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【SEA】xwOBAで見る主力の打撃と2B問題について


初めに

マリナーズファンが高じて、この度noteを書くことになりました。
第一回目の投稿は投稿主がxwOBAを使って、推しチームであるマリナーズ主力選手の打撃を見ていきます。また後半では現状打線の穴となっている2Bの3人について解説します。

登場する指標の説明

wOBA:打者指標の一つで、安打や四球などを得点価値を加重して打者を評価する。打者が1打席あたりにどれだけチームの得点増加に貢献したかを表す指標であり、WARの計算にも用いられているため、現在最も利用されている打撃指標の1つである。

xwOBA:wOBAから相手の守備の影響を排除した期待予想値指標。打球データと打者の走力から期待される得点価値から計算されるためより打者の実力を測りやすく、今後の選手予想に用いられることが多い。 

BABIP:本塁打を除くグラウンド内に飛んだ打球が安打になった割合。平均値を大きく外れた場合は運や敵守備の影響が考えられ、選手の好不調が実力に起因しているか否かの判断基準になる。

だいたいこんな感じです。

より詳しい解説はメジャトピさんが指標の解説動画をアップされているので下記動画をご覧下さい


SEA打者の散布図

今期80打席以上のSEA打者wOBA.xwOBA


グラフの説明
x軸:wOBA
y軸:xwOBA

リーグ平均のwOBA:0.310
リーグ平均のxwOBAの値は算出されないのでwOBAと揃えて:0.310

y=xより上側の選手はwOBAよりもxwOBAの数値が高い
y=xより下側の選手はwOBAよりもxwOBAの数値が低い


強化された主力の打撃成績

wOBA.xwOBA共にリーグ平均以上

まず注目したいのは、2B以外の主力選手がすべてリーグ平均のwOBAを上回っている点です。K.Seager、Haniger、Lewis、Murphyと2020-2021シーズンに活躍した選手が居ない現状でも打線が強化されています。
実際にチームwOBAは
昨期(2021)27位→今期(2022)17位
と著しい成長を見せています。
昨期は棒立ち三振集団、今期はシアトル残塁マリナーズですが
これは若手選手の台頭(Julio、Raleigh、Trammell)や、補強選手の活躍(Winker、Suarez)がチームの攻撃力底上げに貢献しているのではないかと感じます。

そしてこの中でwOBAがxwOBAよりも高く出ている選手はFrance、Julioだけでそれ以外の6選手はさらなる成績向上が見込まれます
また、Franceの怪我で急遽獲得したSantanaはwOBAがxwOBAよりもかなり高く出ているため期待が持てます。
France関しては両指標に大きな変化は無いため、怪我の状態にもよりますが、今後の成績は少し下がる程度なはずで、Julioはメジャー適応に苦しんだ4月の成績が反映されているため、Julioの今後の成績が高くなる可能性は十分にあります

苦しむ2B三人衆

wOBAはリーグ平均以下で
xwOBAはリーグ平均かそれよりも上

次は2BのFrazier、Moore、Toroについてです。見事に全員wOBAがリーグ平均以下で、これでは現状2Bでの打撃貢献は見込めません。では一人づつ詳しく見ていきましょう。

①Toro
Toroは今期80打席以上に立った全373選手中341位のwOBA.236です。
またマリナーズ内でも下から
Kelenic<Toro<Torrens
とマイナーに降格しているKelenicを除けば最下位です。
最近ではToroを使うなの声がツイッターでも多くなってきていますが、実際の成績が反映されるwOBAがこの低さではそう言われてしまいますよね。
では何故フロントはToroを起用し続けるのでしょうか。2B、3Bとユーティリティ性があることも一因でしょうがMoore、Frazierにも共通します。
これはToroのxwOBAにあるのではないかと私は考えます。現状のxwOBAは
Frazier<Toro≒Jujio
となっています。これは少し驚きですよね。
ToroのxwOBA-wOBA=.088とかなり乖離のあることが分かります。この原因はトロの異様なBABIPの低さが影響している可能性があります。ToroのBABIP.170は80打席以上立った全373選手中ワースト4位で、リーグ平均のBABIP.289と比べて.119の差があります。
なので今後成績が向上する余地があるためToroに打席を与えているのではないかという結論に至りました。

②Frazier
ToroついてはwOBA.xwOBAから起用される理由を見つけ出すことができましたが、xwOBAがリーグ平均程度、wOBAとの乖離も3者で一番低いFrazierを使う理由はwOBA.xwOBAから見つけることが出来ませんでした。BABIPがキャリア平均と比べ落ちていますが2020年や昨年のパドレス移籍後の成績も同様であるため、今後保有権が残り1年のFrazierをトレードで動かすのか、成績向上を期待して保持するのかどうかを注目してみましょう。

③Moore
今期の2B三人を比較すると
xOBA
Toro<Frazier<Moore
xwOBA
Frazier<Toro<Moore

と何故Mooreを使わないのか理解できない数値になっています。xwOBAはキャリアハイを残した2020年期.357とほぼ同水準の.355で、2020年期よりBB%は4.1%上昇、K%は逆に1.2%減少
しています。2者と同様に今期のBABIPは.203と異様に低い数値になっているため、今後Mooreをレギュラー起用し続ければ良い成績を期待することができます。来期大型契約を野手と結ぶのであれば2Bが最有力候補で、大型契約でなくとも2Bを守れる選手の補強は行うことになるでしょう。つまり2Bレギュラー起用のチャンスは今期までの可能性が高いです。
なので私の言いたいことを一言で纏めると

Mooreをもっと使ってくれ!!!!!

となります。Mooreがレギュラーとして計算できるようになれば、現状でもサラリーを抑えて若手主体でチーム編成をしているマリナーズが、補強資金を他の大型契約や契約延長に回すことができます。昨期大きく成績を落としフロントやファンを裏切る形となってしまいましたが、もう一度Mooreを信じて使ってみてもいいんじゃないでしょうか。

最後に

ここまでマリナーズの打撃成績と2B選手について書きましたが、なぜ今回xwOBAを中心に選手を評価したかを説明して終わりたいと思います。MLBは結果主義+データ主義で、全ての成績がデータ化されファンに公開されます。その中でOPSなどはmlb.comでも閲覧可能で選手の評価としてよく語られる指標です。ただ、今後の予想をできる指標ではないため実際の成績は低いけど、今後の成績は高くなる可能性がある選手を正しく評価できていないのではないかと考えたため今回のnoteを書きました。
投稿主はToro選手の2B、DH起用についてはあまり賛同できなかったのですが、今回データを見ることで起用について一定の理解ができたため、このnoteの作成は非常に有意義な時間であったと感じています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。2001年以来マリナーズのプレーオフ出場を祈りつつ今回のnoteを終わります。

参考資料

FanGraphs

データは6/29時点で算出してグラフを作成

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