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この粘土には一般家庭から出た廃陶磁器が20%も含まれている

東京在住のフローリスト、YUKI YOSHIKAWAさんとのコラボレーション花器の開発に取り組んでから、もうすぐ一年が経とうとしている。


当初の目的の一つに、サステナビリティな要素を含む「#ノーフローラルフォーム」の為の花器には、環境のために還元できる“なにか”を持たせたいと思っていた。

そもそも陶磁器の原料は土、環境には優しいはずだけど、いったいどこから誰がどうやって作っているのだろう?

陣屋丸仙窯業原料株式会社、専務の牧さん

昨年度、訓練校が休校となった2ヶ月弱の間、陶磁器製造を目指す学生たちに向け「コネル陶芸大学」というオンライン授業を開講してくださった方々がいた。

コネル陶芸大学の授業内容は、現在Youtubeでご覧いただけるようになっています!

その授業の第11回目で、瀬戸にある「陣屋丸仙窯業原料株式会社」の専務・牧さんが、粘土がどのようにして私たちの元へ運ばれてきているのかをとても丁寧に説明してくださっている。

瀬戸の粘土はあと10年で枯渇する?!

驚いたことに瀬戸の粘土はあと10年持つか持たないかと言われているそうだ。もともと太古の大昔は湖だったと言われるこの瀬戸一帯は、良質な粘土が採れる産地として有名とのこと。
その粘土が採れる鉱山が、採れ尽くされてなくなってしまう。これは瀬戸だけに限った話ではないそうだ。もちろん新たに山を切り崩せばまた粘土は採れるのだそうだが、代償が大きいように思う。たくさんの生き物たちの住処である山、森林、それらを破壊してまでして、私たちの手元に残すものって、一体なんなのだろう…。

牧さんは粘土の価値を上げるために様々な取り組みをされています!
牧さんの詳しい情報はこちらをどうぞ!

廃陶磁器ってどうなるの?

では私たちが日常で使用している陶磁器が、使えなくなり燃えないゴミとして回収されたあと、一体どうなるのかというと、一部を除いて全て埋立地にGOだそう。(東京都の廃棄物処理省に電話して聞いた。)
土は一度焼いたら産業廃棄物。埋め立ててもまた粘土に戻る為には何億年という歳月がかかるらしい。その廃陶磁器、科学の力でなんとかしてまた新たな陶器として焼き直せないのだろうか?

ヤマカ陶料株式会社さんのRCL-2!

そこから私の地道な作業が始まった。自宅で出た割れた陶器を一斗缶に入れ、ホームセンターで買ったレンガ(98円)ですり潰し始めた。粘土に混ぜて少しでも再利用する為に…。
もちろんそんな馬鹿みたいなことしながら焼いて実験を繰り返す間にいろいろ調べた。愛知万博時代に研究されていた「Re瀬っ戸」粘土のこと、廃陶磁器を粉砕する以外の方法で粘土を作れる技術がないかとか、廃陶磁器をどこかで粉にしてもらえないかとか…。
残念ながら、「Re瀬っ戸」は開発関係者によると、出来上がった製品がことごとく割れてしまい、商品にはならなかったとのことで、現在は販売中止になっていた。私の自作リサイクル粘土は手間をかけ手に傷を負っても10%混ぜるだけが限界だった。(それ以上混ぜるとろくろで薄く引いた時に千切れてしまう。もちろん技術の未熟さもあると思う。)
そしてようやく見つけることができた。すでにもうリサイクル粘土なるものがあった。
陣屋丸仙の専務さんに思い切って電話で問い合わせたところ、『岐阜県多治見市にある「ヤマカ陶料株式会社さん」が廃陶磁器20%配合してる粘土作られてるんですよ〜』と紹介してくださったのだ。
…早く聞けばよかった。

リサイクル粘土にご興味のある方はこちらをどうぞ↓
取り組みなどについても書かれています。

ひきやすい!

実際にろくろで引いてみると、とてもひきやすい。それにきめ細かくて、綺麗。これにさらに私の粉砕陶器10%追加してもひけるんじゃないかな…。自然のものに近いザラザラ感が欲しい私にとっては、あまりに綺麗すぎるくらい。廃陶磁器が20%も配合されていても、何ら他の土と変わりなし。すごい。

でも、高価なの。

そう、高価なの…。私がいつも買っている貫入土の2.5倍の値段。リサイクルって、どうしてもコストと手間がかかると思うので、多少高価なのは仕方ないことかもしれない。
けれど、そんなこと言っていられないくらいに、地球環境問題が切迫している。もう、今ひとりひとりが出来ることから何とかしていかないと、私たちの住む地球はこれから先かなり過酷な状況になってしまうそうだ。
「高いけど、それを選択する。」そんな人が増えていくのではないかと思っている。
でも提供する側も、コストや手間がかかるから高いのは仕方ないって言っていたら、やっぱりゆっくりとしか世の中は変わっていかないのかな…。とも思う。
厳しい原価率だけど、(それでも自分で破壊陶器作る手間より何倍もいいが)なるべく価格は上げないで早く上手に作れる技術力で、カバーできるよう頑張ろうと思う。


YUKIさんとの共同開発花器ももうそろそろ大詰め!どんどん焼いて妥協せず良いものを作りたいと思います!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
また焼いたら報告します♩

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