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資料に語らせたい

1 教材分析と教材研究

教材分析と教材研究。
私はこの2つの正しい定義は分かりませんが、以下のようにとらえています。

教材研究 … 一単元や一時間の授業をどう流すか考える
教材分析 … 教材そのものの価値について考える

どちらも好きですが,特に「教材分析」が大好きです。添付した画像をご覧ください。これは2011年3月14日の朝日新聞朝刊の一面に掲載されたものです。この写真が訴えるものは何か…。

大津波で壊滅的な被害を受けた宮城県名取市閖上地区で、道路に座り込んで涙を流す女性

マンションの郵便受けからこの新聞を取った時の衝撃は、今でも忘れられません。
絶句。二の句が継げない。
この気持ちをどうにかして子供たちに伝えたい。

社会科の防災単元で?
道徳の「命の尊さ」で?

そもそも授業で扱うことの意味は何だろう。
「かわいそう」「大変」だけで終わりはしないだろうか。

そんな『他人事』の授業をしたいのか?
それが由井薗先生のおっしゃる「誰もが幸せになる」授業か?
公民的資質の素地を養えるのか?
いや,違うだろう。
俺の授業作りがそもそも間違っていないか?

…なんて悶々とする。

そのように資料そのものの価値を考えている時間がたまらなく好きです。
結果,使わないことも多々あります。
でもそれもまた貴重な時間を過ごしたと思えます。
確実に私の糧となっています。
いや,糧とか仕事に役立つとか,そんな価値づけはどうでもいいじゃないでしょうか。

ただ,資料の「声」を聞きたいのです。

私たちは限られた時間の中で,あらゆる業務をこなしています。
そうすると日々の授業に終われ,「教材研究」に重きをおかざるを得なく,無難な資料しか使わなくなってしまいます。
それももちろん大切なことです。
子どもたちの理解を助けるものが資料です。
しかし,それだけでは何かつまらないのです。
発露される熱を感じられるような資料を使いたい。

少し前の話になりますが,チーム社会科で由井薗先生セミナーでどのような内容を扱うか知恵を出し合っていました。
その中でたくみさんが「グラフ」の資料を提示してくれました。
私は写真資料を主に使ってきたので,そのような視点が欠けていました。

「なるほど…。」

これは面白い,とその場で皆さんと盛り上がりました。
どの授業で使うかはその時点では全く,決まっておりませんでした。
しかもたくみさんは高校教諭。
でも,一つの資料について,みんなで「ああでもない,こうでもない」と話す時間が愛おしかったです。


公助がなぜこんなに少ないのだろう

たくみさんのお知恵を拝借して,円グラフを資料に使ってみました。
これはたまたま授業に結び付きましたが,そのままお蔵入りしてしまったとしても,私の授業を支えてくれる大切な財産となりました。

時間を忘れて資料について語り合うことができる,そんな素敵な仲間たちの集まりがチーム社会科です。
リーダーのケンタローさんは専門性が高く,知識も豊富で社会科をとことん追究できます。
そして個性豊かなメンバーの皆さん。
その絆の強さ。心地良いです。とにかく楽しいです。
これからも素敵なチームの皆さんとの時間を大切にしていきたいです。

2 そして3月11日

12年前の今日は「東日本大震災」。私の現在受け持っている5年生はまだ生まれていませんでした。風化させないためにも「資料に語らせたい」という思いを大切にしたいです。
だからこそ資料に伝えさせる。 
本物のもつ力に私は敵いません。  

私の義理の兄は仙台で被災しました。
そして義理の弟は自衛隊員として,寝ずに救助と復興作業に尽力していました。
それぞれの3・11。鎮魂の日。
てらすメンバーの中には,実際に被災された方も多くいらっしゃると思います。そのような方の前でおこがましくもこの日を語ることは憚られますが,一教師として,目の前の子供たちに伝えなければいけないと思います。
                          
                   チーム社会科 ちんぺー_河根慎一


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