ウクライナ戦況の報道について

とても遠い国だけどウクライナとロシアの戦争には開戦時からずっと興味を持ち続けている。いや開戦よりずっと前の三つ編みを頭に巻いた美人首相ティモシェンコの時代からウクライナには興味があった。美人が多いからだろうか? そういえばNHKの人気番組「BENTO EXPO」でレギュラーだったアンナも超絶美女のウクライナ人で個人的にはすごくファンだった。ティモシェンコは汚職で逮捕投獄されて、実はあの金髪は染めていたということが発覚したときは少々ショックだったが、その後も人気芸能人だったゼレンスキー氏が大統領になってしまうのだからその間の10年余り、ウクライナの政治不信、人材の欠如は本当に大変だったのだろうと想像している。
 日本のニュースではあまり報道されなくなった感のあったウクライナロシアの戦争であったが、先々週はウクライナ軍のトップをゼレンスキー大統領が解任するなど、色々な動きがあり国内ニュースでも報道され、先週からはどうもウクライナが相当劣勢で弾薬も足りなければ若い兵士の動員もできてなくて、圧倒的にロシアが有利な戦局であるとか、何百人も捕虜になってしまったなどというウクライナの苦境を伝える報道が沢山出てきて、本当に急に裏で何かが解禁されたかのような振れ方だった。思うに、もともと昨夏以降ロシアが有利に展開していたことを専門家は知っていたものの、ウクライナ支援国西側チームに属する日本なので、自己情報統制されていてウクライナの戦果に寄せて報道していたのだろう。「言葉はいっぱい。具体的な約束はゼロ」と揶揄されたミュンヘン安保会議が開催され、欧州各国の支援について議論がなされたあとだけに、ここ数日は本当にロシアがこのままでは勝ってしまう、大変だという報道が席巻している感じだ。

これを言うには勇気がいるが、私はウクライナは割譲を受け入れてでも戦争を早く終結させたほうが良いと前から考えている。もともとクリミア半島周辺は歴史的にロシアの核心でもあり、またウクライナ東部の親ロシア地域は民族・文化面ではロシアだろうし紛争要因がたくさんある地域だ。だからこそミンスク合意を繰り返して大規模な戦闘に端を発した大国代理戦争が起きないようにヨーロッパ諸国は知恵を絞ってきたのだ。ウクライナの西側傀儡政権が米国や西側諸国からの兵器支援を求めるのは今回が初めてではなくて、もう10年前から武器をくれ武器をくれと言い続けている。一向に実現しない西側諸国からの武器支援モラトリアムに風穴をあけるために国内不人気だったゼレンスキー大統領がミンスク合意を反故にして東部地域をアゾフなどに攻撃させてしまい、ロシア本体の侵略の口実を与えてしまった、これが経緯だろうと思っている。国境の現状変更は許せないという正義はもちろんあるが、ウクライナは戦争ですでに30万人を失ったとされている(米国防情報局(DIA)の評価によれば、ウクライナは12万4500〜13万1000人の死傷者を出しており、そのうち1万5500〜1万7500人が死亡したとされている。ロシアは23年12月、ウクライナは開戦以来38万3000人以上の兵士を失ったと述べている)。本来国の繁栄のために働くはずであった若者が戦場で死んでいる。戦争継続は更に戦争被害が拡大するし、西側最新鋭兵器の投入などは、戦争規模の拡大となるだろう。それだけロシアの戦争継続能力があるということだ。逆に言えば休戦が確定し、10年単位で時間はかかってもまた従来のように中国やロシアのような資源大国と自由貿易ができるようになれば、欧州諸国にとっては長い目で見ればメリットであるだろう。

全然専門家でもなんでもないが、ウクライナにもロシアにも仕事の関係で大変良い思い出があるし知人もいる。ほとんど似たような言語を使う民族ではないか、文化だって近いだろう、なぜ戦うのだという大いなる疑問がある。きっと遠い日本から見えないことが山のようにあるのだろう。アメリカでも中国でもよいが、仲裁の下で、どんな形であれ今年のできる限り早いうちに停戦合意となることを願わずにはいられない。

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