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その10 人財が育ちにくい組織には…『対話ドリブン』(五木田洋平 著)


1  はじめに

 若手を育成しようと思えば思うほど、働き方改革、ハラスメント等という、一つ一つの言動が持つ、一側面が『壁』になる時代になりました。
 というか組織になりました、と言うほうがいいかもしれません。

 小学校現場でありそうな、ある想定のもと問題の所在を考えます。

2  ある想定

(1)行事の設定

 作品展前日の放課後
※ 作品展とは、講堂等に全学年の児童、一人につき2点の図工作品等を展示する学校行事。

(2) 人の設定 
  〜 C先生の成長を考える 〜


 ひと学年2クラス
 A先生 学年主任、ベテラン
     作品展のノウハウを持っている。    
 B先生 学級担任、採用6年目、2校目勤務。
 C先生 学年付き、新任。

(3) 状況の設定  

 作品展前日、C先生は、放課後から定時退勤の時間である17時まで、新任教員研修に出張に行くことになっています。

(4) 管理職の働きかけ  


 想定当日、朝の打ち合わせ(校長と教頭)  

校長 「今日、C先生、新任研修やけど、放課後、作品展準備大詰めやから、学校に戻ってきてもらったほうがええかな。」

教頭 「そうですね、色々と見るいい機会ですしね、C先生のためになると思うので、声かけておきます。」

 その後、教頭からC先生に声かけ  

教頭 「C先生、今日、出張ですよね。しっかり学んできてください。ところで、明日から作品展なんで、出張終わったら、1年生の準備一緒にしたらいいと思うんですけど、どうですか?たぶん19時くらいまでやってると思うので。」

C先生 「そうですね、わかりました。」

(5) 放課後  

 A先生、B先生、講堂にて作品展準備。  

 17時30分頃、C先生、研修を終えて帰校。  

A先生 「何で戻ってきたん?研修終わったら、そのまま家帰ったら良かったのに。」  

C先生 「管理職に言われたので…。」

3  自分軸ありますか? 

 よくあるやり取り?だと思いますが、いかがでしょうか。 
 人が育ちにくい時代になりました。 
 自身を律することのできる人だけ、自分軸を持つ人だけが、育つことのできる時代になってしまったと感じます。

 教育現場で、大切なことの一つに『子どもの成長の実現』があります。
 仕事なのですから、変な表現ですが『お客さん』『成果』『売り上げ』『やり甲斐』等が必ずあるものです。

 しかししかし、今この時代、『ライフスタイル』や『⚪︎⚪︎ハラスメント』、『(目先の)優しさ』が、優先され過ぎていませんか。
 大事なことを見過ごし、ピント合わせが疎かになっていませんか。

 若手教員のみならず、ベテラン教員にも強く『自分軸』が求められます。

4 ここから脱却する最善の策
 〜『対話ドリブン(五木田洋平先生提唱)』〜 

 「対話」と「よはく」の相互作用による『ポリシーメイキング』を導き出すことを大事にしませんか。
 五木田洋平先生が提唱する『対話ドリブン』
https://amzn.asia/d/7k9uXwg

5 具体ドリブン

(1)管理職とC先生との『対話』


「どんな先生になりたいですか?」
「どうして、先生を目指したんですか?」
「C先生にとって、A先生て、どんな先生ですか?」
「作品展に対する、子どもの取り組みについて、どんな感想を持っていますか?」
 
 このような言葉をきっかけに『対話』できる『よはく』が、ありますか?



(2)『よはく』を生み出す学年経営


 学年会の『対話』による効果を発揮して、更に『よはく』を生み出すため、それぞれの立場について考えます。

 まず何より、学年を構成する、すべての先生達が、それぞれの立場で『よはく』という概念を持つことが大事になります。

 少なくとも時間的余裕、つまり、一つの『よはく』が、なければ『対話』ができません。

 ですから、学年会では、教室に集まって、初めて「よーい、ドン」で「今日は〜」では、『よはく』は生まれません。

 若手発信によるスマホ等ICTを使った共同編集機能というものも非常に有益です。

 通勤時間や授業の空き時間に、検討事項を予め入力することで、論点を洗い出す時間を短縮することができます。
 みんなで集まっていないにも関わらずです。

 ベテランだけでなく、若手も意見を発する礎が担保されるようになります。

(3)ポリシーメイキング

 『対話』と『よはく』の相互作用により、
以下のような問いが生まれるかもしれません。

 何のために作品展に取り組むのか
 自分は、どんな先生になりたいのか
 学年として、大事にしたいことの肝は何か
 どのような子どもを育みたいのか

 このような『立ち返るべきポリシー』を学年というチームで共有することに至ります。

 ここまでくれば、毎日の仕事が充実しない訳がありません。
 それと同じくして、目に見えて、子どもの様子も変わっていくことでしょう。
 ブラックなんて、どこ吹く風と言ったところでしょうか。

6 おわりに 〜対話ドリブン〜

 『対話』や『よはく』の一例になり得るものを紹介しました。

 拙い具体例で、うまく伝わらないのでは…と不安な気持ちが心を覆っています…。

 是非『対話ドリブン』をお読みください。

 学校組織が、未来を生き抜く子ども達にとって、より良きものに成長していくことを、また、先生集団が日々の教育活動に、より大きな意味を感じられるようになることを期待します。

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