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ストⅤのNPCに毎日100連敗している話

1:前説

 ストリートファイター5を始めてから約一週間が経った。アラサーにして初めてまともに格ゲーを触ったのがつい一週間前だと思うと、なんとも感慨深いものがある。
 ……一週間で感慨深いは言い過ぎだね。すみません。何も考えずに入力してしまいました。
 さて、タイトルの通り全く捻りの無い内容になるが、ストⅤをプレイして一週間経過した現在の状況を話したいと思う。

 あの運命の水曜日、2020年7月29日の事。
 私は初めてストⅤを触った。格ゲー自体はPSPの鉄拳を遊んでから実に12年ぶりで、その鉄拳ですら数時間プレイしただけで終わってしまった。
 なら何で鉄拳買ったんだという話になるが、それはデッドオアアライブ3をゲオの店頭デモプレイで遊んで楽しかったのを思い出して鉄拳とデッドオアアライブの違いも判らずに買ってしまったとかまあ色々あるけどここでは割愛する。

 現在私は金でモラトリアムを購入し、専門学校へ通っている。
 その学校でゲームクリエイターになる為の勉強をさせて貰っているのだが、その意味も込めて7月29日に担任の先生が「ストファイ部」なるものを期間限定で立ち上げたのだ。
 何故私がストファイ部に入部したのかは正直今でも謎だ。多分運命だ。間違いない。


2:運命の出会い

 ストファイ部初日。
 私はここで生まれて初めてストⅤ――いや、ストリートファイターというシリーズに触れた。
 当然、アケコンに触れたのもこの日が初めてだ。
 忘れもしない、人生初の試合。
 私が選んだのは……ザンギエフだった。初心者だからリュウでやってみようと思ったのにアケコン操作に慣れていない私は誤ってザンギエフを選択した。絶望した。確実に操作できない。無理だ。こんな筋肉モリモリマッチョマンは確実に私のフィジカルでは使いこなせない。

 先生がそんな私を憐れんで選択したのは、全く使ったことが無いというF・A・N・Gだった。要するにハンデを付けてくれたのである。

画像1

 これが私のF・A・N・Gとの出会いである。
 この奇妙奇天烈な見た目に私は一発で虜になった。しかも声が千葉繫じゃないか。好きにならない方がおかしい。恋だ。私は完全にF・A・N・Gに恋をした。あの毒手にかかって死にたい。F・A・N・Gガチ恋勢だ。
 ……とりあえずF・A・N・Gの素晴らしさはまた別の機会に語らせて頂く。

 そんな一目惚れしたF・A・N・Gの為、私は学校から帰宅後すぐにsteamでストⅤを購入した。
 アケコンも購入した。8月5日時点でまだ届いてはいないが。
 幸せだった。

 そんな訳で私は今日に至るまでF・A・N・Gを使っている。
 けれども一つ、大きな問題があった。
 F・A・N・Gの操作感は私に全く合わないのだ。


3:そうだ!毎日100回戦おう!

 7月29日に初めてF・A・N・Gを使い始めた時から確かな違和感はあった。
 F・A・N・Gはもう見た目通りトリッキーなキャラだ。一発一発の打撃力が弱く、相手からの攻撃一発一発で体力をゴリッと削られる。二升毒や二死球、両鞭打等を良い感じに使いながら弐間脚でチョロチョロして双頭蛇でなんやらかんやらして……頭では分かっているのだがそれができるなら誰も初心者からスタートなどしない。始めた瞬間トップランカーだ。

 そもそも私はせっかちな性格なので、パパっと動いてガシガシッと殴ってシュシュシュッと下がりたいのである。
 F・A・N・Gはそういう動きをするキャラじゃない。
 つま先立ちで飄々と動き回るステキな怪しいオッサンなのだ。そんなせかせかと忙しなく動き回ったりしない。余裕と自信を持ってヒョコヒョコと歩くその姿は胸キュンどころではないが、ハッキリ言って私ごときが使いこなせるような性能ではない。

 悲しい気持ちになってしまった。

 好きなキャラが自分に合うキャラとは限らないのだ。
 こんなにF・A・N・Gが好きなのにF・A・N・Gを勝たせる事ができない。
 ゼネラルストーリーをやって、どうもジュリが私には合っているようだという事も更に私を悲しくさせた。F・A・N・Gではないのだ……。
 しかしそんな時、私に天啓が下りた。

 そうだ! だったら毎日CPU難易度を8にして100回戦おう!

 今の私には圧倒的に経験が足りていない。だったらそれを補えるぐらい何度も戦えば良い。
 そうして私はコマンドを覚えるのと並行しながら、毎日NPCと100回戦う事にした。その決意をしたのは8月1日の事だった。


4:負ける練習

 まずはこの画像を見て欲しい。

画像2

 これは8月5日――つまりこの記事を書く直前の戦績画面である。
 それ以前の画面は大変申し訳ないがスクショしていないので残っていないが、ほぼこの画像と同じ惨状だ。
 因みに今日はサガットと戦っていたが深い意味はない。毎日CPUはランダムで決定している。昨日はいぶきだったし、その前はダルシム……てな感じで毎回違うCPUと戦っているが、未だに一勝さえしていない。

 今のところストⅤを購入してから私が唯一勝てたのは、ストーリーを除けばランクマッチの初戦で当たった永遠に中キックを繰り返す豪鬼だけだ。中に人がいる(……ハズだ)のでCPUでは無いのだが。

 コマンドはある程度覚えて、7割の確率で狙って出せるようになった。
 ガードも使い分けが出来るようになった。

 だが勝てない。

 理由は至極当然で明白。
 私のコマンド入力が遅い事、そして攻撃を受けるとそこから抜け出す事ができない事だ。
 コマンドは7割なんて甘い事を言わず、せめて9割で出せなければまともに戦う事はできないだろう。
 狂った様に練習したおかげで両鞭打だけは実践でも9割で出せるが、それ以外のコマンドは2~3割出せれば良い方だ。二死球なんて1回も出せずに叩きのめされるのはザラ。
 とにかく毎日、負けて負けて負けまくっている。
 ただ、負け続けた事である副次効果が生まれた。

 負けた事に対して全くイライラしなくなった。

 慣れたんだろうと言われればそれまでだが、少なくとも負けた後にどこが悪かったのかしっかり考えられる程度には心を落ち着けて戦う事ができるようになった。
 図らずも、この1日100戦作戦は私のメンタルトレーニングにもなった。
 ゲームに限らず、色んな事にイラつかなくなった。

 本当は出来る事を増やしていって、CPUのレベルも徐々に上げていく位の方が良かっただろう。
 というか多分、そうした方が結果的にこんな苦行じみた事をするよりも早く、まともに戦えるようになっている筈。
 でも、私はこれで良かったのだと思う。


5:F・A・N・Gを使い続ける為に

 負け続けた事で、私は負ける事に慣れた。イライラせず、冷静になる事で自分の至らない点を見つける事ができ、課題を洗い出せるようになった。
 それは結局、F・A・N・Gと長く付き合っていく覚悟を決めるのにも必要な事だったかもしれない。
 少なくともストⅤのゴールは難易度8のCPUに勝つ事ではない。
 格ゲーは誰かと対戦する事が醍醐味だ。
 もし私が順調に難易度8のCPUに勝てる様になったとしても、確実に対人戦で負けが込んでゲームを投げ出す事になっただろう。

 けれど今の私は、負けが込んだ程度でゲームを辞める様なヤワなメンタルでは無いのだ。
 それはつまり、F・A・N・Gをこれからも使い続ける事ができるという事に他ならない。なんだよもうそれ結婚じゃん。
 負け続ける事にも、必ず意味はある。負けたからって物にあたる様では真のF・A・N・G使いにはなれない。
 ……何か格闘家みたいな事言ってないか?

 とにかく、F・A・N・Gは確かに私に合っていない。
 それでも私はF・A・N・Gを愛している。
 だから必ず、設定の通り強くて格好良くてステキで怪しいF・A・N・Gとして戦わせる事ができるように、これからも私は負け続けるのだ。

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