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【いまさら訊けない中学受験】いまさらだけど、これって本当に子どものためになるの?誰にも訊けなかった肝心なところをちゃんと知りたい 【その4】


そもそも偏差値ってなに?ー偏差値と入試問題には相関性がない!?だから学校選びで「まず偏差値」は大間違いです!


笠:笠原 紗由香 (「親子のための中等教育研究所」所員)
長:長さん(同研究所エグゼクティブアドバイザー)

笠:そもそも、偏差値ってなんですか。

長:まず知っておきたいのは、偏差値は学校を評価するものでもないし、それによって序列化するものじゃないってこと。偏差値表を見ればわかるけれど、偏差値は一つ一つの入試についての指標。模試会社によって偏差値は違うんだよ。

笠:同じ学校なのに偏差値が模試によって違う?どういうことですか?

長:例えば、2月1日入試の開成の80%偏差値は首都圏模試が78、同じく四谷大塚が71、日能研は71。それは、各模試の受験者集団が違うからなんだ。
つまり、下の図のように、偏差値は集団の中での位置を示すもの。

長:それに80%偏差値というのは、同じ得点の受験生が10人いた場合に8人が合格する可能性があるってこと。50%偏差値であれば、5人が合格する可能性があるってこと。

笠:志望校の入試の偏差値に達することができれば、合格のために必要な実力の8割に達したってことですね?

長:いや、10割かもしれないけど、同じ得点でも2人は不合格になるかもしれないってことだよ。

それに、模試と入試は本質的に違うのが大きなポイント。

模試はいろいろな学校を目指している受験生が受けるテストだから、問題作成は教科内容の定着度を測るようなものが主になる。

それに対して入試は「入学者選抜試験」で、その学校が「こんな資質を持つ生徒に入学してほしい」という観点から行う試験だから、その学校独自の作問になる。

笠:あ!わかる!麻布とか武蔵とかの入試問題ってユニークで話題になりますよね。麻布はこんな傾向の問題が出る、武蔵はこんな問題が出るって。

どちらもユニークだけど、問われている内容の方向性も違えば、どこを評価するかという点でも、かなり違う。それは麻布と開成の「求める生徒像」の違いが反映されているからってことですね。

長:それに合格最低点を見ると、麻布が220点満点で100点だから45.5%。100点満点で46点取れば合格ってこと。武蔵は58%ぐらい。模試会社の偏差値との相関という点では、あまり強くないかもしれない。

笠:え!合格最低点って、そんなに低くていいんですか?

長:入試って満点を狙う試験じゃないよね。一般的に、作問者は合格最低点が70%ぐらいになるように作ると言われている。じゃないと、得点分布が広がらないから、入学者の選抜ができない。

笠:じゃあ、「うちの子の偏差値はここだから、この偏差値の範囲にある学校の中から選ぶ」とか、「開成は偏差値の高い学校」なんて言い方は、そうとうおかしなことになるわけですね。

そしたら中学受験勉強も偏差値アップを目標にするのではなくて、志望校が求める生徒像を理解して、志望校の入試問題の対策に取り組んだほうがいいといえますね。

長:そうだよ。けっきょく偏差値ってその学校に付いているんじゃなくて、その学校を受ける受験生の多くがそれくらいの偏差値だってだけのこと。

笠:でも、じゃあ、極論を言うと模試って受けなくてもいいのかな?なんのために模試を受けるのでしょう?偏差値ってなんの意味もないの?

長:学校選びで偏差値を重視することはキケンだけど、中学受験生のモチベーションという点では、模試を受けることには重要な意味があります。

笠:模試は、受験生のモチベーションを上げるためにあるってこと?

長:「子どもが自信を持って入試本番に臨めるかどうか」というのは、試験の結果にもかかわるとても重要なことなんだよ。そのために模試を活用できます。

笠:では次回は、受験生をやる気にさせる、模試の役割や活用法について教えてください!

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