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志望校の選び方 グローバル軸編

おはようございます。いよいよ首都圏でもコロナの出口が見え始めてきました。皆さまいかがお過ごしでしょうか?このコロナ禍の中でも同研究所研究員は電話やオンライン取材を通じて学校取材や保護者への取材を続けてきました。緊急事態宣言が解除されても、当分は対面での学校説明会を自粛の方向で考えている学校さんもあるようです。

そんな中、塾単位でオンライン学校説明会を開くところや、いくつかの私学が共同で開くオンライン説明会など、保護者さんたちが情報を掴めるように各校とも工夫を凝らしてくれています。本来ならば学校に足を運んで学校の雰囲気や生徒さんの様子が見られるのが一番なのですが、今年はそうもいかない感じです。そんなみなさんに向けて、学校選びの軸になりそうなことについて順次掲載していこうと思います。偏差値以外の軸を考える時の参考にしていただければと思います。本日の軸は「グローバル教育」。コレ、もはや今回の1回だけでは到底紹介できないほど幅が出てきていますから、数回に分けてご紹介します。

グローバルって、どんなこと?

まず、皆さんに考えていただきたいのは「グローバル教育」と聞いて、どんなことを想像しますか?あるいは、国際性を身につけるとは、具体的にどんなことをイメージされているでしょうか。

英語が喋れるようになることかな?

グローバルな人たちが集まる中で働いて行けるとか?

すぐに思い浮かぶのはこのくらいでしょうか。でも、もっと具体的に考えていくと、英語が喋れる こと一つとっても、一人で旅行ができる程度から、大学の授業を受けられる程度、はたまた、英語が公用語の企業で働けるレベルまで、レベル感は様々なのです。「これからの時代、英語くらい喋れなくちゃ!」と、小さきころからお子さんに英会話を習わせているお宅も多いですね。小学生で英検2級取得したなんていう方も見かけるようになってきました。そのような家庭の場合、「グローバル教育」と聞いて魅力を感じる方も多いはずです。また、学校側も「グローバル教育」を魅力として全面的にアピールする学校は増えています。

選択肢が増えてうれしい反面、どう選んでいいのか分からないというのも本音ではないでしょか。そんな時、指標にしていただきたいのが、その内容です。グローバル教育と呼ばれるものにはいくつかのタイプが存在します。

1 短期留学や長期留学制度が充実している

2 学内に講師を招いて行うグローバル教育が充実している

3 学内でオンラインを使った英語教育が行われている

などです。1については、ある学年になると全員が海外ホームステイに参加する学校や、ターム留学、1年留学をしても留年なしに卒業できる制度があるなどが見受けられます。それぞれにメリット、デメリットがありますが、それはまた次の機会に説明していきます。

2の学内に講師を招いてというのは、国際デーのようなものを設けて、英語を母国語とする講師を招いてプレゼンテーション研修をするところや、さまざまな国の人を招き、その国のことを英語で教えてもらう講座などを行う学校です。

そして、近年、導入校が増えているのが3番のオンラインを使っての英語教育です。大人の世界でもセブ島への語学留学やセブの語学学校の先生によるオンライン英会話教室が話題となってきていますが、中高一貫校の中でもセブ島の語学学校と連携し、オンライン英会話を導入している学校が増えています。夏の短期留学でも、アメリカやイギリス、オーストラリアといった留学先だけでなく、セブ島留学を取り入れる学校が増えてきました。現地でのボランティア体験とセットにするなど、取り組みもさまざまです。オンライン英会話は、授業として組み込まれているため、学外で英会話教室に通う必要がありません。また、マンツーマン授業ですから、入学前まで英会話を頑張ってきた子にとっては、その学びを止めることなく、しかも学内で完結できるというメリットが挙げられます。

また、もともと英語教育、グローバル教育に積極的だった学校では、1,2,3を組み合わせているところもあります。そして、現在、グローバルを謳う学校では、英語を語学としてただ学ぶだけではなく、英語をツールとして考えているところが多いです。つまり、英語が喋れるようになるのは当たり前で、その英語を使って何をするか、何を学ばせるかを考えているところがほとんどなのです。

最近よく耳にする国際バカロレアってなに?

そんな考えをカリキュラムとして落とし込んでいるのが国際バカロレア(IB)と呼ばれるものです。「国際バカロレア認定校」などと書かれたパンフレットを見たことがある方もいるのではないでしょうか。これはジュネーブに本部を置く国際バカロレア機構というところが提供する国際的な教育プログラムで、認定校とはこの機構が定める教育基準を満たす教育が行われている学校ということです。世界140か国以上の国や地域の学校で実施されているプログラムで、日本の文科省も国内の認定校を2020年までに200校に!と、推進を進めているものです。

IBのプログラムはいくつかの段階に分けられており、海外大学への進学の際に利用できるのは、このうちのディプロマプログラム(DP)です。決められたプログラムを2年間受け、最終試験を受けて所定の成績を収めると国際的に認められるIB資格が得られるというものです。

詳しいプログラム内容についてはこちら

https://www.ibo.org/programmes/

ディプロマプログラム(DP)の場合、国際バカロレア基準の授業は原則として英語またはフランス語、スペイン語で実施することが求められており、日本国内の学校では英語で行う場合がほとんどです。IBが日本に導入された当初は完全にこの3か国語のうちのどれかでの履修が義務でしたが、その後、経済や地理、歴史、音楽、数学、美術、課題論文や創造性・活動・奉仕など、一部の科目を日本語で実施可能とする「日本語DP」が認められたため、これらの科目の日本語での履修を取り入れる学校も出てきました。

ただ、日本語を認められた科目があるとはいえ、必須となる6科目のうち2科目は英語またはフランス語、スペイン語で履修する必要があります。いずれにしても、英語を語学として学ぶだけでなく、具体的に英語をツールとして使っての学びが必要になるため、かなりの英語能力がいりますし、それだけ養われるとも言えます。

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では、そんなIBのDPプログラムをやっている学校が国内にどれくらいあるのかと言えば、なんと全国にまだ45校しかありません(平成31年3月時点)。この数にはインターナショナルスクールも入っているのですが、その中で、首都圏に目を向けるとまたぐっと少なくなります。

国際バカロレア認定校はココ

インターナショナルスクールを省いた中等教育機関のうち、首都圏で認定校になっていて、DPプログラムを行う学校はたったの8校。大学入学資格に当たらないMYPプログラム(日本語のみでの授業が可能)の実施校はもう少しあるのですが、海外大学への進学を含めて考える場合はやはり、DPを受けておきたいところです。

<東京>

開智日本橋中学・高等学校

玉川学園中学部・高等部

東京学芸大学付属国際中等教育学校

東京都立国際高等学校

武蔵の大学付属千代田高等学院

<神奈川>

神奈川県立横浜国際高等学校

法政大学国際高等学校

<埼玉>

筑波大学付属坂戸高等学校

(文部科学省IB教育推進コンソーシアム事務局調べの表より抜粋)

そう、たったこれだけです。

太字になっている学校はバカロレア科目の一部を日本語で行う日本語プログラムを実施している学校です。ここで一つ注意したいのは、国際バカロレアプログラムの学習だけでは日本の高校卒業資格を満たしませんから、これらの学校は日本のカリキュラムを満たしつつ、国際バカロレアの科目も履修させることになります。首都圏では、中高一貫校の導入校が多く、一部、高校だけの学校も入っていますが、中高一貫の場合は6年間でカリキュラムを考えられるため、高校1年生までに高校卒業までに必要な科目履修を概ね終わらせて、高2で国際バカロレアプログラムをやっていくということもできますが、高校からの学校だと、高校卒業の履修科目と並行して行わなければならないため、それだけ過密なスケジュールとなりがちです。どのような形でプログラムが組み込まれているのかはしっかりと見ていきましょう。


ちなみにですが、国内の大学でもIB資格を入試で使える大学が出てきています。全学部で実施している大学の中には東京外語大学、東京学芸大学、東洋大学、立命館アジア太平洋大学、東京医科歯科大学などがあり、一部の学部で実施している大学には慶應義塾大学、大阪市立大学、愛知医科大学、順天堂大学、東京大学、東北大学、法政大学、明治学院大学、立教大学などがあります。なんだかんだで合計61大学がIB資格を活用した大学入試を実施しています。

中でも慶応義塾大学や東京学芸大学、東京医科歯科大学などではIB資格取得者・取得予定者のみを対象とした入試を実施しています。そもそも、IBのDPの実施校が少ないため、ここはチャンスとも言えます。

今回は国際バカロレアについて基本を押さえましたが、実はもう一つ、近年目立ちはじめた動きがあります。それは高校での「ダブルディプロマ」という動きです。大学でも取り入れ始めているところがありますが、首都圏では高校でこの動きが出始めています。こちらについては次回、また説明していきたいと思います。


トップ画像出典 https://www.ibo.org/benefits/






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