〜二千文字物語意〜 暗闇の告白

「なあ「暗闇の告白」って小説しってるか?」

学校の登校中、高校生の智也は友人の淳に話しかける。

「うーん、しらないな。あんまり小説読まないんだけどそんなに面白いのか?」
「めちゃくちゃ面白い!動画投稿サイトに投稿されてる携帯小説なんだよ。毎日1話ずつ更新されてたんだけどそれが今日最終回だったんだよ...
毎日の楽しみがなくなって憂鬱だわ...面白いから淳も読んでみろよ!」
「まあそこまで言うなら...じゃあ帰ったら読んでみるわ~」

放課後、淳はそんな朝の出来事を思い出しながら今月家に小説投稿サイトに登録した。智也がお勧めしてた小説は10,000人くらいの人が読んでるみたいで結構人気の小説家みたいだ。ボリュームも話してた通り1話5分ちょっとで読める内容で10話まで投稿されていた。
「まあ1時間もあれば読めそうだな。」
そう独り言を呟きながら小説を読み始めた。

第1話(出会い):
私、倉野  半二 と 吉野  光 の出会いは10年前の夏だった。
当時大学生だった私は特に目的もなく生きており、彼女もおらずパチンコにあきくれる日々だった。そんな時に友人の慎一から合コンの誘いを受けそこで出会ったのが光だった。
[次回:アタック] 

第2話(アタック):
正直合コンはあまり期待していなかった。あまり恋人というものに実感は湧かなかったし、何よりこんな自分を好いてくれる人はいないと思ってたからだ。そこに吉野  光はいた。とても綺麗な方で彼女の仕草1つ1つに目を奪われていた。今まで人を好きになったことはない私とっては経験したことがないような、それこそよく言われる電流が流れたような衝撃が身体中に走った。
私は話上手な方ではないが、少しでも光の目に止まるように積極的に話しかけた。周りから見ると必死で滑稽なやつかもしれないがそれでも光と仲良くなりたくて頑張ったのだ。その結果なんと次の週の日曜日にデートに行く約束を果たしたのである。
[次回:初デート] 

第3話(初デート):
光との初デートはとても緊張した。私にとって人生初のデートで、着ていく服を考え、デートプランや話の話題を探したりとこの1週間は本当に充実していた。
デート当日、15分ほど早く待ち合わせ場所に到着した。待っている間に何度も今日のシュミレーションをしていたが、光が現れるとそんなことは一気に
吹っ飛んでしまった。
光の真っ白なワンポースに見惚れてしまって何も言葉が出なかった。光とはレストランにいき、動物が好きだと言っていたのでそのまま近くの動物園にいった。色んな動物を見ながら無邪気になっている光を見ていると私もとても嬉しい気分になった。
そして夜ご飯を食べた後、月が綺麗に見える丘で告白した。光を一生幸せにすると、だから結婚を前提にお付き合いをしてほしいと、今考えると大学生がとんでもないことを言ってると恥ずかしくなるが、そんな私を見て光は笑いながらもオッケーをしてくれた。そこから先のことはあまり記憶がないがその日はずっとにやけがとまらなく、とても幸せな時間であったことは今でも覚えている。

第4話(喧嘩):
付き合ってから約1年ほど経った。二人の仲はとてもよく、私にとって初めての彼女はかけがえのないものとなっていた。去年までは何もなかった私もこれから光を守っていくために学業にも力をいれ、少しでも待遇の良い会社に就職できるよう努力をした。また彼女がボランティア団体に入ってることから私も一緒に参加することになった。光と一緒にボランティアに参加している時間は私にとってもかけ替えのない時間となっていた。
そんな時にあの事件は起こった。付き合って1周年記念のプレゼントを買いにきたところ光と友人の慎一が一緒にいるところを目撃したのだ。
私は光と慎一の後を追って行った。そこで行き着いたのはなんと光の家だった。私は小一時間ほど光の家の前で張り込んでいたが一向に光が出てくる気配がないので彼女の家に飛び込んだ。そこで目にしたのは脱ぎ捨てられた二人の服だった。私は怒りに身を任せて慎一掴みかかった。私と光を出会わせてくれた恩人だと思っていたのにそれが裏切られて頭に血が上っていた。
慎一はもともと光を狙っていたのに数合わせの私が奪っていたとか言っていたが私にはそんなことは耳に入らず慎一を殴り続けた。慎一も私を蹴り返す。二人の喧嘩を怯えたように見ていた光は二人を宥めようと喧嘩に割って入った。タイミングが悪かった。本当にただタイミングが悪かった。光が
喧嘩を止めようと二人の間に割って入ったタイミングに慎一の右ストレートが入ってしまったのだ。そこで倒れ込んだ先に机の角があり光は後頭部をぶつけ意識を失ってしまった。そこからはほとんど記憶はないが、ひたすら光の名前を呼び続けていたことだけが記憶に残っている。
[次回:暗闇の告白]


第5話(暗闇の告白)

光と喧嘩をしてから一ヶ月、あれから連絡は取れていない。光の体に後遺症はなく、ただの脳震盪だったみたいだ。俺は好きな人を傷つけてしまったことにとても後悔をしていた。本当に大事な人に自分の幼い感情をぶつけてしまい傷つけてしまった。できることならもう一度やり直したいと思い彼女をデートに誘った。今日は彼女と出会ってちょうど一年目だからここで謝って仲直りをしよう。そう思い初デートで行ったレストランでランチをして、彼女の好きな動物園に行って、ディナーに行った。彼女はとても楽しんでくれたみたいだ。最後に月が綺麗に見える丘に行き、
「この前は本当にごめん!何も考えずに酷いことを言ってしまって...でも僕には光さんが必要です!もう一度僕とやり直してください!」
震えた声でそう叫ぶと彼女は
「私の方こそごめんなさい!感情的になってしまって...私もまたやり直したいと思ってたんだ。今日はとても楽しかったよ!私で良ければ是非これからもよろしくお願いいたします!」
そう明るくも少し照れた顔をしながら私たちはまたやり直すことになった。

[次回:新しい付き合い]


第5話まで読んだ淳は続きを読み流した。どうやら主人公の半二は紆余曲折ありながらも最後は好きな人と添い遂げたみたいだ。
淳は少し考え込んだ後警察に相談することにした。

前の話 https://note.com/jump0114/n/n4a902725c8b0
次の話
第一話 https://note.com/jump0114/n/ne692ed6c1d47


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