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【漫画】兄嫁と結婚します 42

大正時代の東京・上野を舞台にしたマンガを描いています。
侯爵夫妻が新婚旅行に出かけますよ。


出発:神奈川県鉄道の旅(ほぼ箱根駅伝のコース)



鎌倉:北条政子ゆかりの地(華枝の聖地巡礼)



小田原:難攻不落の小田原城(ただし天守閣はない)




箱根:歴史と絶景を味わう





帰宅:お土産がいっぱい!


【日程表】「見どころいっぱい★神奈川県!8日間の旅」(仮)

1日目
自宅~東京駅:自家用車
鉄道:東京10時頃発→鎌倉12時頃着、昼食(会食)
禅寺見学(住職の案内付き)、プチ修行体験、禅寺泊

2日目:鎌倉観光

3日目
鉄道:鎌倉10:20頃発、国府津で私鉄に乗り換え、小田原着12時頃

4日目:小田原城見学(総構:そうがまえ、空堀)

5日目
鉄道(私鉄):小田原10:30頃発→箱根湯本11時頃着、宿までハイヤーで移動

6・7日目:箱根観光
8日目:侯爵体調不良のため延泊

9日目:帰路
宿から箱根湯本駅までハイヤーで移動
鉄道:(私鉄)箱根湯本10:40頃発→国府津で乗り換え→東京14時頃着(食堂車で昼食)
東京駅~自宅:自家用車


【謝辞】旅の図書館:公益財団法人 日本交通公社

本作を描くにあたり、明治~大正期の時刻表を始め、交通・観光関連の資料・情報集めに関して「旅の図書館」の皆様にご協力いただきました。深く感謝申し上げます。


解説

【蛇足】侯爵夫妻の新婚旅行を描いたら面白いんじゃないかと思いついてあれこれ考えた結果、睦子との新婚旅行(英国留学2年間)とは全然違う、国内のしかも近場で、新婚旅行のつもりが仕事になってる、みたいなことになりました。あるいは、領地の見回りをするお殿様と奥方?(植草家は神奈川県近隣の藩主だったという設定ではありません。)
10月に結婚、12~1月頃には議会関連の仕事が忙しくなりそうなので、10~11月に1週間で調整したイメージです。急用があったらすぐ東京に戻れるように、という意味もあります。英国留学中はまだ侯爵ではなかったので(帝大を卒業してすぐ)、日程等ある程度自由にできましたが、今は公私ともに重責を担う立場なのでタイトな日程です。
さらに、侯爵夫妻が来訪するとなれば神奈川県下のお偉い方々が面会や案内を希望するだろう、と考えたら、新婚旅行なのになかなか二人っきりになれない状況になりました。華枝は千代などから話を聞いて想像していた新婚旅行とは、全然違うものになったことでしょう…。それなりにエンジョイしていますが!(笑)

華枝は迷子予防で目立つ色、エンジ色の上着、エビ茶色のスカート(歩き回るので、丈は少し短め)。ブーツ着用。
侯爵はグレーの三つ揃えに、華枝の服の色と合わせたエビ茶色のネクタイです。二人とも黒の革手袋。
友人に「ブーツで歩いて靴擦れしないか」と心配されましたが、オーダーメイドです。足に合わせて作った靴を履きならしてから使っており、旅行中も使用人がきちんと手入れしているのでご安心ください!
歩く気満々。

いくつものデザイン案を検討した初案をさらにブラッシュアップ。謎のこだわり。

鉄道をはじめとする交通事情の変化の激しい時代なので、大正初期の時刻表や、どこにどんな乗り物があるのかといった情報をネットだけで集めるのが難しく、知人の紹介で「旅の図書館」に行きました。ドンピシャの時期の時刻表や乗り物関連の本を紹介してもらい、とても嬉しかったです。
箱根周辺の乗り物については「箱根山の近代交通」(加藤利之著、神奈川新聞社)がとても面白かったです。芦ノ湖の手漕ぎ船がいつ頃モーターボートになったか(そしてその運賃)など、かゆいところに手の届く本で、参考になりました。色々な本からイメージを膨らませて、吉竹君の台詞になりました。

小田原城については、NHK「絶対行きたくなる!ニッポン不滅の名城 小田原城」を参考にしました。録画を何度も見て、総構のイメージを膨らませました。華枝なら登る…絶対登る…と思いました(笑)。

「侯爵は結婚後に華枝を呼び捨てるか問題」について、かなり長い間検討してきたのですが(もしかすると半年以上)、基本的に「華枝さん」と呼ぶということで決着しました。戦後も「華枝さん」と呼んでいます。
侯爵は変化をあまり好まない人。呼び方を変えるのに結構エネルギーを使うことになるから、今まで通り呼びたいのではないかと。(睦子に対しては子どもの頃から「睦子」と呼んでいたのではないかと。)
もちろん、華枝への敬意も込めて。華枝に対して「かなわない人」という思いもあろうかと。畏怖の念。

侯爵と華枝は、家では七緒と八重の両親という立場なので、仕事として夫婦で外出することはあっても、プライベートで二人だけで出かける機会はかなり限られているのかもしれません。避暑など、家族で出かけることになります。
侯爵が華枝に延泊の提案をしたのは、もっともな判断だと思いました。せっかくの新婚旅行なんだし、華枝の希望を叶えた方がいい。実現可能な希望なのだし、後が怖いという意味でも!
一方で、旅行中のスケジュールをただこなすのではなく、主体的に二人の時間を過ごそう、楽しもうと考える、心の余裕ができたのではないかと気づきました。
華枝は高価なものでなくても、侯爵が自分のために考えて選んでくれたもの=スペシャルなものであれば大喜びする人なので、桜貝の貝殻をひろってくれたり、宿の庭を二人っきりで散歩したり、そういうことにも幸せを感じると思います。たとえ散歩中、護衛に尾行されていたとしても!(笑)

私は静岡県生まれで、遠足や家族旅行で箱根や鎌倉に行きました。学生時代は神奈川県で過ごし、小田原に親戚もいます。行ったことのある場所を思い出したり、なじみ深い地名や風景を描いたりするのはとても楽しかったです。

鳩サブレー、大好きです!

作品がお気に召したら、十五堂への寄付的にサポート(投げ銭、100円~)してくださると嬉しいです。創作活動等の費用にさせていただきます。