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「SABAフェス」総合的な学習の実践報告セミナー

6月19日(水)に、総合的な学習の実践報告セミナー「SABAフェス」を開催しました。

みなさんは、総合的な学習の時間にわくわくしていますか?
・学校や学年で毎年テーマや材が決まってしまっている。
・地域の縛りがある。
・総合的な学習の時間が形骸化してしまっていて、おもしろくない。
・大切なのは分かるけど、そもそも何から始めていいのかよく分からない。
・他教科の補填や行事に総合の時数が消化されてしまっている。
全国各地から聞こえてくる「総合的な学習の時間」に対する悩みの声の数々。

しかし、2024年3月2日青森県八戸市であるイベントが大盛況に終わりました!それは、5年生の総合的な学習の時間で子どもたちによって生み出された。
その名も「SABAフェス」!!

地元企業とコラボして開催されたイベントを支援するクラウドファンディングは、開始たった3時間で目標金額(10万円)を達成!
イベント当日は、想定を超える来場者に会場は熱気で溢れていました!

実際のクラウドファンディングのホームページがこちら↓https://readyfor.jp/projects/hachinohe-same-saba-fes/accomplish_report

サバフェスについて書かれたnote↓


このイベントがいかして生まれたのか?
子どもたちは何を学び、どう成長したのか?
担任の想いは?
支援者の想いは?
それらを余すことなく授業者である @ケンタロウ_三浦健太朗@青森 さんが語り尽くしていただきました!

以下は、授業てらす・チーム学級経営・総合のメンバーVANUさんのセミナー後の感想です。VANUさん自身も、総合のすばらしい実践者です。

”総合の醍醐味、それは、学びの先に「自分の生き方を改めて見つめ直す」ことだと考える。その点で、今回の総合を経て、三浦学級の子どもたちは「サバフェス」という材を通して、何を経たのか。
①自分の強みを発揮することで、誰かの役に立つことができる。自己有用感の実感
②友達の強み(よさ)の再確認・再認識。仲間の存在価値、ありがたさの実感
③探究することの楽しさ。時に上手くいかなくても、どうしたらうまくいくのかなと考え続ける学びの楽しさ。「学ぶ」ということの価値を実感。
④難しいことも様々な人(企業、地域、保護者等)と協働することで、物事を前に進められるという体験。一人では成し遂げられないことも、多様な他者との協働で解決できるという実感。
⑤本気で何かを成し遂げたいという熱量は、人を動かすという体験。本気度が人の感情を動かすという実感。
⑥事象との出合い×人との出会い=新たな価値の創造。 人と関わることで予想外の展開へ発展するワクワク感。
⑦本気の大人との出会い。自分たちが考えている以上に、大人は真剣に仕事に向き合っているということを実感。これが、大人になりたいという憧れに変わっていく。
 つまり、自分たちが本気で考え、動きつづけていくことで、世の中に変化を起こせることを体感したのだ。そして、そのためには自分の力を発揮することはもちろん、たくさんの人の力も借りていいんだということを学んだのである。また、自分の存在価値は他者や世の中に喜んでもらう事でもあるということにも気付いたはずである。
 今回の体験を通して、三浦学級の子どもたち一人一人の中に、かけがえのない学びの経験値を刻んだ。この経験値は、今後の人生の中でのさまざまな出来事と向き合った時に生きてくるのである。

 では、なぜこのような学びが展開されたのか。
これはひとえに、健太朗さんが作り上げた学びの環境である。今回の話の中で、随所にその場面が語られていた。例えば、「『どうしようか?』とうろうろしていた」との健太朗さんの発言。これは、子どもたちのこれまでの経験の中で解決策を練るための試行錯誤の時間として、非常に有効だったのではないかと思う。
もしここで、教師の思惑ですぐに子どもに教師が考える解決策かもしれない行動を提案してしまうと、子どもの課題意識は教師の提案をこなすことに変わってしまっていただろう。
 教師が待ったうえで出てきた最初の提案は、これまでの子ども達の人生経験の中で考えつく「ポスターでの啓蒙やプールでサバを飼う」といったような思い付きのようなものであった。最初はこれでいいのであると私も考える。そこから、教師が「本当に?」「それでうまくいった例はあった?」などと子どもの思考を揺さぶるという環境を生み出すことで、少しずつ子どもたちは様々な視点で考えを巡らすのである。これが教師のファシリテーション力である。
 さらに、自分の好きな事にフォーカスを当てて探究させたという学習環境も秀逸である。それぞれの子どもがもつバックボーンを見事にうまく活用して進めていく。この差配も教師が作り出す環境である。このように子どもに任せることができる教師はどれだけいるのだろうか。
 ここには教師の深い児童理解が欠かせないのである。そして、子どもたちを信じ切りながらも、教師自身もまたこの後の展開を探究していくことが求められる。これが、教師の覚悟であり、学習環境を生み出す秘訣なのだと改めて勉強させてもらった。
 また、「料理については、総合の時間は4時間だけで、家でも自主的に子どもたちがやっていた。」という話もあった。これこそが、本当の学びであると考える。学びとは、学校の時間割の中だけで完結するものではない。本当の学びとは、学校が終わっても日常生活の中で追究したくなるものである。「ああでもない、こうでもない。」と考えながら、普段の生活を送ることこそが探究している姿である。そういう意味では、まさしく子どもたちはずっと探究していたのである。ほかにも、仲間がつくったレシピを家で実践してみるという話も、素敵である。これは、学級の個々人が探究していることが他人事ではなく自分事になっている証拠である。こういう学びを展開する学級経営=つまり学習環境が土台であると改めて感じたところである。
 
 次に別の角度からこの実践の価値を考える。それは、大人たちの児童観の再構築である。
 親にとってみれば、我が子が「こんなにも夢中になれるんだ」「友達と協力して何かを成し遂げられるんだ」という自分の子どもの潜在能力の再発見。
 企業にとってみれば、「消費者である子ども」「親に自社商品を売り込んでくれるCM塔」という存在から、新たな価値を生み出すパートナーにもなれる存在という新発見。
 教師にとってみれば、子供がもっている潜在能力をこれまでの学校の学習の中で一体どれだけ引き出せてたのかという反省とともに、子供の中に潜在的に眠っているかもしれない力を引き出していきたいという児童観の更新、指導観の更新。
 地域の大人にとってみれば、頼もしく、誇れる存在への転換
このように、大人たちが子どもをみる見方・考え方を刷新させられたという事実にもこの実践の価値がある。そして、こういった大人たちの見方の刷新は、ダイレクトに子どもに伝わり、それが子ども一人一人の自己有用感と自己存在感の構築に繋がっていったのだと考える。
 これが今回のサバフェスという学習材を通した総合の価値であると私は考える。この実践を通して、三浦学級の児童一人一人が自分の生き方を見つめ直していっただけでなく、このサバフェスに関わった大人たちの生き方にも影響を与えていったところに、総合を学ぶ面白さであると再確認させてもらった。

 今回は、このように学び、考える機会を与えていただいた。健太朗さん本当にありがとうございました。”

また、セミナー参加者からの感想メッセージです。

・子どもたちが自分で動いていることを実感にできる実践になっていたと思います。さば!としぼったことで子どもたちが一緒の方向を向いて一生懸命に取り組むことができたのだと思います。チャットでも書きましたが、当たり前すぎて地域のよさに気付くことは難しいのだと思います。学習を通し地域のよさを感じる時間にすること、サバそのもののよさも学び、人のよさにも触れたことと思います。自分の学校なら…あの子たちなら…と考える時間になりました。

・アイデアを活かす『知の器』と思いを受け入れる『心の器』、この両輪あってこその鯖フェスだと感じました。学校発の地域おこしは、とても勇気のある取り組みだと思います。「静岡では何ができるのか?」ぜひ模索・追究する時間を設けていきたいです。また、「関係ない」という反応があったときの切り返し、実現が困難だと思われる提案が上がったとき、「得意を活かせる」ように発想転換する術は持っておきたいです。

・子ども、学校、地域、企業、保護者、メディア、といった、様々な立場の方々が関わってきたサバフェスの実践の詳細が聞けて、大変学びが大きかったです。八戸のサバ産業の課題について、子どもたちに当事者意識が無かったところから、子どもたちがサバフェスの一連の実践を通して変容していく姿に感動しました。また、教科学習と総合的な学習の関係のもち方も、お手本を見たように感じます。子どもたち自身が「学ぶ」意義を実感できる実践だと思いました。

・実践報告だけでなく、ブレイクアウトルームでの時間も素敵な時間となりました。「これを、すごい、で終わらせずに、自分も頑張ろう」というお話をされていた先生がいて、今日のセミナーは実践のノウハウだけではなく、明日からのエネルギーを生み出すセミナーだった気がしています。
本当に素敵な企画、ありがとうございました。

・子どもたちの経験や強みから、やりたいことやゴールの姿を引き出していたことがとても素晴らしいと感じました。それに加え、先生自身の経験や知見がこの総合的な学習の時間に活かされていると感じました。クラファンやフェスの企画などは、一般の先生はあまり経験していないことの方が多いので、これまで経験してきた全てが教育活動に生きてくると感じました。ありがとうございました。

・総合の本気の実践、魂の授業実践だと思いました!


教科学習で身に着けた資質・能力を、総合で実践的に応用すること。
一人ではできないことも、仲間と協働することで乗り越えていくこと。
自分たちがしたことが、社会に影響を与えられるという実感をもつこと。
本気・本物と出会い、あこがれをもつこと。

子どもたちの想いが、周りに伝播し、周りの大人をどんどん巻き込んでいく様子が、 @ケンタロウ_三浦健太朗@青森 の実践報告から伝わってきました。

じゃあ、どうすればそんな総合が生まれるのか。
正攻法・近道なんてないんですよね。
とにかく、子どもたちと一緒に、悩んで、もがくしかないと思っています。
担任だけが突っ走ってもダメ。でも、担任がまずは、子どもたちの力を信じること。少し先の未来にわくわくすること。

このような総合が、各地で行われるようになれば、きっと地域は変わる。日本は変わる。本気でそう思えた総合の実践発表でした。

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