まっしぃ

小説、詩を書いています。

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最近の記事

夕立、肺に花を咲かせて

風呂上がり、突然降り出した雨を 近く、温泉宿の入り口にて見つめる。 草葉が夜闇に音を立て、 アイスティの様に植物の香りを溶け出している。 蒸し暑さを穿つ夕立に肺が染っていく、感覚。 ”体温も、感化されて夜になっていくのか” 湯気に変化していく呼吸を見て想うのだった。 シャンプーの香りが、ぼんやりと 夜闇に花を咲かせた気がする。

    • 今日、肺に睡蓮を咲かせて

      遠くの森でジィジィと夏虫が鳴き 横目に木々、緑の香りを肺に吸い込む。 右の森では鳥が戯れ、左の空き地にカエルが歌っている。 夜に山里が呑まれるまで、残り数秒。 僕らに左様ならをする様に陽が沈んでいく。 段々と肌寒さを感じてくる。 みんな、太陽の方ばかりを見つめているから 僕の目には彼等の黒い背中ばかりが映る。 日の傾きに釣られて 各々、家にカラスが帰っていく。 音も無く空を滑って、帰っていく。 「なァ、君タチはいつだって背中ばかり見せてゐるのだなァ。」 陰は僕を放って、小さく

      • 人生海底理論

        今でも憶えています。 何にもない何処にもいない そんなちっぽけな僕を愛す君に、 ひねくれた感情で下心を疑いました。 濮は独り、海底にいました。 あなたのひかりを今でも、 遠くに見据えて歌を書いています。

        • 雨、孤独を浴びるわたし。

          曇天、雨粒が屋根をけたたましく叩く音がする。 皐月も初旬だと云うのに夏の錯覚をした。 こんな日は頭が妙に痛む。 喩えるなら、紫陽花に囲まれた梵鐘が その、地鳴りにも似た音色を響かせるような ゴォン、ゴォンと頭を踏まれる感覚。 だから誰も外には出たいと思わない。 水圧にも似た、水滴に心を呑まれて仕舞うから。 こんな日は詩を歌っていよう。 孤独なら、声は誰にも届かないさ。 昨日、恥ずかしかったあの歌も あの日、あの人に笑われた記憶も 雨なら、全部関係ないさ。

        夕立、肺に花を咲かせて

          脱走

          4/17 人生で初めて社会で生きる事を放棄した。 精神科の定期検診終了後、 青い空を眺めていると その色が自然と僕の心を覆っていって 遂には心象を蒼く染めあげてしまった。 「逃げ出してしまおうか」 今日、僕は私生活から小さな脱走をした 「どうしようもないな」 自転車をいつもより強く踏んでみる 電動自転車は 「グォォ」 と大きな唸り声をあげて機械的に加速する なんだか面白くって「ふふっ」と笑う。 黒い学ランを籠に入れて 締めなきゃいけないホックを開けて そのまま学

          褪せていくのは

          この前、抗うつ剤の副作用で体育を欠席した。 何もせずにぼぅ、としているのは 時間を損しているな、と想い 余り好きではないボールペンと手帳を持ち グラウンドへ向った。 その日は景色を見て歩く事にした。 変人だとクラスメイトには思われただろうが 僕にはどうでもよかった。 その時の記録。 2023 2/21 木々がさざめいている。 さらさらと擦れる音が余計に寒さを助長させる。 白い砂を踏む。 やはりこれもさらさらと音をならす。 少し焦げた様な色褪せた木が居場所なく、空き地に

          褪せていくのは

          流れ星を見た

          今日、流れ星を見た。 君の別れ話を聞いた直後に見つけたんだ。 でも、予想以上に味気ないものだった。 綿毛が宙を舞うような、 春嵐が葉を吹き飛ばすようなものだったから。

          流れ星を見た

          パニック障害でした

          パニック障害でした

          2/19

          最近鬱気味な日常が続いている。 敢えて創作に耽って蓄積した想いだとか、穢れた発想だとかを吐き出して毎日を生きている。 ここで邪悪で傲慢な思考回路の数々を書き並べても、気も晴れなければ思想の奴隷を増やしてしまいそうなので今日の創作を語ろうと思う。 今日、見つけた景色。 今日は『またねでいいから』という自作小説の景色、設定からインスピレーションを受けて作曲をした。 ※未完どころか序章しか書いていない。 未だ音楽には詳しくないので、ギターでコードを弾きながら歌う形を取った

          愛こそが感受性だと思うのです

          愛こそが感受性だと思うのです

          創作の軌跡

          かれこれもう何年小説を書いてきたんだろう。 最初からファンで居てくれたあの人ってすごいな...とつくづく思う今日この頃です。 早く死ねって思っていたみんな、 残念、しぶとく生きてます。 僕は創作を大きいものにしていきたい。 まだまだ描きたい物語は沢山ある。 だからこそ、よりリアリティを追求したい。 音楽が書きたい。

          創作の軌跡

          評判良ければ続けます

          評判良ければ続けます

          夏を忘れそうになる時期ですね

          手品と花火 「さっき、夢を見たんだ」 蒸し返るような夜の公園、花火を手に青年は呟く。 膝を抱えてしゃがむ彼をブランコに座って眺めていた。 冷たい夜風が2人の間を流れる。 私の髪は風に乗ってさらり、と宙に泳いだ。 橙、薄紅、次縹、かと思えば、また橙。 彼の横顔は何度も照らされ、淡く色を変えてゆく。 向こうの暗がりから響く、蝉や蟇の鳴く声に上塗りされて仕舞いそうな、僅かな破裂音と共にその一言は色濃く聞こえたのである。 「夢って」 私は言って、意識を彼に向ける。 「澄

          夏を忘れそうになる時期ですね