あじさい

気が向いたときに。

あじさい

気が向いたときに。

最近の記事

ヒドロン

掴んだそれを左から右へと回す 途端に変化に耐えられなくなったそれはプシュッと音をたてる 透明な容器を覗き込んでみると ぷつぷつとしたそれは生きているかのように弾けている たまたま日向に立っていたので 陽の光が差し込んだそれはキラキラと光ってみえた その光の粒は 口のなかでも音をたてて弾け続ける

    • KEEPOUT

      ガラガラと音を立ててそれは崩れてゆく 大きな腕が一定のリズムで振り下ろされる 役目を終えたそれは まさに無機質なモノと化す もはやそこに人の熱はなく 誰の想いもなく いったいどんな人たちがこの空間で過ごしていたんだろうと思いを馳せる そして更地になった土地には また新しい熱が戻ってくるのだ

      • 速度

        圧倒的なスピードを持って、日々は流れてゆく やりたいこと やらないといけないことに埋もれてゆく 溢れてる、そうわかったのはいつだったか 日々の流れをゆっくりに、スローペースに戻していきたい そう願うこの頃。

        • 夜の切れ目

          ひとりきりの室内。 あたりは静かだが、時計の短い針はもう下を向いている。 閉めきったカーテンの隙間から弱い光がもれている。 今は何をしてたんだっけ? 昨日は何をしてたんだっけ? 小さい画面をぼーっと眺めているその間にも、 カーテンの向こうはどんどん明るくなってゆく。 どんなに情けなくても、どんなに楽しくても、 これで "昨日" は終わりだ。 また、今日が始まる。

          整理券

          がやがやと音がする。 少し薄暗い空間。 天井には明るすぎない照明が光っている。 通りすぎるでなく立ち止まっている人々は、思うがままにその時を過ごしている。 誰かと話す者 グラスを傾ける者 携帯を眺めている者 音楽を聴いている者 この時間、彼らの視線は不規則な方を向いている。 しかし全員が、ある時間を待っているのだ。 照明が照らす先、 たくさんの楽器と機材が並ぶ、そのステージが開幕するのを。 時間が近づくにつれて、人々は落ち着きがなくなってくる。 時計を気にし

          心の隙間

          一番だったモノとずっと心待ちにしていたモノが今年、終わってしまった。 "最後" が無かった人たちを知っているから、 それは残念である一方で喜ばしいことでもある、ということはわかっている。 でもそれでもモヤがあって、 心の底からは祝福できない個人のエゴがあって。 ぽっかり空いたこの穴は、どうしようね。 今はまだ見つめることしかできないけど、 たまに涙が堪えられないときもあるけど。 抱えていくか、充たすか、 どちらかしかないんだろうな。 まだ胸は痛む。 でもお疲れさま

          今年のスケジュール帳

          12月になった 今年ももう終ろうとしている 年初に買ったスケジュール帳をめくってみても空白が多かった 先の予定。 日にちを決めて楽しみに、心待ちにする予定。 今年はすごく少なかった もちろん楽しいこともあったけど、 それは一時的な感情であることが多かった 来年は少しでも笑顔が増えますように。 …まだクリスマスもきてないけどね。

          今年のスケジュール帳

          最近の

          日常は制限されても、私が違う人間に変わる訳じゃない。 夜更かしは好きだし、飽き性だし、ずっと家で過ごせる引きこもりだし。 できないとこも多いし、気持ちが落ち込むこともある。 自粛をしながら、終わりを夢みている。 良いこともある。今はそれだけ見ていよう。 そんな逃げの姿勢も私のもの。

          動く箱

          聞き慣れた音 コトッといった後、一瞬静かになって ゴーっと目の前を通りすぎてゆく 金属が擦れる音 左から右へと押す風 人々は思わず髪や衣類をおさえる 冬は肩を縮こませ、 夏は冷房へと急いて待つ。 …… 屋外で待つときは周りを見渡している 空から天気を予想したり あの人はどこに行こうとしてるんだろうと考えたり ぎゅうぎゅうに押し込まれて苦しくても それでも向かわないといけない 向かいたい場所がある それは義務で、それは趣味で、 身動きが取れないな

          fun

          世の中には良い音が溢れている。 多くの人が音をつくり、曲をつくるけど、 それはどれも違う顔をしている。 情報が溢れている今の時代は、 サイトからおすすめされる機会も多い。 「○○が好きなあなたには… これがおすすめ!」 それを辿って行くとまた、そこには違う世界がひろがっている。 音には誰かの想いが込められている。 誰かの不満や怒り、 そして、 誰かの希望が込められている。 それを洪水のように浴びて、排水溝に流してしまうなんてやっぱりもったいない。 これが古い考えだ

          夜の街

          日はとっくに沈み、空は黒くなった。 道路には次々と光の筋が走り去っていく。 煌々とした看板がいくつも並んでおり、 人々はその横を通りすぎて行く。 しん とした空気など微塵も感じさせないほどに、 あたりは様々な音で溢れている。 人々の話し声 街頭に立てられたスピーカー 喋りながら走る宣伝カー ビルの壁面にくっついているテレビ 交差点が青に変わると、 溢れんばかりの人たちが思いおもいの方向へ一斉に歩き出す。 止まらず、動き続ける街。 立ち止まっても、きっと誰も気づかない。

          羽が壊れた。 動きはするのだが、 動く度にカタカタと音がする。 ー寿命かな。 ーいや、直せるんじゃない? 解体してみた。 ひとつずつ取り外す。 組み立てる時の逆。 ーここまでかな。 変わらず羽はカタカタと動き続けている。 音源らしき場所はわかった。 だか音の奥は暗く、手も届きそうにない。 これ以上解体もできない。 ーもう駄目かな。残念だけど。 その瞬間、 カタカタという音が悲鳴に聞こえた。 2019年、夏。 風を吹くそれは、電源を落とされ、 箱

          透明

          雨の音が聞こえる。 自動車が音を立てて走り去っていく。 窓からは時折、バチバチと激しい音が聞こえる。 ゴォゴォと風が吹く。 堪えきれないかのように窓が揺れる。 帰り道、暗い雲がピカッと光った。 だが光と音はどこかへ吸い込まれてしまい、こちらにはやってこなかった。 つられて反対側を見上げると、月がいた。 雲に守られているようだった。 夜が始まる。 月はもう見えなかった。 朝がきたら、月も雷も、 透明になってしまうだろう。 朝がきたら、私も 透明になる。