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「努力のつみたて」(成人式に寄せて)

(以下は、本日開催の八戸市・十和田市の成人式で述べた祝辞を再構成したものです)

新年、明けましておめでとうございます。
また本日、成人式を迎えた皆さんには、心からお祝いを申し上げます。
希望に満ち溢れた皆さんをみていると、私が皆さんと同じ二十歳だった頃のことを思い出します。

私が二十歳だった頃は、「箱根駅伝」を目指して毎日毎日練習に明け暮れていました。
中学・高校・大学と陸上競技の長距離に取り組んでいた私は、大学では箱根駅伝への出場を目指しました。
毎日厳しい練習を積み重ね、少しでも可能性の高い年を狙って留年までして、チーム力も大いに向上しましたが、残念ながら大学チームとして予選会を通過できず、夢だった箱根駅伝出場は叶いませんでした(当時は学生連合チームのような個人を選抜する制度はなく、個人としても出場できませんでした)。
それでもその努力の結果として、「大学の個人選手権で1500m全国3位」、「青森東京間の都道府県対抗駅伝で区間賞」など、いくつかの望外の成績を残すこともできました。
これらの経験は私にとって、大いなる挫折でしたが、その後の自信にもなりました。

そうした経験を振り返ったときに、本日成人式を迎えた皆さんには一つの言葉を贈りたいと思います。
それは「つみたて」という言葉です。

「つみたて」という言葉は、「長期定額積み立て」のように、資産形成の手法などを説明する際に使うことが多いと思います。
つまり「株価や投資信託のように変動のある資産に投資する際には、長期間にわたって一定の金額を積み立てることで、安定的に資産形成を図ることができる」という投資理論で、専門的には「ドル・コスト平均法」などと呼ばれることもあります。
この理論の優れているところは、景気の悪い時など資産価格が低迷している時には定額で多くの資産単位が購入できるため、価格上昇に転じるとその時に購入した資産が大きく伸びて資産価値全体を押し上げることです。

ただ、「つみたて」という言葉は、皆さんに資産形成を奨めるためだけに贈るものではありません。
むしろ、皆さんの夢を叶えるために「努力のつみたて」をお奨めしたいのです。

例えば、昨日よりも今日、0.1%だけ成長できるように努力してみてください。
英単語をいくつか覚えることでもいい、スポーツの練習に打ち込むことでもいい、仕事で新しいチャレンジをしてみることでもいい。
時にはとことん悩んでみることも0.1%の成長につながるかもしれません。
0.1%は1000分の1です。「1000分の1だけ自分が成長するように」と思えば、それほど難しいことではないように感じられると思います。
でも、その0.1%の努力を1年間毎日続けると、1年後には1.44倍以上になります(スマホの電卓で「1.001の365乗」を計算してみてください)。
さらにその努力を2年間続けると2倍以上になります(1.44の2乗です)。
4年で4倍、6年で8倍、8年で16倍、10年で32倍以上になります(実際に1.001の365乗の10乗は38倍を超えます)。
今の自分が10年後に32倍以上に成長していれば、どんな大きな夢でも叶いそうな気がしませんか?

「努力のつみたて」の大事なところは、「ドル・コスト平均法」と同じように、「自分の調子が悪い、厳しい環境の時にこそ努力を継続する」ということです。
厳しい時につみたてた努力が、そのスランプを脱した時に大きく自分を成長させてくれます。
毎日毎日、少しずつの努力を積み立てて、ぜひ今、皆さんの心の中にある淡い夢を、10年後には現実のものとして実現してください。

そしてその夢を実現する過程では、皆さんは家族や先生、地域の人たちなど、たくさんの人に支えられて進むはずです。
皆さんが気づかないところで皆さんを支えてくれている方々への感謝を忘れずに努力をつみたて、夢を実現したらその感謝をどうすれば返せるか考えてみてください。

本日、成人式を迎えた皆さんには限りない可能性があります。
自分の可能性を信じて、まっすぐ進んでください。

本日は、本当におめでとうございます。

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