泣き虫の困りごと
母からの最後のプレゼントは
又吉直樹さん著の「火花」だった。
もう私もいい歳だし、誕生日プレゼントなんて要らないと言ったのに
母にとっては私はいつまでも「子ども」で、
可愛い袋に入ったこの本をくれた。
そんな母が不慮の事故で、ほぼ植物の状態になってしまい
これが最後のプレゼントになった。
もう事故から2年以上経つのに
私はいつまで経っても隙あらばいつでも泣き虫に変身する。
「火花」をみてはクリスマスを思い出し、
台所に立てば母の姿を探す。
思い返せば、いつも反抗ばかりしていた私。
ちゃんと「ありがとう」って伝えていたかな。
女手一つで育ててくれたことに感謝を表していたかな。
料理がおいしいって言ってたかな。
私を産んで良かったって思っていたかな。
一人で暮らしていたとき寂しかったのかな。
その時ちゃんとご飯食べていたのかな。
今、ベッドの上で何を考えているかな。
子どもが居て幸せと感じてくれているかな。
後悔の波が押し寄せてきて、私は一気に泣き虫になる。
何年経とうが私の涙は枯れることを知らない。
日頃から思っていることを伝えることは、本当に大事。
決して綺麗ごとではない。
私は、後悔しながらも、母が生きている限り話しかける。
日常で嬉しかったこと・悲しかったことを聞いてもらおう。
時々ボロボロになるけれど、泣きながらも
私は母の子どもで良かったことを伝え続ける。
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