意外と知らない労働法⑤ 労働時間のルール
法定労働時間と36協定
以前のnoteに書いたように、始業時間・終業時間は就業規則で決められていますが、労働時間は、1日8時間以内、1週間で40時間以内と法律によって定められています(労働基準法第32条)。
こちらの制限を「法定労働時間」といいますが、法定労働時間には当然ながら残業時間も含まれます。
所定労働時間が7時間の企業で1時間残業した場合は法定労働時間内に収まるため問題ありませんが、1時間以上残業するのは法定労働時間を超えてしまう(法定時間外労働)ため違法です。
ただし、例外があります。
労働者の過半数で組織する労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者との間に「時間外労働・休日労働に関する協定」を締結し、労働基準監督署に届け出れば法定時間外労働も可能です(労働基準法第36条)。
労働基準法第36条に規定されているため「36協定(サブロク協定)」とも呼ばれていますが、こちらの呼び方が一般的ですね。
では、36協定を締結すれば労働時間の上限はなくなるのか?と疑問に思われるかもしれませんが、そんなことはありません。36協定により延長できる労働時間にも制限があります。
これらに違反した場合には、使用者に6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
時間外労働の賃金
使用者が労働者に時間外労働をさせた場合、割増賃金を支払わなければなりません。
例えば、時間外労働かつ深夜労働に該当する場合、25%+25%で賃金を50%以上増して支給する必要があります。
変形労働時間制
変形労働時間制とは、一定の要件の下、一定期間を平均した1週間の労働時間が40時間を超えない範囲で、1日当たりの労働時間が8時間を超えたり、1週間当たりの労働時間が40時間を超える労働が許容される制度です。
変形労働時間制には大きく分けて3タイプあります。
・1ヶ月単位、1年単位の変形労働時間制
・1週間以内の非定型的変形労働時間制
・フレックスタイム制
上のグラフは、変形労働時間制の採用企業割合と適用労働者割合の推移です。2016年頃から「働き方改革」が叫ばれ始めましたが、適用労働者割合がそれ以前と比較して増えておらず、変形労働時間制の普及はあまり進んでいないと言えそうです。
変形労働時間制は、労働時間を労働者のライフスタイルに合わせて業務効率を向上させるメリットがある反面、通常の労働時間制なら発生するはずの時間外手当が発生しなくなるなどのデメリットも存在します。
そこで、変形労働時間制の導入には、就業規則や労使協定で定めておくなどの条件があります。また、変形労働時間制といっても法令上、上限や時間外労働、休日・休暇に関する規定があり、それに反する行為は認められていません(労働基準法第32条の2〜第32条の5)。
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<こちらのnoteもお勧めです>
・労働法の基礎知識
・労働契約時に気をつけること
・就業規則と各種保険制度
・賃金に関するルール
・休憩・休日のルール
・退職・解雇のルール
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