激辛道ならぬ激太道。
激太道。リバウンドの凄さ。
あれは3年前。
突然クリスマスイブに急性胃腸炎になり、2週間程殆どお湯しか口に出来なくなった。
お湯を飲んでも嘔吐する。
なんてこった……
人生初 暮れも正月の高揚感も味わえない年の瀬だった。
その後回復したけれど、元の胃に戻るまで1年近くかかった。
胃を壊す前まであれ程食べていた揚げ物も、ファストフードもお菓子もそして冷たい酒も
口にすれば即座に胃痙攣を起こすようになっていたので、その間はあまり摂取しなかった。
結局8キロ痩せた。
内心怪我の功名で
痩せられたのは良かったな、ニヤ……
と思っていた。ちょっとフニフニしだしていたからだ。プレ更年期中年女らしく、だ。
痩せたらなんの服もスルスル、どんなに動いても疲れない。身軽って素敵。やはり昔ぐらいの体重がいい。
何も気にせず食べられるような胃に戻ってから、仕事を辞めることになったり引っ越し準備などなどバタバタが続くことになりその中で体調を崩すのがいちばん困ると思っていたのでよく食べよく寝た。
仕事を辞めたあと久々に体重計に乗った2019年8月辺りは3キロ増だったのを覚えている…この時はその先があるとは微塵も思わなかった。
「お正月明けたら痩せよー」と軽く思っていた。
2020年明け早々
突然父が死にかける羽目になり病院通いが続くこととなった。
まだコロナは序盤も序盤で、面会の制限もほぼ無く、集中治療室の面会はほとんど自由だった。
父が入院していた病院の集中治療室は待機部屋でガウンやキャップはするものの、
持ってきた荷物や上着はベッドサイドまで各自持参して下さいというシステムで、
「インフルエンザも流行るような時期なのにいいのかしら持ち込んで…」とちょっと心配だった。
父の周りだって全員重症者なわけで、
不意に隣で静かに気管切開処置がされていたり、御家族が黙って傍についていたり、意識のない患者さんが並んでいる。そんな空間だ。
ウイルスや菌について詳しくなんかないし、その時は新型コロナウィルスに関しても大した情報もなく、衣類等に付着したものがどうとかなんてわからなかったけど
こんなに大変な思いをしている患者さんが沢山いる部屋そしてこんなに懸命に治療して頂いているというのに自分から少しでもタバコの臭いがしていたらものすごく失礼なんじゃないかと思いこの時タバコをやめた。
それから一度もまだ吸っていない。
父がICUを出てHCU(ハイケアユニット)に移りそれから一般病棟に移り退院するまで3ヶ月の間、
これまた私は自分が倒れたら大変だと思ってよく食べよく寝た。
体重計には乗っていない。
その後引っ越して、父が退院し、
環境の変化や父の世話や、娘の就職、自分の転職などでかなり生活リズムが変わって
さらによく食べよく寝た。
タバコをやめたが故にいつもならタバコをふかしながら夜空を見上げたりスマホをいじったりする1時間足らずの就寝前ルーティンがお菓子を食べながら映画やドラマを観るに変わった……
世間では緊急事態宣言が出され、その中でも通院はあるし、新型コロナウィルスが拡大していてもかかる訳にもいかない、かかっても死ぬ訳にはいかないと相も変わらずよく食べよく寝た。だが運動もよくした。
10キロのウォーキングやヨガや筋トレを。
夏までは。
夏真っ盛りの時に
健康診断があり1年ぶりに体重計に乗った。
…………
「妊婦だった時と同じの体重になっている…」
娘を妊娠していた時、46キロが56キロになって人生初の50キロに突入したのは
未だに鮮明に覚えていて。
でも当時産んでしばらくしたら9キロ落ちたので一瞬の50キロ台だったわけで。
私は無論その時点で妊娠などしていない。
……こ。これは…………
ま、夏までの間に筋肉ついた……としても…
……痩せなければ……マジで…とブツブツ言っている間に
母が病に倒れた。2020年9月頭である。
もうこの頃は新型コロナウィルスの関係で面会は強く制限されており、死ぬか生きるかの場面が再度近づかぬ限り必要最低限の荷物を運ぶだけでICUにもSCU(脳卒中センター)にも足を踏み入れることは無かった。
痩せねばと思っているさなかに
今倒れてはならぬ…とまたさらによく食べよく寝た。
そうせねばならなかったのだ。
幸い母は1ヶ月で退院し、後遺症もなく
元気にしている。
しかし以前より私が代わりにということが増えた。
私はまたこの頃も体重計に乗っていない。
ヨガだけ続けていたが気温が下がれば下がるほどウォーキングや筋トレは殆どしなくなっていた。
そんなこんなしているうちに年が明け
2021。
最近お腹が邪魔で遠くのものが取りづらい。
真っ直ぐ座っているのがしんどくてすぐ横になってしまう。
服が上も下もほぼ入らない。
ヨガをするのにもお腹が邪魔でやりづらい。
体重計には乗っていない。
もういったい今何キロなのかわからない。
恐ろしくて乗れない。
先日1年半ぶりに会った母の友人に
「誰だかわからなかった!あんなにペラペラだったのに!」と言われた……そんなに見てくれが変わっているのだろうか……そう……首が何だか太い…甲状腺でも悪いんじゃないかと調べたけど単に「肉」らしい。
鎖骨の窪みは消えつつある。
肋骨の上にも何か肉がたまる。
太ももの付け根が擦れる。
腕の脇がモタモタする。肩幅が凄い。体の厚みが増している。ブラジャーがきつい。
指が太い。指輪が入らない。
これは……これぞ激太りなのではないか…
ついた筋肉の落ちもあれど
去年の夏からまた増えているのではなかろうか……
運動量は確実に減っている……ヘルスケアアプリを開いてみても月のトレーニング回数は減っているし時間も短い。歩数も寒くなってきてからどんどん減っている。
だがよく食べよく寝ている……だけは変わらない。
本格的にもう単なる「デブ」である。
オシャレも楽しくない。
好きな服が着れない。
着れたとしても首が太くて何だかおかしい。
肩周りのシルエットもおかしい。
もう冬だというのに少し動くと暑い。滝汗である。夏ならまだしも冬に首が汗で爛れている。動悸もすごい。
昔はとても太った人を見ると
「何故途中でやばいとブレーキをかけないのだろう?焦るだろうに…」と思っていたけれど、
かけないのだ。体重計に乗らなくなる、そして怖くて乗れなくなる。
諦めにかかる。或いはちょっと本気出せば痩せるだろうと高を括りだす。
本格的にヤバい。
今私コロナになって入院しても肺や激痩せには耐えられる気がするけど肥満で死ぬ気がする。
父でHCUを知り、母でSCUを知って
最後はCCU(冠疾患集中治療室)しかないな…と冗談で思っていたけど肥満で心臓やられる気がする。現実味を帯びてきている。
それ以前にこの体型で治療受けるのが嫌すぎる。
パンツもなんか尻が巨大化してて寸足らずみたいになってるし。仰向けで寝ても腹が凹まない。
胸の巨大化も貧乳派としてはかなり辛い。
唯一良いことと言えば顔が丸くなって皮膚がパンと張っているということだけ。
コロナにかかる前に痩せたい。
切実に。ここが大事。
人間、太れるうちが華と言うが
いかんだろ……
それにしても自分がここまで太るとは生きてきて一度も想像しなかった。
何が起こるかわからないもんですね…………
激ヤセして激太り、激ヤセして激太り
この繰り返しのリバウンドは半端ない特に中年には、、
何はともあれ
医療従事者に迷惑をかけぬよう努めたい。
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