お雛様がメンケアしてくれるから。

12:30起床。日常に戻った。
歯磨きをして顔を洗ってご飯を食べたら、もう14:00である。なぜかしら。

今日はあたたかいので、最近購入したジャケットのお披露目とする。ジャケットとかコートを着せてもらう時って、「着る」より「背負う」って感じがするよね。朝、背負わせてもらってたのすきだったな。
ジャケットをしょって大人ぶったわたしは、大人ぶった足取りでパン屋さんに向かう。
先日、大人っぽいよね。と言われたので「大人ぶってる..!」と言ったら、「うん、大人びてる。」と返されて、もしかして、「大人ぶってる」と言ったのを、「大人びてる」と言ったんだと聞き間違えられてしまったのか!?だとしたら恥ずかしすぎる...!!!と焦った。真相や如何に。

パン屋さんに到着したもののシャッターが腰の高さ程まで降りている。念の為調べてみても今日は営業日であるし営業時間中である。なぜかしら。
しゃがんで覗き込んでみた。我ながらその姿はまさに大人ぶった格好をしているやんちゃ野郎である。すると、店主が近づいてくる気配がした。

「恥ずかしッ!!!!」

急いで立ち直す。
店主はシャッターを開けると、今日はもう全部売り切れてしまってお店を閉めたのだと教えてくれた。
帰り際、「良い時をお過ごしください。」とていねいに挨拶され、しゃがんで覗き込んだ恥ずかしさがじわじわと増す。

家に帰るとすかさず、「売り切れてたー、ショックー。」と報告する。健康をしに行くまで少し時間があるので甘酒をつくる。「ショックー。」と、甘酒をすすりながら何度も声を漏らした。
すると母は、落ち込んでいるわたしを見てか、「お雛様が3月3日まではわたしたちのメンケアしてくれてるから。」と慰めてくれた。


『お雛様がわたしたちをメンケアしてくれる』


だいぶパワーワードである。
母はこういうことを全く意識せず素で言うから、本当に叶わないなといつも思う。

そうかぁ。お雛様がわたしたちをメンケアしてくださるのかぁ。そう思うと少し気持ちが落ち着かないでもない。


時間になったので健康をしに家を出ると、ちょうど宅配の人と居合わせた。宅配の人は「こんにちは。」と挨拶してくれた。挨拶をして、すんっと澄ました顔をして帰って行った。
わたしだったら、「わたしが届けてあげたんだよ!!!」という気持ちに溢れて、さりげなく感謝待ちをしてしまう気がする。


健康所へ到着。はやくもカップにメッセージが復活。

スタジオにはわたししかいない。意図せずパーソナルレッスンになってしまった。レッスンが始まると、トレーナーさんは普段視線を各方面へと配らせながら喋るセリフをわたしの目をじっと見つめながら喋る。会話ではない一方的な言葉を会話みたいなシチュエーションで聞き入れることがむず痒くて、不自然に視線を逸らす。それでも尚こちらを向いている視線に、視線を逸らしていても気づく。

少しレベルを上げたレッスンに参加したら、キツくて心が折れそうだった。完全に舐めていた。
わたしは根拠のない過剰な自信で社会や人間を見下す癖があるので、定期的にこういう経験をするといいと思う。
レッスンが終わると、なにかやっていましたか?と聞かれた。どうやらスタッフの間で、柔軟性が高いことや身体の動かし方が綺麗だということで話題になっていたらしい。
そんなそんな!とテレテレしたが、レッスン中鏡に写る自分の動作を見る度「うん!!誰よりもキレイ!!!!!」と自己陶酔していたので満更でもなかった。


帰り道、いつも覗いている売店をいつも通り覗くと「すぐに戻ります。」というプレートが立てられていた。

すぐに戻ります。

店主がいなくなることはわたしの住む街ではあるあるであるが、手書きではなくあらかじめ作られたプレートが立っているのは初めて見た。



いなくなる用意が周到である。


While Writing
『ano/ちゅ、多様性。』

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