見出し画像

【SEA】FIP5.14!? 逆境に強すぎるMarco Gonzalesという男

初めに

前回の投稿が沢山の方に読んでもらえて嬉しくなってしまい、2回目の投稿をすることになりました。今回はマリナーズのMarco Gonzales選手について取り上げていきたいと思います。再建期からマリナーズのローテーションを支える選手で大崩れすることなくゲームを作るところが魅力で、投稿主も大好きな選手です。早速経歴から見ていきましょう。


Marco Gonzalesの経歴

2010年29巡目でCOLから指名を受けるもゴンザガ大学に進学
2013年1巡目全体19位でSTLから指名され入団2014年6月にメジャーデビュー
2016年TJ手術で全休
2017年外野手Tyler O'Neillと1対1トレードでSEAへ
2020年4年3000万ドルで契約延長

当時はTyler O'Neillを出して獲得するほどの選手ではないとの評価が多かったと聞きますが、今のマリナーズには欠かせない選手だと私は思います。

Marcoの成績

W.L:勝敗数
GS:先発試合数
IP:イニング
ERA:防御率

今期前半は打線の援護に恵まれていなかったので敗戦が多いですが、ここまで計算できる先発としてSEA投手陣を支えています。
また、ERA3.24とリーグでも平均以上で
Montas、A.Nola、Darvishよりも高い数値となっています

ただこれは評価の全てではありません。ここでMarcoのアドバンススタッツの一部を表示します。

K/9:9回の平均三振数
BB/9:9回の平均四球数
WHIP:1回の平均出塁人数


1(低)←リーグ平均→100(高)

この成績はおよそコンテンダーで先発をしているとは思えません。
FIPは、今季規定投球回を投げているメジャーの全先発で63位中62位つまりワースト2です。
一時期は最下位でした。
もちろんFIPは三振、四球、HRで算出するので緩急で打者を打ち取るタイプのMarcoの
指標は悪く出ますがそれでも悪すぎます。
WHIPも殆どの回でランナーを出しているイメージの通りですね。
ではなぜここまでFIPとERAに差が出ているのか?それは異常なまでのMarcoの勝負強さにあります。


指標で分析する勝負強さ

ここからは指標でMarcoの勝負強さを見ていきます。
まずはClutchから
あまり見慣れない指標ですので説明から入ります。また、今回はFangrahsのClutch算出方法を使用します。

Fangrahsより引用

WPA:勝利期待値の増減。セイバーメトリクスでも特殊な指標で、あえてプレーした状況における評価をすることにより勝敗の影響力を考慮する指標。
pLI:場面の重要度指数。点差やイニング状況でその場面の重要度を表す。平均的なシチュエーションは1.0
WPA/LI:場面の重要性を中和した勝利貢献度。打席毎に勝利期待値の増減を場面の重要性を割ることにより、場面の重要性を考慮せずに勝利をもたらした値を表す。

計算式はこのようになります。
つまりClutchが何を表した指標かというと、ある選手が重要度の高い状況下で、平均的な成績よりもどれだけ良く、あるいは悪くなったかを表すものなのです。
勿論これは全て過去のデータを使用するので予測指数として使うことはできません。
Clutchが高いからといって、今後重要度が高い場面を抑えられる訳ではないということです。ただし、ここまでの成績が勝負強いものだと言える根拠にはなる指標だということです。

平均が0ほとんどの選手が±1に収まる

では今期規定投球回を超えた選手のclutchランキングを表示します
1 Corbin Burns 1.32
2 Marco Gonzales 0.98
3 Jose Urquidy 0.86
4 Calors Carrasco 0.83
5 Nestor Cortes 0.80

現時点で63人が規定投球回に達しているためMarcoは上位3.2%ということになります。これはMarcoの勝負強さがリーグでもトップクラスであると言えます。また、去年も0.89と勝負強さが今年だけの確変ではないことが証明できます。

シチュエーション別の成績

では本当に重要度の高い場面でパフォーマンスが向上しているかを確かめます。
今回はリーグ平均とシチュエーション別でABG.OBP.OPS.wOBAを比較します。

Marcoの今期成績とリーグ平均数値

重要度が高くなるにつれて4つ指標すべての成績が向上しています。
これだけきれいに揃っているのは感動レベルですよね。
ランナーがいない場合はリーグ平均以下でも、ランナーが出た途端リーグ平均以上になり、得点圏では打者を圧倒しています。
つまり重要度が高い場面になればなるほど投球成績が向上することが、FIPなどの指標が悪くてもMarcoが失点を防ぎERAを低く保っている理由となります。
ピンチのイニングを無失点で切り抜ける場面を何回も見ているいちマリナーズファンとして、この結果は納得のいくものとなりました。


最後に

今回はMarcoの勝負強さを指標で見ていきましたがいかがだったでしょうか。
セイバー指標はシチュエーションを考慮せずに今後がどうなるかを予想する指標で、FIPなどはサイ・ヤング賞にも影響を与えるようになりました。
他方でMarcoのようにシチュエーションによってパフォーマンスが向上する、アンチセイバーで逆境に強い選手は指標という面では評価を落としてしまいがちですが、妙な魅力のようなものがありますよね。
明日(7/15)はMarcoの登板日ですので、今回のnoteでもしMarcoに興味を持った方がいたらぜひ試合で勝負強さを確かめてみてください。


参考資料

Fangrahs

Baseball Reference

Baseball Savant

データは7/14時点で表示しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?