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小林泰三先生が答える!『プロに聞く!ホラー作家になるためのQ&A』(第6回)

絶賛作品募集中の『ジャンプホラー小説大賞』。その記念企画として、ホラーを愛する作家の方々に、連続インタビューを行います。プロが語る、ホラーとの出会い、作品を書く上での秘訣やテクニック、心得など……受賞を目指す皆さん、ぜひ先生方のご回答を、作品執筆の助けにしてください。

第6回は、小林泰三先生にお答えいただきました。

小林泰三先生 プロフィール

1962年、京都生まれ。 1995年、「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、同題短編集でデビュー。同作品は田中麗奈主演で映画化されている。デビュー以降、論理を駆使した作風で、ホラー作品のほか、SF・ミステリのジャンルでも高い評価を受ける。1998年、「海を見る人」で第10回S-Fマガジン読者賞国内部門受賞。 2012年、『天獄と地国』で第43回星雲賞日本長編部門受賞。2014年、『アリス殺し』で2014年啓文堂大賞(文芸書部門)受賞。同作はシリーズ化され、2019年6月時点で『クララ殺し』『ドロシイ殺し』が刊行されている。 2017年『ウルトラマンF』にて第48回星雲賞日本長編部門受賞。最新刊は、新潮文庫nex『神獣の都 京都四神異端録』。 

『玩具修理者』(角川ホラー文庫)


Q1.ホラーにはまるきっかけになった体験や本、 人生を変えた一冊などを教えてください。

 楳図かずおさんの作品には衝撃を受けました。特に、『漂流教室』からは強い影響を受けています。人類が滅亡した後の世界に投げ出された小学生たちの生き残りのための戦いは現在でも斬新な物語だと思います。映画では、ジョン・カンペーター監督の『宇宙からの物体X』から影響を受けています。こちらも、カルチャーショックを受けるほどのインパクトがありました。

Q2.ホラーを書くうえで大事にしていることは何ですか?

 読者を楽しませる作品を書くには、まず自分が楽しむことが大切だと感じています。もちろん、人気商売なので読者の嗜好に合わせるように計算しながら執筆するという方法論もあるでしょうが、とりあえず自分が楽しめないような作品で他人である読者を楽しませるということはほぼ不可能に近いと思います。

Q3.作品のアイデアはどのように作り出しているのですか?

 日常感じたふとした疑問や、アイデア・イメージが元になっている作品が殆どです。その時点では、断片的なものでしかありませんが、そのアイデアなり、イメージなりを繰り返し脳の中で再生していくうちに、自然とストーリーが膨らんでいく感じです。単純に結末に向けて成長していくのではなく、前後左右上下に膨らんでいく感じです。

Q4.デビューを目指す新人へメッセージ・アドバイスをお願いします。

 作品を書き始めるのは簡単ですが、完結させるのはある程度の力技が必要になります。たまたまモチベーションが高い時に書き始めたのはいいが、数枚で自分の設定に飽きてしまい、そのまま放置して次の作品に取り掛かるというのが作家志望の方にはありがちだと思いますが、作品を完結させなければ、そもそもスタートにも立っていないということを自覚してください。完結(完成ではない)した瞬間が誕生であり、その時から物語は完成に向けて成長を始めるのです。皆さん、精一杯頑張ってください。

小林泰三先生、ありがとうございました!

『アリス殺し』(創元推理文庫)

次回は(第7回)は、ウェルザード先生です!

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