が適用されて入社した第1期の入社と聞く。当時入社する女性の数が少なかったことと、美形で英語も達者ということで上層部に人気が高かった。

外見は「プリズンブレーク」のあの女性副大統領にそっくり
帰国子女は入社当時珍しかったこともあり、目立っていたようだ。しかも英語が
達者である。最初のキャリアは企画部門。英語が活かされたかどうかは疑問だが、
当時は企業のブランディングやCI(コーポレートアイデンティティ)VI(ビジュアルアイデンティティ)に関連するクリエイティブな仕事をしていた。営業サイドから見れば、花形のポジション、憧れの的である。

合意形成で責任を分散する作戦
その後もクリエイティブ畑を歩んでいたが途中で営業部門へ異動になるなど苦労も経験している。その性格はといえば、酒も多いに嗜むし、話し言葉は豪快で性格もさっぱりしていると多くの人には見えるようだ。しかし、長年そばで付き合っていると実はそうではないと私は気がついた。経営層が絡むような案件も比較的相談されやすい良いポジションにいた彼女であるが、そのような案件が降りてくると必ず多くの仲間をまず集めるのだった。しかも自分なりに案件内容が整理できていないのに。一番困るのが、何のためにそのテーマをやるのかが不明確なまま、偉い人の心の内を慮って(ある意味類推して)事を進めようとするのである。従って仮説に基づく提案の数がものすごいことになってしまうのだ。「とにかく叩き台を作る」そしてそれを基に真意を探るという非効率なアプローチが常だった。分からないことがあれば直接確認すればいいものを。確認した上でこれで行こう!と決断しないのだ。多くの関係者の合意形成が常套手段。この種の上から突然降ってきた案件で形になったものはほとんど記憶にない。単なる経営層の一言を、その取り巻きが針小棒大に受け取って彼女に伝えていたようだ。それにしてもそれらに巻き込まれる有能なクリエイターたちはたまったものではなかった。かように彼女は、自分一人で責任を負うのが怖かったのだろうと私は分析する。

プライドと自己防衛本能
彼女はかなりプライドが高い。特に語学力については。そして経営層に近く、時々相談を気軽に受けている過程で、自分が高いポジションにいると勘違いしたのかもしれない。彼女が話をしている最中に言葉を挟むと「最後まで喋らせなさい!」と叱られる。その割には人の話をあまり聞いていないような気がするが。また、女性だからという観点でこの仕事が合っている、というような意味合いの発言に異常に反応する。いわく「男女は関係ない!」である。「女性ならでは見方」というものは彼女には存在しないらしい。これはジェンダーフリーということ?意味不明なのだ。最近思うのは、これらのメンタリティは長い会社人生の中で多くの男性と伍して戦ってきた影響だろうか?ということ。機会均等世代第1期入社として衆人環視の中、肩肘張って仕事をしてきて、ロールモデルとして失敗できないという呪縛から自己防衛本能がそうさせたのか?

ダイバーシティの最前線で
最近は多くの企業でダイバーシティ(多様性)が経営課題にあがっている。男女、年齢、障害の有無、国籍、LGBTなどの要素を経営に取り込むことで新しい発想や価値を創出する事を目指すものだ。このような活動を社内で推進するにはそれなりの組織が必要だ。そこで私は、彼女が主体的にダイバーシティを推進する組織のリーダーになる事をお薦めする。今まで自分が感じてきた事がきっと多くあるはずだ。それを実際の施策にぜひ活かして欲しい。理念や形だけのダイバーシティはいらない、まずは女性たちが本当に生き生きと働ける環境づくりから始めてもらえればと思っている。頑張れ!怖がるな!


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