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遠まなざし

前回の投稿でも触れた柳田邦男氏の文章に誘発されて星野道夫氏の「森と流氷と鯨」を読んだ。
遺稿集で、著者自身が編集したものではないが、表紙には鯨の骨の立ち並ぶインディアンの墓地の風景、光線の反射で虹色に輝くタイトル、ずしりした重さ、裏表紙には遠まなざしの著者と本の外観からもただならぬものを感じた。

サブタイトルは「ワタリガラスの伝説を求めて」とあり、伝承されるインディアンの神話を辿りつつ、星野氏の「どうして人間はここにいるのか、そしてどういう方向に行こうとしているか」という原初的な問いに導かれるように旅を重ねた著者の文章と写真からはとても普遍的なものが伝わってくる。

彼のアラスカの厳しい環境の中で出会う動物やそこで暮らす人たちへの眼差しには単に写真家、作家を越えて、一人の人間の温かいものを民族や時代を超えて伝えていこうという思いを感じる。
インディアンの儀式で老婆が泣きながら踊る姿を目の前にしてカメラのシャッターを押すことができず、ただそこに一緒にその空気感を味わっていた彼。シャッターチャンスを狙う以前に同じ人と生まれ、大切にしているものが彼の中にある。


星野氏のホロスコープチャートを出生時間12時で作成してみた。
天秤座9室に太陽と水星、天秤座10室に土星、海王星、金星と5つの惑星が天秤座でステリウム。
カルミネートしているのは土星で、目的を目指して苦難に耐え抜く勇気をもち確かな業績を残された。
天秤座9室の太陽、水星で海外(アラスカ)を拠点とした旅での文章、写真を通しての精神的な成熟への道筋を進み、10室(天職、社会生活を象徴)の土星、海王星、金星での旅を通して出会うべく大切な人と出合え、アラスカに魅かれた原初的なものに確実に導かれていった。

ASC射手座に火星が合で激しい冒険心。火星と獅子座冥王星、天秤座海王星の複合アスペクトのミニトラインの形成で、ある意味では予知的に見えない伝説的な神話に向けて導かれていく強いエネルギーが働いていたように思う。

5室牡牛座木星で健康な肉体を得て、職業としても大きな成果を重ねて認められた。
さらに蟹座天王星が牡牛座木星と射手座火星でYOD(ヨード)という複合アスペクトを形成。まさに神に定められてアラスカに導かれ、貴重な出会いを重ねていくことでアラスカで受け継がれてきた普遍的なものと出合ってきたのだろう。


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https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784418065226


ワタリガラスの神話についてのわかりやすいWEBサイトがあり星野氏の本書も引用されていたので紹介したい。
ワタリガラスという存在がインディアンにおける力の象徴であったことが伺える。

https://watarigarasu.work/lp/?id=22


「森と流氷と鯨」は私の蠍座海王星を大いに刺激し、久々に読後に深い感動に包まれた。
やはり遺稿集となったもう1冊の「ノーザンライツ」も一気に読んだ。
理屈抜きに良かった!
アラスカの厳しい自然に魅かれて出合った二人の女性のパイロット、環境問題に対して自分の半生をかけた生物学者、近代化が進むアラスカの暮らしの中で葛藤の中にいるエスキモーの若者たちとの出会い。
そんなアラスカでの人との出会いの物語に柳田邦男氏が感動されていた普遍的なものが流れている。
それを敢えて言葉で説明しようとすればするほど、物語としての価値を下げてしまうように思う。

当時、アラスカの歴史、出来事を通して星野氏が感じられたことは、まさに今も世界でそしてこの日本でも同じような状況が続いている。
福島、そしてコロナ禍での国家の在り方は今更ではあるがアラスカに働いた当時の社会的なうねりと驚くほど重なる。

星野氏の「人間はこれからどういう方向に行こうとしているのか」という問いかけに対して、まさに風の時代となり大きな節目を迎えている。

長年、隠されてきたことが暴かれ、真実が色んな形で顕在化していく大きな流れの中で、私もまたその中にいる。
星野氏のアラスカは、私たちの暮らしの中にも違った意味合いで在るように思うのである。
嘘に囲まれることがあまりに多い中、普遍的なもの真実のものを見極めていく目を大切にしていこうと思う。



https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784101295220



静かなる遠まなざしを春夕焼

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