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自由なキャリアデザイン

このホイスコーレの卒業生、ミケルさん(34歳)に話を伺う機会があった。

彼は、在校中に下半身麻痺の車椅子生徒、ヤコブさん(当時22歳)を北ヨーロッパで最も高い山ノルウェーガルフピッゲンの登頂の経験をした。その様子はドキュメンタリーにもなり、日本でも一部で放映された。

私が興味を持ったのはミケルさんの人生設計だ。彼はホイスコーレを卒業後、漁師として1年間働いたが楽しみを見出せずもう一度ホイスコーレに戻ってきた。また一年後に卒業し今度はアルバイトをして貯めたお金でバックパックをしヨーロッパ中を旅した。そして今はノルウェーの島に住みツアーガイドの資格を取得し、ツアーガイドや観光親善の撮影協力など幅広く活動している。

彼の中で人生設計は3ヶ月しかないそうだ。一年先のことなどわからないし今やりたいことを素直にやりたい。そう過ごしていたら今の仕事にたどり着いた。そうおっしゃていた。

質問の機会があったのでこんな質問をした。「自分のやりたいことをする人生設計だとパートナーと揉めませんか?」という質問をした。この質問で私とミケルさんの見える世界が全く違うことがわかりとても面白かった。

私が想定していたのは、収入が不安定だと生活が難しくなるという意味であった。おそらく日本人ならばそういう意味で受け取るだろう。しかし、ミケルさんはパートナーとの時間を過ごすことに着目して、それでも良いと言ってくれること付き合っていると答えた。同じ日本人生徒の中にも私と同じ発想をしていた人はいたようだった。

続けて、「そうではなく、金銭的な面でもめることはないのか」と質問したところ、「それはない、今残っているローンは携帯だけだし、もしものことがあったら国からお金がもらえる、それに彼女も働いているからね」と答えた。

この着眼点は日本人にとって斬新なはずだ。もちろん、何年も先のことを考えながらキャリアを描くデンマーク人もいるだろうが、それよりも今本当にしたいことを追い求めて生活する人もいるようだ。


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