自分を名付ける

親からもらった名前は漢字二文字で、珍しい字でも奇抜な読みでもないのに、同じ名前の人を滅多に見ない。他と区別するという役割では重宝している。
父は届けの時に「子」をつけ忘れたのだという。妹は「子」の付く名前だ。きっちりリベンジしている。


自分を名付けることは最早ありふれたことだ。ペンネーム、ハンドルネーム。私はこの「文月ちろる」の名を20年ほど使っている。大きな活動をしているわけではない。ちょっと仮の名が要るときに使う文字列を統一しているだけだ。
親の名付けと並ぶくらいにこの名を気に入っている。女性の名に見えながらも、戸籍上の名前ではなさそうだと一目で分かるのが良い。


いくら仮の名だからと言って、むやみに嘘をつくことはせず、正しく七月生まれである。夏の暑さに閉口しても、夏生まれという響きは良い。
夏に生まれると楽観的になると聞いたことがある。生まれた瞬間、胎内と外界の温度差をあまり感じなかったら「この世チョロい」となるのではないか。しかし現実はそれほど簡単ではないのだ。

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