インプットまとめ[2023年6月]
今年に入って初めて、一本も映画を観なかった一ヶ月だった。
なんだか心がざわざわしていて、途中まで本も全然読めていなかったのだが、これではいけないと思い立って、最後の一週間で追い込みをかけるように読んだ。本当はそんなふうに焦って本を読んだりしたくない。穏やかな気持ちで、何にも追い立てられることなくのんびりと読むのが理想の読書だ。7月はそういう月にしたいな。
今月とてもいい言葉に出会ったのでご紹介する。
リカちゃん公式Twitterが、ときどき世界の偉人の名言を紹介しているのだが、そのなかのひとつだ。
わたしのなかのモーツァルトのイメージは、高校時代に音楽の授業で観た「アマデウス」によってできているので、正直「ほんとにモーツァルトがそんなこと言ったのか……?」とは思うが、それでも名言には違いない。この言葉を心に刻んで生きていきたい。
それでは6月のインプットまとめです。
ドラマ
「逃げるは恥だが役に立つ」第4話~第10話(2016)
主演ふたりの表情の演技がすごすぎて、画面から目を離せない。それから、毎話タイトルが恋愛ソングのもじりになっていたりするのが面白い。
本当に前に観たんだよね? と疑いたくなるレベルでなにも覚えていないのはちょっとどうかと思うが……。
しかしこのドラマにおいて一番可愛いのは、圧倒的に石田ゆり子演じる百合ちゃんだと思う。まず仕草がいちいちあざとすぎるし、ファッションセンスも良いし、たまにほろっと見せる弱みにもぐっとくる。こんな素敵な女性が目の前にいたらそりゃあ好きになっちゃうよ、と思いつつ、わたしは風見さんみたいなタイプの男性がめちゃくちゃ苦手なので、くっつくな~と念じている。たぶん無駄だけど。
「Bardot」第4話~第6話(2023)
実際のブリジット・バルドーについては何も知らないので分からないが、少なくともこのドラマにおけるバルドーは、とても寂しがりやで、愛情に飢えていて、傍にいて自分を一番に思ってくれるなら、相手は誰でも構わないというようなひとに見えた。そしてそういう態度は、自分も周りのひとも不幸にしてしまう。
ストーカー的パパラッチ男が、最終的に救急車を呼んで、ヘイトを解消しに行っているのがなんだかむかついた。
一番可哀そうだったのは、そのパパラッチ男に騙されてバルドーを裏切った、バルドーの付き人アランだと思う。アラン役の俳優さんの演技もとても良かった。
アニメ
「カウボーイビバップ」第1話・第2話(1998)
夫の勧めで観始めたのだが、最近観たアニメの中で一番面白い。
宇宙のゲートを通るときに、高速道路みたいに料金徴収所があったりと、変にリアリティがあるところもいいし、カット割りがとても凝っていて映画のよう。一部CGも使っているらしいが、とても自然に馴染んでいるのでどこがCGなのか一見して分からない。これを毎週作って放送していたなんて、アニメーターはすごすぎる。
第1話のラストが、「永遠に僕のもの」をちょっと彷彿とさせて、とても好きだった。そういえば『火の鳥』にもそういう話があった気がする。
ポッドキャスト
「夜更かしの読み明かし」第1回~第5回
紫乃におすすめされて聴き始めた。
ラジオアナウンサー、お笑い芸人、哲学者という異色のトリオによる、読書会と哲学対話を織り交ぜたポッドキャスト。進行中の企画の参考になるかも、と思って聞き始めたのに、そんなことはそっちのけになるくらい面白くて、のめり込んでしまった。
とくに、手塚治虫の『火の鳥』読書会の回は、わたし自身思い入れのある作品なので、わかるわかる、とついつい頷いたり笑ったりしながらとても楽しんで聴いた。わたしも誰かと『火の鳥』について語り合いたくなった。
本
沢木耕太郎『深夜特急1 香港・マカオ』新潮社(2020)
「紫乃と美甘の読書会」で「これから読みます!」と言って紹介したので、さっそく読んでみた。朗読番組の関係か、いまはkindle unlimitedで読めるのがありがたい。
こんなとんでもない旅をしていて無事にに帰ってこられるのか? と心配になるくらいの行き当たりばったり。この旅をしたときの沢木さんといまのわたしはちょうど同じ年齢だが、こんなふうに旅してみろと言われても色々な意味で不可能な気がする。
わたしの中で香港とマカオのイメージは、完全に去年読んだ『未必のマクベス』によって構成されているのだが、これだけ長い年月が経っているはずなのに少しもその印象が変わらなくて驚いた。
エッセイというよりは物語調なので、続きが気になってどんどん読み進めてしまった。ぜひ続きも読みたい。
茅田砂胡『天使たちの課外活動7 ガーディ少年と暁の天使・上』中央公論新社(2021)
ずっと追いかけているシリーズのはずなのに、なぜか「天使たちの課外活動」は6巻しか読んでいなかったらしく、先日出た新刊に追いつくためにとりあえず7巻を読んだ。
あまりにもメインキャラクターの出番が少なくて、ときどきわたしはいったい何のためにこの本を読んでいるんだっけ……と思わないこともなかったが、相変わらずシェラはとっても可愛かったので満足はしている。
タイトルにある「ガーディ少年」が一度も登場しないまま上巻が終わってしまって、しかもあとがきに「こんなに長くなるはずじゃなかった」とあって笑ってしまった。
空腹のときに読んでいたので、美味しそうな料理の描写の数々に、とてもお腹が空いてしまった。
若菜晃子『旅の断片』(2019)『途上の旅』(2021)アノニマ・スタジオ
先日「紫乃と美甘の読書会」で旅エッセイについて話したのをきっかけに、約1年ぶりに読み返した。
あまり調子が良くなかったので、読んでいてどうしても目が上滑りしてしまう感覚はあったが、それでもやはり若菜さんの書かれた文章を読んでいると、とても心が落ち着く。
もっとはやく、もっとたくさんのことをしなければいけないと思ってしまうけれど、ひとは一歩一歩自分の足で進んでいくことしかできないということを教えてくれる。
わたしに足りないのは、もっと落ち着いて考え、もっとゆっくり読み、もっと吟味して書くことなのかもしれない。きょうの体験を、すぐ言葉にして発表する必要はなくて、いつかそれが実を結ぶのを待てばよいのかもしれない。
小川洋子『とにかく散歩いたしましょう』文藝春秋(2015)
紫乃と小川洋子さんの話で最近よく盛り上がるのだが、そういえば小川さんのエッセイって読んだことがなかったなと気がついて読んでみた。
小説を読んでいて受ける印象と、エッセイからにじみ出る人柄にあまりギャップがなくて、ああ小川さんってこういうひとだと思っていた、という感じだった。
何の話をしていてもすぐに本の話に繋がるところが、本と共に生きてきたひとだという感じがして良かった。わたしももっとたくさんの本を読みたい。そして本を読んでいるときに焦らないようになりたい。
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