自作自演、自己完結のトキメキ。

「今じゃないんだよな。」とずっと積読していた本に、満を持して「今だ!」とゴーサインが出たが、本棚を探しても見当たらず、積読していたはずの積読書は積読されていなかったことが発覚した。ずっと読んでいなかったくせに、「読みたい!」と思うといてもたってもいられなくなって、わたしはタイトルの思い出せない本を探す旅に出ることにした。

アニメに浸るGW(ぐうたらウィーク)を満喫し、一週間くらいまともに家から出ていなかったので、リハビリも込めて。

ジャージを羽織って、ジャージを履いた。裾から糸がほつれて垂れていたけれど、「リハビリのわたしにそこまで求めるの?」という気持ちで、糸は垂れたままでいいことにした。
「髪は、帽子被ればいいな。」
「顔は、マスクすればいいな。」
省エネなわたしの私生活は、いつも帽子とマスクにいつも助けられているが、マスクを切らしていることを忘れていた。仕方なくリップだけでも塗るか迷うが、
「リップも、いらんな!」


さあ、外の世界へ。



スタバが併設されているこの蔦屋書店はGWともあってとても混んでいてキョロキョロと席を探す人がたくさんいたが、わたしが席を探そうと歩き始めた瞬間に目の前の席が空いた。驚いた。
ナイスタイミングで席が空いたことにではない。

空いた席の隣には、イケメンが座っていた。

わたしはこんな感じで生きているので簡略的な感情からはまあ距離のある存在だと思われることが多いけれど、わたしははっきりと「あ。イケメンだ。」と思ったのである。

そんなことはさておき、荷物を置いて本を探しに行く。

あるとしたらここら辺に置いてあるはず。な本はそこには置いてなくて、5分ほどでミッション失敗が確定した。今日は諦めて次期積読候補を探しに行く。気になる本を三冊選び、ちょっと髪を手櫛で梳かして整えて、帽子を深く被り直して、裾から垂れた糸を短く結んで、席に戻った。

特になにを求めているわけでもない。ただ、ドラマに連れ出してくれそうなトキメキに素直に全力で乗ってやろうじゃないかと思った。
主人公はみんな、「主人公を演じるぞ。」そう意気込んでオーディションに挑み、主人公を勝ち取っているんだ。

わたしはいつだって、ドラマに生きていたい!
わたしはいつだって、主人公で生きていたい!

なりにいかなきゃなれないぜ、主人公。


トキメキ察知!トキメキキャッチ!


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『sumika/フィクション』

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