ドイツはどこへ行くのか

ドイツ左派ポピュリスト「ヴァーゲンクネヒト」新党は極右の票を奪うか

興味深い記事だとおもう。難民、物価高、経済失速など、ドイツを取り巻く状況がよくなくて、極右と言われるAfDなどの政策に期待感が高まると思いきや、その票を潰し合うような政党があるとは。東ドイツ出身の女性政治家というとメルケルをすぐに思い出すが、政策、特に移民政策については似て非なるようだ(メルケルは連立政権故かも。もしかしたら彼女も本当は移民政策は本意ではなかったのかもしれない)。他方ロシアとの融和路線はこのBSWもAfDも同じでドイツの発展と欧州の安定化にロシア融和は必要とみているのも興味深い。

ロシアに対して宥和的な路線

 もう一つBSWとAfDの政策が似ている点は、親ロシア的な態度だ。BSWは、ショルツ政権とは対照的にロシアのウクライナ侵攻を糾弾せず、ドイツなどEU(欧州連合)諸国のウクライナへの武器輸出を批判している。BSWはマニフェストの中で、「ウクライナ戦争は、米国とロシアの代理戦争だ。欧米は、交渉によって戦争を終わらせようという努力を始めていない。戦火が止まない限り、ウクライナの立場は弱まるばかりだ。欧州は、米国によって本格的な戦争に引き込まれる恐れがある」と警告し、「ロシアと対立を続けていたら、欧州の安全保障は達成できない」と指摘。
 その上でBSWは、「我々は即時停戦と、ウクライナへの武器供与の停止を要求する。EUは援助基金からの支払いを、ウクライナ政府が平和交渉に応じる場合に限るべきだ」と主張している。さらにBSWは、「ロシアに対する経済制裁措置を停止し、ロシアからのエネルギーの輸入を再開するべきだ」と述べ、ウラジーミル・プーチン政権に対して宥和的な態度を打ち出している。同党はウクライナのEU加盟交渉の中止を求めるなど、ヴォロディミル・ゼレンスキー政権に対する厳しい態度が目立つ。

(中略)

 一方AfDもウェブサイトで「欧州で平和を長続きさせるには、ロシアとの協力関係を深める以外にない。ロシアを欧州の安全保障体制に参加させることは、ドイツの利益にかなう。ドイツはロシアに対する経済制裁措置を撤廃し、同国との経済関係を深めるべきだ」と親ロシア的な立場を打ち出している。AfDチューリンゲン支部のビェルン・ヘッケ支部長も2023年8月にスイスの新聞とのインタビューで、「西側諸国のメディアは、プーチン大統領を現代のヒトラーに見せかけようとしているが、ウクライナ戦争の原因はロシアだけにあるわけではない。私は、ドイツの技術とロシアの天然資源を組み合わせれば、両国は無敵のコンビになると思う」と述べ、プーチン政権を擁護している。AfDもロシアの天然ガスの輸入再開に前向きな姿勢を見せている。

Forsight記事 https://www.fsight.jp/articles/-/50437


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