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4年 小数の倍 感覚から入る割合授業の提案【提案・導入部】


子どもたちにとっての「倍」

 「倍」って言葉を聞いてどんなことを思い浮かべますか?
 子どもたちに聞くと
 ・増える
 ・大きくなる
 ・長くなる
 などの答えが返ってきます。4年生の子どもたちにとって、2年生のかけ算の学習から、「倍」の概念は「もとにする量」より大きくなる ということが培われてきていることがわかります。
 テストなどを見ても、「何倍でしょう?」という問題に対して、数字の大きいものを小さいもので割ることを機械的にしている子が多くいるように感じます。
 小数のかけ算の単元末では、小数の倍ということで、「1.5倍」や「0.5倍」などを扱います。1.5倍は、子どもたちの「増える」イメージに合っているけれども「0.5倍」はどうでしょうか?
「もとにする量」より減ってしまうのです。

教科書教材では

 教科書教材(東京書籍等)では、いきなり数値を与えて1.5倍を先に学習し、0.5倍の流れで進めていきます。
 しかし、「倍」で「増える」イメージの子どもたちにとっては、ハードルが高く、0.5倍といっても計算上の扱いになってイメージがもちにくいのではないか。割合の学習はイメージすることで、高学年での学習がより深いものになっていくと考えます。

授業提案

 そこで、提案として「感覚的に小数倍」に触れていくことを提案します。具体的には、数値を与えず、感覚的に小数の倍に触れていくといったものです。「もとにする量」を意識しながら、イメージをすることで割合に対して働きかけができるのではないかと考えました。


実際の授業 【導入部】

「さて、赤の何倍?」

 下のように並べて
「さて、赤の長さの何倍でしょうか?」

「えっ、どの長さと比べるの?」
「そうだよね。2つの色を比べないといけないよね。絶対使う色ってどれだろう?」
「赤。」「黄色。」「青。」
「だって課題に赤って書いてあるから、赤は絶対使うじゃん。」

子どもたちに挙手させたところ、緑で手を挙げる子は1,2人程度。
ここでは、まだもとにする長さ(赤)についてはそれほど意識していない様子でした。

「赤とどの長さを比べたらわかりやすい?」

 導入時に長さを敢えてバラバラで提示したのは、長さを比べる際にそろえたい!を引き出したかった。しかし、ここではその声は出なかった。
子どもたちは、見た感覚で
「白は2倍っぽい」
「緑は短いからありえない」
「緑は倍じゃない!」
「緑は短くなっているから倍じゃなくてマイナス!」
と話していました。やはり、倍の捉えは長くなることと見ているようです。

「今、赤のいくつ分って言っているけれどもバラバラだけどどうしたい?」
「重ねてみたい!」
「並べてみたい!」
と声が上がりました。意図的発問になってしまったことは反省ですが、整理する見方を子どもの中に培いたく発問しました。

 「〇〇さんの並べ方でよかったところはどこ?」

 整理する見方を培うためには、そのよさを知らないとできなません。
「小さい順に並べている!」
「スタート地点を揃えている!」
子どもたちはたくさんの気づきをアウトプットしていきます。2つの見方が出てきたことで、並べるよさを実感したのではないかと思います。

「では長さはわからないけれども、どの長さと比べたら簡単?」

 見た目で長さが整理されることで、子どもたちの感覚も少しずつ変わってきます。先ほどバラバラの状態で提示したときに、緑や白と比べたいと言っていた子どもたちも、短い順になったことでほぼ全員の子どもが黄色や青と比べたら簡単そうと考え始めたのです。

 「どうして、青や黄色と比べたい人が多いのかな?」
「だって、青は赤と長さが変わらない。」
「黄色は赤の2倍っぽい」
どっちを先に取り上げるべきか・・・。
私は2倍っぽいという発言から、捉えやすいのは黄色かなと考え、先に取り上げていきました。
 ここまでが導入部15分となります。

 本日はここまで

 子どもたちを同じ土台に上げて少しずつ全員で進んでいく授業スタイルで行っています。1つのものを見た時に色々な見方や考え方があります。
それぞれを共有することで、学びは深いものになっていくのではないでしょうか?
 導入部の最後に取り上げた黄色がこの後、どうなるのか。子どもたちはもとにする量より小さい倍をどう捉えていくのか。
展開部は次回に続きます。

                 
                     【てらす1期生 かずにぃ】

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