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ブルスタ&ユーミー物件、見学ツアー

年が明けて2024年の1月12日、石井光さんに教えてもらったブルースタジオとユーミーさんが手がけた物件のツアーに夫婦で行ってきました。
案内してくれたのは、ユーミーらいふグループの一つ、丸山アーバンの下山さんとユーミーclassの海沼さんです。

ここでユーミーらいふグループについて少し説明しておきます。
ユーミーらいふグループは、湘南地域を中心に主に建築・不動産事業を行っている会社です。そのユーミーグループの一つが丸山アーバンで、まちづくりや地域活性化を重視した「建設・不動産ソリューション事業」を手がけています。一方のユーミーclassは主に賃貸物件の管理業務をしていて、うちでも他の賃貸物件の管理をお願いしています。

年末から年明けにかけて、この日のツアーを迎えるまでに、僕はどんなアパートを建てたらいいか、いくつかの本を濫読して、一定の方向性を思い浮かべていました。
一言で言えば、いわゆるエコアパート、つまり環境に配慮した持続可能性のある賃貸アパートです。太陽光などの自然エネルギーを活用して、高断熱・高気密のつくりで冷暖房の使用を抑える。耐震性も高く、木材は県内産の木を使用。さらに雨水タンクや井戸をしつらえ、豊かな植栽も植えたい。

また、建築家の山田貴宏さんが足立区につくったエコアパートのように畑もつけたいけれど、誰が農業指導を行うのかといった問題もあるので、畑はちょっと難しいかな、などなど漠然としたイメージではありますが、サステナブルなアパートという方向性がありました。

さらに、何らかのコミュニティスペースを設けて、まちに開いたアパートにしたいとも考えました。その一つが、神保町で見たことがあったシェア本屋というアイデアでした。

そんなことを年末からの半月ほどで考えながら、ツアー当日となりました。

今回のツアーで回ったのは、ユーミーらいふとブルースタジオが共同で手がけた賃貸物件で、「nezasu house」というブランド名が付けられていました。「まちとシェアする賃貸住宅」として「風土にねざす。地域にねざす。文化にねざす。」と謳っています。

まず訪れたのは、藤沢市鵠沼にある「鵠ノ杜舎」。
鵠ノ杜舎はモダンな長屋風の集合住宅で、建物裏には畑が広がっていました。住戸は道に面した玄関デッキが広く、両隣との境が設けられていません。各世帯の生活が孤立していなくて、隣近所とのつながりのなかで暮らしが営まれているような雰囲気が感じられました。仮設住宅をも彷彿とさせる長屋の合間には、コミュニティスペースが設けられ、イベントで使う手作りの屋台が置かれていました。また、畑へと続く場所には、これも住民が作ったというピザ窯があり、住民たちが和気藹々と生活するコミュニティ賃貸の具体的なイメージが浮かびました。

こうしたコミュニティを重視する賃貸物件はどのような住民の方に住んでもらえるかが重要で、入居申し込みがあった際にはこの住居のコンセプトを理解した方に入ってもらえるよう、審査には気を配るという話も聞きました。

また、裏の畑は区画ごとに分けられていましたが、訪れたのが冬だったこともあったのか、野菜が育っている区画が少なかったのが気になりました。農器具などを入れる小屋が小さく、各区画の脇に肥料が置いてあったので、何人かの熱心にやっている人とそうでない人がいるようだとの印象があり、この部分でも「畑のあるエコアパート」は難しいかなとの思いを強くしました。

次に訪れたのが、茅ヶ崎駅から南に徒歩4分の「たかすなビレッジ」です。1992年築の鉄筋コンクリート4階建てをリノベーションンした共同住宅の前に、ちょっとしたイベントができるような広場があり、カフェやインターナショナルスクール、コワーキグスペースなども併設された住・商複合施設です。
茅ヶ崎駅前から住宅街を経て、海へと至る高砂通りに溶け込んで、コワーキングスペースは「Takasuna BASE」の名が示すように高砂の拠点として地域を活性化する場としての役割を果たしているように感じられました。

続いて、大磯の稜文館に案内されました。こちらも1988年築の鉄筋2階建ての建物をリノベーションした物件で、かつてエントランスだった空間をまちに開かれた「まちライブラリー」として改修したスペースを設けています。「まちライブラリー」とはメッセージカードを付けた本をカフェやショップ、病院や個人宅など、まちの中の本棚に置き、本の貸出や読書会など様々な催しを行うというもので、稜文館ではミニキッチンもついていて色々なイベントが行えるようになっていました。
稜文館については、「ちっちゃい辻堂」の石井さんにお勧めされた物件ではなく、「まちライブラリー」に興味があって、僕の方からユーミーさんにリクエストしてツアーに組み込んでもらいました。

大磯は島崎藤村などの文豪や吉田茂、伊藤博文といった大物政治家が邸宅や別荘を構えたいた土地です。ユーミーの下山さんから稜文館に向かう道すがら、稜文館のお披露目として、まち全体を対象としてスタンプラリーを実施して、スタンプを押してもらった手拭いがブックカバーになるという素敵なアイデアのイベントを開いたという話を伺いました。そうしたまちをあげてのイベントでの盛り上がりはあったものの、「まちライブラリー」はコロナの影響を受けてあまりうまく活用されていないとも、下山さんは話してくれました。見学した日は休日だったのですが、確かに本棚は思ったほど充実していなかったという印象がありました。

その後、茅ヶ崎に戻り海沿いの134号線添いに建つ「PALM LOUNGE」というアメリカ西海岸風のリノベーションアパートメントを見てから、茅ヶ崎徳洲会の前を一本脇に入ったところにある「TSUBANA」というメゾネットタイプの賃貸住宅に向かいました。1階でお店を開いて「なりわい暮らし」ができるアパートです。僕は去年、「TSUBANA」に入っているボンドという印刷会社で名刺を頼んだことがありました。その時、「こんなところに、ハワイかどこかの外国みたいな一角がある!」と、その外観にちょっと驚きました。ここが「なりわい暮らし」の職住一体型のアパート群だとは知らなかったのですが、今回見学して、空いている部屋の中も見せてもらうことができました。1階部分は店舗として利用できるように、一般的な住居のような玄関はなく、段差なく部屋の中へ続くようなつくりで、中2階がリビング、2階が寝室と小さバスルームになっていました。1階でお店を開くと、住居部分は結構狭いなと感じたのですが、下山さんから「今回、建てるアパートも『TSUBANA』のような『なりわい暮らし』でもいいかもしれないですね」と言われて、「えっ、そうなんだ!」と思ったのが正直なところでした。

これらの「nezasu house」以外にも、鵠沼で「BRANCHE」という物件を見学しました。無垢の木材で漆喰の壁、高断熱、耐震等級も高く、上品で高級なつくりです。賃料も周囲よりも高く設定されていて、それでも入居が決まっているということで、正直、「これと同じものでも、全然いいんじゃないかな」と思うようなしゃれたメゾネットでした。

この日は、いろいろな物件を見学させてもらって、さまざまなまちとのつながり方やコミュニティの形があることを知りました。そして、翌週に丸山アーバン社長の西山さんを交えての打ち合わせということになりました。

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