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迷宮の中で

ある日、田中は目を覚ますと、自分が見知らぬ部屋にいることに気づいた。高級感のある部屋は四方を高い壁に囲まれ、窓は鉄格子になっていて開かない。唯一の出口は重い鉄の扉だった。扉を開けると、そこには無数の廊下が広がっていた。どの廊下も同じように見え、どこに続いているのか全くわからなかった。

田中は一歩一歩、慎重に廊下を進んでいった。廊下の壁には奇妙な絵が描かれており、それぞれが異なる物語を語っているようだった。ある絵には、巨大な虫が人間の顔を持っている姿が描かれていた。別の絵には、無数の目がこちらを見つめている。

田中は進むにつれて、次第に自分がどこにいるのか、何をしているのかがわからなくなっていった。廊下は無限に続いているように感じられ、出口が見つかる気配はなかった。彼は何度も同じ場所に戻ってきたような気がし、時間の感覚も失われていった。

やがて、田中は一つの部屋にたどり着いた。部屋の中央には大きな鏡があり、そこには自分の姿が映っていた。しかし、鏡に映る自分の顔は、どこか違って見えた。まるで別人のように感じられたのだ。

田中は鏡に手を伸ばし、触れようとした。しかし、その瞬間、鏡の中の自分が動き出し、田中の手を掴んだ。田中は驚いて手を引っ込めようとしたが、鏡の中の自分は強い力で彼を引き込もうとした。

田中は必死に抵抗したが、次第に力尽き、鏡の中に引き込まれていった。最後に見たのは、自分の顔が鏡の中で笑っている姿だった。



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