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はじめて「のらねこ会議」を見た日

この物語を13匹のねこたちにささげる。
彼らがどこかの家に引き取られることになろうと、
このままお外で生活し続けることになろうと、
彼らの未来が、
温かい冬、涼しい夏を迎え、
毎日、心ゆくまでおいしい食事を堪能でき、
できる限り雨風をしのげるように、
そして毎日が幸せでありますように……。

彼らとの出会いは約12年前に遡るさかのぼ
当時まだ幼い息子と一緒に、近所の神社へ詣でたときのことだ。
急いでいたわけではないが、
神社の裏門に面した自宅から最短距離で本殿に向かうため、
表門の存在を気にせず、
裏門から出世稲荷いなり→中殿→本殿へと、
本来のルートを逆さまに参拝。
出世稲荷いなりで盛大に鐘を鳴らし
願い事をとなえていると、
背後からの6つの視線と圧を感じた。
(平日の夕方で境内に参拝客らしき人影はなく)
振り返ると、
そこには3匹の猫が輪になったままこちらを凝視している。
くっきりとしたハチワレの黒白、
白い毛に尻尾と頭部に黒い模様、
そして茶系のキジシロねこ。
ハチワレはがっちりとした体格に
少年のような丸顔のオス(人間なら大谷翔平かな?)、
白ベースに黒模様のねこは、
痩せマッチョのオスで切れ長の目の(ねこ界の)イケメン風
(人間なら坂口健太郎?的な)
残りの1匹は華奢きゃしゃ撫で肩なでがた
銀座の人気ホステスのような
華麗さと妖艶さを併せ持ったメスねこ。
(人間に例えるなら若い頃の加賀まりこ?
むやみに声かけると激怒されそうな雰囲気)

「秘密結社の重要会議を目撃されてしまった!」
3匹は一斉に驚いた表情でこちらを見つめる。

出世稲荷いなりの合わせて8段ある階段を下りながら
「おいで」と声をかけるも、
彼らは、口々に何か交わしているかのような仕草を見せた後、
別々の方向へと散り散りに消えていった。

2012年、年の瀬の夕暮れ時のことだった。


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