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ゲイ(30歳)・家族との関係

家族へのカミングアウト

こんにちは!
Jueriasのヒロです。

私は4人兄弟の末っ子なのですが、親にも姉や兄にもカミングアウトはしていません。
そして、今後もカミングアウトはしないと考えています。
その大きな理由は、母の信仰している宗教が同性同士の交際や結婚を認めていないことにあります。

・聖書によると、神はセックスを男女間だけの、しかも夫婦の間だけのものとしておられるんだ。聖書は淫行を禁じていて、淫行には同性間のものと、異性間のものの両方が含まれるんだよ。
・同性愛は生まれつきのものだから、変えられないんだよ。
・同性に強く引かれる人がいるとしても、聖書はクリスチャンに、同性愛の行為をさけるようにと命じているんだ。

ただ、前提として、私の家族は優しい人ばかりです。
笑いの絶えない家庭で、私はそんな家族の一員であることを幸せに思っています。
私なりに、家族との関係を大切にしたいと考えています。

では、なぜnoteに家族との関係を書く必要があるのか。
それは、私と同じように家族との関係性で悩んでいる当事者やその家族の方々に、こんな考えもあるよと知っていただけたらという想いがあるからです。
決して前向きな内容ではないかもしれませんが、セクシュアルマイノリティの1つの事例として、少しでもお役に立てたら幸いです。


変わっているかもしれませんが私の家庭は
父親:仏教(無宗教)
母親:キリスト教
と親の信仰する宗教が異なります。

私は小さい頃、母親に連れられてその宗教の集会に参加したことが何度かあります。
子ども用に要約された聖書などもあり、内容は難しかったものの、子どもながらに楽しんでいたと思います。
集会に参加している方々はどなたもとても優しい方ばかりでした。

そんなある日、いつものように母に連れられて集会に行こうとしていたところ、父に見つかり私だけ家に連れ戻されてしまうことがありました。

それはまだ私が小学校低学年のころだったと思います。
それまでは全く気にしていませんでしたが、この時初めて、父は母の信仰する宗教を子どもに信仰させることを反対しているのだと知りました。
それから母は、父の目を盗んで私を集会に連れて行っていましたが、何度か見つかってしまうことがあり、その度に私だけ連れ戻され、いつからか母は1人だけで集会に行くようになりました。

母は子供たちが間違った道に進まないようにする為にも、同じ宗教を信仰してほしかったのだと思います。


20代前半の頃、私は将来への漠然とした不安から、引きこもりのような状態になったことがあります。
その時も母は、聖書の一節と想いを記した手紙を扉に挟んでくれたり、信仰する宗教が若者に向けた冊子を部屋の前に置いてくれました。
冒頭に記した文言は、その時置かれた冊子に書かれているものです。

私は小学生のころには男性の身体に興味をもち、高校生のときには同性のクラスメイトを好きになっていました。
20代前半の頃は、だんだんと自分がゲイであることを認めはじめてきたときで、それまでは、聖書に書かれた内容から漠然と「結婚するまではセックスをしてはいけない」と認識し、教えを守っていたものの、冊子を読み、私は好きな人と一生セックス出来ないのかと絶望したことを今でも覚えています。

高校の頃から、周りの友達は彼女とセックスした話などで盛り上がっていて、私はそれを羨ましく思いつつも、「自分はいつか好きな人と結ばれてセックスをするんだ」と欲望を抑えて、他のことに没頭するようにしていました。そうやって生きてきた当時の私には、あまりにも残酷な教えだったのです。

その冊子の題名は『若い人が尋ねる質問~実際に役立つ答え~』というもので、同性愛についてのことだけでなく、家族や友達との関係についてなど、若い人が悩みやすいことへの聖書の教えが分かりやすくまとめられています。
母は急に引きこもってしまった息子に、救いの手を差し伸べたい気持ちで冊子を置いてくれたのだと思います。

私は母の優しさに感謝しながらも、この教えを守っていたら自分は幸せになれないと感じました。
そして、自分の性的指向を分かってほしいと母にカミングアウトすることは、母の苦悩を増やすだけだと思い、カミングアウトはしないと決意しました。

長くなりましたが、以上がカミングアウトをしないと考えている理由です。

カミングアウトについて思うこと

きっと母は私が同性愛者であることに気づいているのではないかと思うことがあります。
ただ、母の信仰する宗教では、同性同士の交際は認められておらず、自分の息子が同性愛者であることを認めたくないだろうと思っています。

私は母がいつから、宗教を信仰するようになったかは知りません。
父は俗にいう亭主関白だったので、その厳しい扱いや、子ども4人を育てるという大変な生活のなかで、宗教を信仰するということが心の拠り所になっていたのかもしれません。

私は、本音を言うと、母にも、家族にも、同性愛者であることをカミングアウトし、認めてもらいたいという気持ちはあります。
もしカミングアウトをしたら、家族はみんな優しいので、きっと認めてくれるでしょう。
しかし、母にとっては、それからずっと葛藤の日々が続くのです。
もしかしたら、一緒に住み、息子が神に背く行為をしないようにしたいと申し出るかもしれません。


私はいまの家族との関係でも幸せだと思っています。
なので、関係を壊してまでカミングアウトをしたいと思わないのです。

母としては、息子が本音を話してくれないことはとても悲しいことかもしれません。
ただ、私は母の想いも尊重したい為、カミングアウトはせずに幸せに生きていることを伝えていこうと、それが一番良いカタチなのだと思っています。


カミングアウトは出来ないけれど、
今の私の想いを、ここに記しておきます……

お父さん、お母さんへ

私は出来る限り、カミングアウトをし、自分らしく生きることの出来る環境を自分でつくっていきたいと考えています。
そして、たくさんの素敵な出逢いがあり、カミングアウトをしている友人や職場の人に支えられ、いま、とても幸せです。

お父さん
私はお母さんに厳しく接するお父さんのことが嫌いな時がありました。
でも社会人になって、自分一人の生計を立てるだけでも大変なことを知り、家族6人の生活を支えてきてくれたお父さんの凄さをひしひしと感じています。
そして、今ではお父さんのことを尊敬しています。
姉と同じように、孫の顔を見せてあげることは出来ないと思うけど
違うカタチでこれから恩返しをさせてください。

お母さん
本当にいろいろと心配をかけてきました。
実家に帰ったときも、私が全然近況を話さないから、今でも心配かけてしまっているよね……
あのね、私は同性愛者だから、お母さんの理想の息子にはなれないんだ。
ごめんね……
ただ、いま本当に幸せです。
「なんで生まれてきたんだろう」と思ったこともあったけど、
お母さんの子供として産んでくれたこと、感謝しています。
お母さんが愛情をもって育ててきてくれたおかげで、私も周りの人に優しくありたいと思うことが出来ています。


このメッセージを読んでほしいと思う日がいつかくるのかな……
読んだらショックを受けてしまうかもしれません。
悲しい気持ちにさせてしまっていたら、ごめんなさい。

ただ、お父さんとお母さんの息子でよかったと、心の底から思っています。

もしも、私がゲイであるということを認めてくれることがあれば
「今度、彼氏紹介してよ」
ってさりげなく言ってくれたら嬉しいです。
恥ずかしくてすぐには紹介できないかもしれないけど、
私の大好きな人を、お父さんとお母さんに紹介出来る日が来てくれたらなと願っています。


合同会社Juerias LGBT Wedding
ヒロ

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