B♭→D
1
きのう君が見たという夢の木に、
「果実はなっていたかい?」なんて、
学者ぶってたずねても
俺らの関係、何ら進展はない。
でも君の夢の木にもし、
果実が豊かに実っていたとしたら
それはきっと
俺らを笑っていることだろうな。
2
「ある意味で、」と前置きすれば
世の中のたいがいのことは言えてしまう。
君は俺、俺は君を何とかしながら、
毎日というはるか昔生まれた
馬鹿デカイ敵と闘っているわけだが、
その毎日という名の蛇の執拗さや
毒の持つ狂おしい熱については
また別の機会に譲ろう。
どうかな。
SOLO(木琴)
3
翼に付加価値をということで、
ミサイルや充電器、マガジンラックを
取りつけたところで飛べなくなったが、
「かえって、いい勉強になった」
と君は言うが本来、
飛ぶための翼かどうかもわからない以上
「それは良かったね」と言うしかない。
そして、俺ら、
そこでは珍しく共感できているわけだ。
ここまでの流れでは。
4
その共感について、君は間をおいて、
「何それ」と言う。
もうちょっと間をおいて「そうかもね」と言う。
俺と言う人間は確信がありながらも
「きっとそうだよ」とぼかす。
矛盾であるが、矛盾でないという矛盾を鼻で笑って
時間は構わず過ぎていく。
それが時間の仕事で、
時間はみんな忙しい。
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