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この器には、廃陶磁器が30%近くも含まれている。

先日手に入れた"廃陶磁器が20%配合された土" でコンポート型の花器を焼いてみたので、結果を記しておこうと思う。

廃陶磁器粘土入手の経緯は こちら をどうぞ!


白土と黄土の2種類があり、ろくろでひいた感触はどちらもそんなに遜色がなかった。

もちっとしていて滑らかで、ザラザラした荒さや砂の感じはなく、とても成形しやすい。
うすくひいてもしっかり持ち堪えるので、これなら欲張ってさらにシャモットや粉砕廃陶磁器を混ぜても耐えてくれるのではと、重さに対して10%量を足してひいてみた。
まったく問題なく、余裕のひき心地だった。

素晴らしき廃陶磁器粘土!

天然土が枯渇してゆく中で、このヤマカ陶料さんの廃陶磁器20%混合粘土「RCL-2」は、きっと今後の陶料世界を支えるものになっていくだろうと思えた。
(歴の浅いお前が何言ってんだって感じだが、未熟者の私でも綺麗に成形できる良質な陶土だと言えると思う!)

👆焼き締め、無釉 (黄土)
+10%の陶片を混ぜた物

👆陶片入りの化粧土をかけたもの(白土)

👆マット調の釉薬をかけてみたもの(黄土、白土)

『釉薬は乗りにくいかもしれません。貫入が入りやすかったり、上手く出ないかもしれないからテストしてみてくださいね』とヤマカ陶料の古林さんはおっしゃられたが、きれいにのったと思う。
普段使っている土よりは少々色ムラができた気がするが、作り込まれていない自然な花を扱う者からすれば、きっとその自然らしさも悪くない。

枯渇していく天然土

話は逸れるが、先日、職場の陶芸教室で、小学5年生の子どもたちへ出張教室に行った時に、少しグッときたやりとりがあった。

教室が終わり片付けの最中、自分たちの机の上に転がるカスになった粘土を指差して、「これってどこに捨てたらいい?」と聞いてくれた子達がいたので、こう答えた。

「これは捨てずに、全部集めて、水に浸して粘土に戻してみんなにまた使ってもらうよ。この粘土、元々は木だったり私たちみたいな生物だったものだよ。何年、何千年、何億年経って粘土になるの。焼いてしまったら、粘土に戻るまでまた何億年もかかるんだよ。すごいよね。」と。

それを聞いていた子達は、えーっと目を丸くして、各々の机に戻り、細かな土も一粒残さず指でつまんで、大事に集めて持ってきてくれた。

あの子達がどう思ったのかはわからないけれど、もしも私と同じように、時の経過の尊さや、生命の循環の素晴らしさを感じてくれてたら嬉しいな。
決して、『お前ら一粒残さずひろわねぇとぶっころすかんな!』ってオーラは出してなかったと思うけど。

今や使い捨てのように陶器が溢れていて、割れたらすぐに捨ててしまうこともあるけれど、土のことを少しでも知っていれば、扱いが変わってくるかもしれない。
天然土が採れる鉱山はもう残り少なく、また新たに土を採る為には、生き物がたくさん棲んでいる山を壊すしかない。私たちが住んでいる住宅の下を掘ることはきっとないだろうから。
100均にも良い陶器がたくさんあるけれど、金額が安くても、価値は変わらないと思うので、大事に使えるといいなと思う。

花器販売までもう少し!


というわけで、ヤマカ陶料さんのRCL陶土は素晴らしい品物だった。
Yuki Yoshikawaさんとの共同開発花器は、この土を使う予定で進めている。
写真の器は先日すべてYukiさんのもとへお送りしたので、形状や質感などをチェックして頂いて、 あとは他の釉薬のテストや、より自然らしい土の風合いを出せるように、もうひと工夫努力しなければならない。

Yukiさんも妥協せず、良い品を世に出すために、本当にたくさんの時間をかけて考えてくださっている。

YukiさんのInstagramはこちらをどうぞ!


長い乱文を読んでくださり、ありがとうございます!
来月、田舎の古民家に引っ越しする予定なので次回は
そのことを書けたらいいな…。

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